スナック忘れな草~KKコンビ・2023府中牝馬S・秋華賞~
トップ画像引用:【昭和61年】中日 vs 巨人【桑田真澄・プロ初登板】
■ 逆コントレイル
2023年10月10日(火)午後8時
-東京都某区 スナック忘れな草-
「1番はさすがにやりすぎだろう」
タコ社長はそう言うと、眞露の水割りをグイっと一息に飲み干した。グラスを右手で前後に振ると、カラカラと氷の乾いた音が鳴った。タコ社長が言っているのは、リバティアイランドの三冠達成ゲートのことだ。桜花賞とオークスは、三冠馬コントレイルの目を引いている。
<コントレイル→リバティアイランド>
桜花賞 3番(菊花賞)
オークス 5番(ダービー)
秋華賞 1番(皐月賞)?
マスターが言った。
「リバティアイランドは桜花賞でコントレイルの菊花賞ゲートを、オークスではダービーゲートを引き継いでいます。キムラハヤオさんが言うところの、『逆コントレイル』が完成するのであれば、秋華賞は皐月賞の1番というわけですが・・さすがにやりすぎですか?」
キムラハヤオさんX(ツイッター)
https://twitter.com/kimurahayao/status/1711981071859065066
生ビールのジョッキを右手に持ったギョニ子が言った。
「京都競馬場がリニューアルして一発目の秋華賞。ドンズバの1番があってもおかしくはないけど、ちょっと露骨よね・・」
真一郎が続く。
「1番じゃないとしたら、リバティアイランドの三冠目にふさわしいのは何番なんでしょうね・・・何かとっかかりが欲しいところです」
■ ゾロ目の秋華賞
「とっかかりにこんなのはどうでしょうか?」
そう言いながら店内に入って来たのはくろたんだった。タコ社長の右隣りに座ると、いつもの山崎をと目で麗子ママに合図する。
「おお!くろたんさん。何かいいネタ持ってそうじゃねえか!」
タコ社長がもみ手をしながらくろたんに訊いた。
「昨年の秋華賞。スターズオンアースの三冠ならずだったわけですが、秋華賞始まって以来のゾロ目決着だったのです。三冠挑戦馬が三冠ならずで、4-4のゾロ目と言えば・・・」
「ライス、ブルボンの菊花賞ですね」
マスターの言葉にくろたんはうなずいて言った。
「ブルボンのゲートを翌年引き継いだのが、三冠馬ナリタブライアンの兄、ビワハヤヒデです」
1992 菊花賞
1着:4-08 ライスシャワー
2着:4-07 ミホノブルボン(三冠ならず)
1993 菊花賞
1着:(4-07)ビワハヤヒデ
2着:7-15 ステージチャンプ
1994 ナリタブライアン 三冠達成
※ビワハヤヒデの半弟
「ということは・・」
麗子ママが言った。
「昨年、三冠ならずだったスターズオンアースの9番。そのゲートが怪しいというわけね?」
2022 秋華賞
1着:4-07 スタニングローズ
2着:4-08 ナミュール
3着:5-09 スターズオンアース(三冠ならず)
2023 秋華賞 5-09 1着?
くろたんが答えた。
「ビワハヤヒデの菊花賞を踏襲すれば・・ですがね。あくまで可能性のひとつとして、意識しておくくらいでいいのではないでしょうか。明日、大きなニュースがありそうですしね」
くろたんはそう言うと、山崎のロックを飲み干し、店を出ていった。
「今週はボケないわね・・・つまんないわ」
くろたんが出て行った扉を見つめ、ギョニ子が言った。
「ところで、明日ありそうな大きなニュースって何かしら?」
「ギョニ子、そりゃあ藤井聡太だよ。明日の王座戦第4局で勝てば、史上初の将棋タイトル八冠独占だぜ!」
「ああ、明日でしたか!」
タコ社長に続いて真一郎が言った。
「八冠達成が近いことは覚えていたんだけど、日程までは把握してませんでした」
マスターが言った。
「将棋界では藤井聡太が八冠を達成し、競馬界ではリバティアイランドが三冠を達成する。そんな特別な週になるのでしょうか」
「そうだなあ。そればっかりは二人の神様に訊いてみねえとわからねえな」
タコ社長はそう言って天井を指差した。二人の神様とは、将棋の神様と競馬の神様のことを言っているのだろう。
その日はそのあと雑談タイムとなり、1時間ほどでお開きとなった。
■ 藤井聡太八冠誕生
2023年10月11日(水)午後9時
-東京都某区 スナック忘れな草-
永瀬拓矢王座が投了し、その瞬間、藤井聡太八冠が誕生した。スマホでAbemaTVのライブ中継を見ていたタコ社長は、目を閉じて腕を組んだ。10秒ほど沈黙したあと、うーんと声を絞り出した。コースターの奥に置いていたおしぼりを手に取り、目尻をぬぐった。
藤井聡太八冠誕生後のタコ社長の第一声は、藤井聡太を称える言葉ではなく、負けた永瀬拓矢王座を慮るものだった。
「悔しかっただろうなあ、永瀬王座は」
タコ社長によると、第3局に続いて永瀬拓矢王座に悪手があり、逆転負けを喫したというのだ。投了前の永瀬拓矢王座が、頭を掻きむしる姿を見て胸が痛くなったという。
「まあだがしかし、これでリバティアイランドの三冠達成はますます濃厚になったんじゃねえの?」
しんみりした空気を変えようと、明るい声でそう言ったタコ社長に、マスターが頷いて言った。
「流れは完全にそうなってますね。藤井聡太八冠を反映させる秋華賞になるなら、羽生善治七冠誕生年の秋華賞を見ておく必要があります」
羽生善治九段
1996 将棋タイトル七冠独占
同年 内閣総理大臣顕彰受賞
同年 第1回 秋華賞 ファビラスラフイン
「へえー!羽生善治七冠が誕生した年に、秋華賞が始まったわけね?」
ギョニ子が驚いたという顔で言った。マスターが頷いて言った。
「そういうことです。それに伴いこの年から、牝馬三冠の最後のレースだったエリザベス女王杯は、古馬牝馬GⅠへと変更されています」
1996 羽生善治七冠誕生
前年1995 エリザベス女王杯
(“最後”の3歳限定戦)
1着:4-07 サクラキャンドル
2着:4-08 ブライトサンディー
2023 藤井聡太八冠誕生
前年2022 秋華賞
(2年連続阪神代替開催の“最後”)
1着:4-07 スタニングローズ
2着:4-08 ナミュール
「なんですか、この一致!」
真一郎が大きな声を挙げた。
「羽生善治七冠誕生の前年が4-4のゾロ目。そして、藤井聡太八冠誕生の前年も同じく4-4のゾロ目!」
マスターが頷いて言った。
「これだけでもすごい偶然ですが続きがあります。羽生善治七冠誕生年の秋華賞とエリザベス女王杯。同じ馬番が勝っているのです」
1996 第1回 秋華賞
7-(15)ファビラスラフイン
1996 第21回 エリザベス女王杯
(古馬牝馬GⅠへ変更)
8-(15)ダンスパートナー
「節目の年だから、優勝馬のゼッケンを同じものにしたのかしら?」
ギョニ子の問いに、マスターが言った。
「そういうことでしょうね。今年の秋華賞が羽生善治七冠誕生年を踏襲するなら、昨日出てきた9番のほかに、どのゲートがふさわしいでしょうか」
「ファビラスラフインとダンスパートナーの15番だけど・・・」
麗子ママが言った。
「サクラキャンドルの勝ったエリザベス女王杯。その時に15番にいた馬を見てみて」
秋華賞創設前年1995 エリザベス女王杯
(“最後”の3歳限定戦)
1着:4-07 サクラキャンドル
5着:7-(15)ユウキビバーチェ
1996 第1回 秋華賞
7-(15)ファビラスラフイン
1996 第21回 エリザベス女王杯
(古馬牝馬GⅠへ変更)
8-(15)ダンスパートナー
「15番ユウキビバーチェ。この馬のゼッケンが、翌年のファビラスラフインとダンスパートナーに引き継がれた・・・そういうことでしょうか?」
真一郎の問いに、麗子ママが答えた。
「結果だけ見ればそうとれるわね。そして面白いのが、昨年の秋華賞で15番にいた馬」
2022 秋華賞
8-(15)サウンド(ビバーチェ)
1995 エリザベス女王杯
7-(15)ユウキ(ビバーチェ)
「昨年は阪神開催でフルゲートが16頭だったために、7枠15番ではなく8枠15番だったけれど、『15番・ビバーチェ』が一致するわ」
麗子ママの説明にタコ社長が続いた。
「なるほど、15番は要注意になるなあ。ビバーチェなんてそうそうある名前じゃねえしな」
「それにね、社長さん」
麗子ママが言った。
「サウンドビバーチェはJRAのトップ画像にもスタニングローズの左後方に見えているの。この画像も15番には注意しなさいと言っているみたい」
その日はそのあと雑談タイムとなり、30分ほどでお開きとなった。
■ 踊るマハラジャ
2023年10月12日(木)午後8時
-東京都某区 スナック忘れな草-
「今年の秋華賞で忘れてはならないのが、トライアルのひとつ紫苑ステークスが、GⅡに昇格した年ということでしょうね」
マスターが言った。
「3歳牝馬のGⅠトライアルで、紫苑ステークスの前にGⅡに昇格したのが、2018年のチューリップ賞でした」
2018 チューリップ賞
※GⅡ昇格年
優勝馬ラッキーライラック→桜花賞2着
アーモンドアイ 三冠
2023 紫苑S
※GⅡ昇格年
優勝馬モリアーナ→秋華賞2着(枠)?
リバティアイランド 三冠?
「なるほどなぁ。チューリップ賞のときも三冠馬が誕生していて、チューリップ賞優勝馬のラッキーライラックは桜花賞で2着だったわけだ」
タコ社長が言った。
「するってえと、イージーに同じことをしてくれるなら、リバティアイランド1着、モリアーナ2着でいいってわけかい?」
マスターが頷いて言った。
「直球ならそうなりますね。モリアーナ自身でなければ、モリアーナの同枠が動くことも考えられます。いずれにしても、モリアーナが入った枠は無視できないでしょうね」
「モリアーナと言えば・・・」
ギョニ子が言った。
「厩舎は武藤善則よね?強引だけど、即パット動画からも示唆されていると思うの」
ギョニ子が言う即パット動画とは、11日にアップされた「ツカッテミテネ!即PAT」という動画だった。
「これってどう見てもインド映画のパロディよね?インド映画でググってみたら、ヒットしたのがこの映画」
『ムトゥ 踊るマハラジャ』
制作国:インド
公 開:1995(インド)、1998(日本)
「おお!ムトゥが武藤を示唆してるってわけかい?それはおもしれえなあ」
タコ社長が感心したように言った。
その日はそのあと雑談タイムとなり、1時間ほどでお開きとなった。
■ ビッグウィーク
2023年10月13日(金)午後6時
-東京都某区 スナック忘れな草-
いつもは常連客の中では一番乗りのタコ社長が、今日は最後に登場した。真一郎が日曜日に出勤となってしまい、今日金曜日が代休となったため、枠順確定の朝10時から今日が休みのギョニ子とスナック忘れな草に来ていたのだった。
家の家事や買い出しが終わった麗子ママも午後3時頃には合流し、マスター、麗子ママ、真一郎、ギョニ子の4名で府中牝馬ステークスと秋華賞の検討をしていた。
「9番でも15番でもなかったなあ」
タコ社長はいつものカウンター左角に腰をおろすと、競馬新聞を広げながら言った。
「まさか三冠危うし・・・ってことはねえよな?」
タコ社長の視線を受けたマスターは首を振って言った。
「それはないと思いますよ。センテニアルパーク京都競馬場グランドオープン。東京オリンピック開催予定年に2頭の無敗の三冠馬を誕生させたように、それなりのシナリオをJRAは用意してあるはずです」
「そりゃわかるんだけどよう、ママコチャと同じ3枠6番ってのはどうなんだい?」
タコ社長は、スプリンターズSと同じゲートなのが気に入らないという。マスターが答える。
「私も第一印象はそうでした。ですが、川田将雅騎手が3枠6番で勝ったGⅠを見てみたら、悪くないゲートだと思います」
<川田将雅騎手 「3枠6番」でのGⅠ勝利>
2008 皐月賞 キャプテントゥーレ
(川田将雅 GⅠ初勝利)
2010 菊花賞 ビッグウィーク
(川田将雅 GⅠ2勝目)
2015 安田記念 モーリス
2023 スプリンターズS ママコチャ
2023 秋華賞 リバティアイランド ?
「川田将雅騎手は、過去に3枠6番で4度GⅠを制していますが、実はGⅠ初勝利とGⅠ2勝目が、同じ3枠6番だったのです」
「なるほどなぁ。そういう前例があるならむしろプラスか・・・」
タコ社長が頷いて言った。
「GⅠ2勝目だったビッグウィーク。菊花賞ですから芝3000mですが・・・」
真一郎が言った。
「GⅠヘッドラインに『燦然』というレアワードが使われています。『燦然』を距離の『三千』と解釈すると、このビッグウィークを示唆ともとれます」
「同じゲートで続けてGⅠを勝つ・・・それを暗示してるってわけかい」
タコ社長はそう言ってうんうんと頷いた。
■ 喜望峰
「社長さん、寺尾聰のルビーの指輪はご存じですよね?」
マスターがタコ社長に尋ねた。
「そりゃあ知ってるよ。ザベストテンで10週以上1位を続けたモンスター級のヒット曲だ」
「ルビーの指輪が入っているアルバムが、寺尾聰初のオリジナルアルバム『Reflections』です」
マスターは説明を続けた。
「昨日、今日子ちゃんが話してくれた即パット動画。インド映画のパロディだと説明してくれました。インドからの連想なのですが、冒険家ヴァスコ・ダ・ガマは喜望峰回りでインドを発見しています」
1981発売 寺尾聰『Reflections』
A面
1.「HABANA EXPRESS」
2.「渚のカンパリ・ソーダ」
3.「喜望峰」 ★
4.「二季物語」
5.「ルビーの指環」 ★
B面
1.「SHADOW CITY」★
2.「予期せぬ出来事」
3.「ダイヤルM」
4.「北ウィング」 ★
5.「出航 SASURAI」
「ご覧のように、『Reflections』で3曲目に当たるのが喜望峰、5曲目が大ヒット曲ルビーの指輪。3番と5番でリバティアイランドは桜花賞、オークスと連勝しました」
「面白くなってきたじゃねえか!」
タコ社長が興奮気味に言った。
「秋華賞に出走する、キタウイングって曲が入っているのは偶然とは思えねえ」
「そうすると、B面の1曲目、つまり全体では6番目に当たるのが、秋華賞におけるリバティアイランドのゲートになりますね?」
1981発売 寺尾聰『Reflections』
A面
1.「HABANA EXPRESS」
2.「渚のカンパリ・ソーダ」
3.「喜望峰」 ★桜花賞
4.「二季物語」
5.「ルビーの指環」 ★オークス
B面
1.「SHADOW CITY」★秋華賞
2.「予期せぬ出来事」
3.「ダイヤルM」
4.「北ウィング」 ★秋華賞出走馬
5.「出航 SASURAI」
「ふむふむ。6番ゲートに当たる6曲目は『SHADOW CITY』。これまたヒットした曲だったな」
タコ社長はそう言って、目でマスターに先を急がせた。
「『SHADOW CITY』・・・シャドウを馬名に含む馬で、秋華賞に出走した馬がいます」
2019 秋華賞
1着:3-05 クロノジェネシス(サンデー)
2着:4-08 カレンブーケドール
4着:5-09(シャドウ)ディーヴァ
「枠の3-4か!リバティアイランドがいる枠と、モリアーナがいる枠じゃねえか!」
2023 秋華賞
3-06 リバティアイランド(サンデー)
4-07 マスクト(ディーヴァ)
4-08 モリアーナ(GⅡ昇格紫苑S 1着)
「そういうことです」
マスターは頷いた。
「クロノジェネシスと同じサンデー。そして、シャドウディーヴァと同じ『ディーヴァ』を持つ馬が4枠にはいます」
「枠の3-4。人気だろうが熱いんじゃねえの!」
タコ社長はそう言って前傾姿勢となった。マスターらの説明に、どんどん引き込まれていっている。
■ 反転
「枠の3-4をさらに絞り、馬連の6-7と考えてみました。根拠はやはり寺尾聰の『Reflections』。意味は「反射」「反響」「熟考」「内省」などあるらしいですが、リバースのリを持っていますから、ここは大胆に『反転』と意訳してみます」
2020 秋華賞
6-12(マジック)キャッスル(社台・正12)2着
7-13 デアリングタクト (三冠・正13)1着
2023 秋華賞
3-06 リバティアイランド (三冠・逆13) 1着?
4-07(マスク)トディーヴァ(社台・逆12)2着?
「枠の3-4・・・それも馬連の6-7で決まると、デアリングタクトの秋華賞をきれいに反転させたかたちになります。2着馬が『社台・野球用語』という共通点を持って」
「なるほどなぁ。しかし野球用語というのはどこから出てきたんだい?」
■ パーフェクト・リバティー
タコ社長のその質問には、麗子ママが答えた。
「即パット動画に、インド映画のパロディ篇のほかに、Mattさんのバージョンもあがってるの」
「Mattっていやあ、桑田真澄の息子じゃねえか?」
「その通りよ、社長さん。桑田真澄には『マスク』が入ってるわ」
(く)わた(ます)み
「野球にはマスクがつきものでしょ?」
麗子ママの説明を受けて、真一郎が続けた。
「社長さん、桑田真澄と言えばKKコンビ。今年、清原和博の息子が話題になりましたね?」
「おう。慶応高校な。100何年振りだかの甲子園優勝だった。えーと、息子の名前は・・・」
「カツジ。清原勝児です。カツジという馬がいましたが、旧京都競馬場で最後に重賞を勝ったのがカツジでした」
2020/10/31(土)
京都11R スワンS
2-04 カツジ(岩田康誠)
※旧京都競馬場最後の重賞
2023 秋華賞
4-07(マスク)トディーヴァ(岩田望来)
「ひゅーひゅー!!マスクトディーヴァは岩田パパの息子望来!この馬が隠れカツジ。つまり清原ジュニアってわけだ」
タコ社長の言葉に、マスターが続けた。
「リバティアイランドが桑田真澄なら、相手には清原和博がぴったりというわけです。二人の母校はもちろんPL学園。PLはパーフェクトリバティーの略。リバティアイランドを示唆しています」
■ 二人の和博
「例のドラフト事件で、二人は別々の球団に入ります。桑田真澄は巨人へ、清原和博は西武ライオンズへ。奇しくも、桑田真澄の初登板でマスクをかぶっていた捕手・・・彼の名前も和博だったのです」
「和博?」
タコ社長が訊いた。
「意外性の男と言えばわかりますね?」
「おお!意外性の男、山倉和博かい!懐かしいぜ!記録にはあまり残らない選手だったが、記憶に残る一発があったよなあ」
タコ社長はそう言って目を細めた。
「山倉和博の背番号が、実は15番なのです」
「その15番がどうしたんだい?」
「リバティアイランドが三冠を達成すれば、牡馬、牝馬通じて15頭目の三冠馬となるのです」
<牡馬三冠馬>
1941年 セントライト
1964年 シンザン
1983年 ミスターシービー
1984年 シンボリルドルフ
1994年 ナリタブライアン
2005年 ディープインパクト
2011年 オルフェーヴル
2020年 コントレイル
<牝馬三冠馬>
1986年 メジロラモーヌ
2003年 スティルインラブ
2010年 アパパネ
2012年 ジェンティルドンナ
2018年 アーモンドアイ
2020年 デアリングタクト
2023年 リバティアイランド ?(15頭目)
■ パパとママ
「秋華賞が枠の3-4かもしれないというのには、まだ根拠があるわ」
ギョニ子が言った。
「府中牝馬ステークスの3枠と4枠を見てみて」
府中牝馬S
3-03 ルージュスティ(リア)
4-04 ストー(リア)
「リアとリアの接触。これはデアリングタクトの秋華賞を示唆していると思うの」
2020 秋華賞
1着:7-13 デアリングタクト
13着:1-02 リアアメリア(川田将雅・中内田充正)
3-06 リバティアイランド(逆13・川田将雅・中内田充正)
「リアリアを含むリアアメリア。川田将雅と中内田充正はリバティアイランドと同じコンビ。13番で1着したデアリングタクトとは対照的に、2番人気を裏切る13着だったわ。この惨敗の秋華賞のひとつ前のレースが、大原ステークス」
2020/10/18
京都10R 大原S
4-05 レイ(パパ)レ(川田将雅)
「おお!レイパパレな!抽選に通ってたら、デアリングタクト危うしって噂もあったよなあ」
タコ社長がそう言うと、マスターが頷いて言った。
「JRAは無敗の三冠馬を2頭同時に誕生させたかったでしょうから、レイパパレの抽選漏れは必然だったのでしょう。パパを馬名に含む馬で勝ったあとの秋華賞。それが2020年のリアアメリアだったのです」
府中牝馬S
3-03 ルージュスティ(リア)
4-04 ストー(リア)
秋華賞 枠3-4 ?
「そして今年、川田将雅はパパではなくママ。ママコチャからのGⅠ連勝を、同じゲートで狙っているというわけです」
2023 スプリンターズS
(3-06)ママコチャ(川田将雅)
2023 秋華賞
(3-06)リバティアイランド(川田将雅)
「よくできてるぜ!秋華賞は枠の3-4一本でいいような気がしてきたよ!」
タコ社長が言った。マスターが続く。
「そうなると、藤井聡太八冠馬券は秋華賞ではなく、府中牝馬ステークスではないかという気がするのです」
■ 燦然
秋華賞 GⅠヘッドライン
「秋華の伝説へ、歴史に燦然と輝きを刻む。」
「秋華賞のヘッドラインに、レアな燦然というワードが使われていることは、さきほど話しましたね。そのときは距離3000mの菊花賞を示唆と捉えましたが、JRAで唯一3,000勝を達成している、武豊と考えることもできます」
「燦然」→「三千」
武豊 3,000勝
2007/11/3 京都01R
8-08 スカイビューティー(武豊)
同日東京メイン(アイルランドT)
1着:5-08 トウカイオスカー(5枠左)
2着:1-01 レイルバード (正1・北村宏司)
(アイルランドT)府中牝馬S
5-06 プレサージュリフト(5枠右)
8-13 フィアスプライド (逆1・北村宏司)
「寺尾聰の『Reflections』を『反転』と意訳し、もし秋華賞が馬連6-7なら、ちょうどデアリングタクトの秋華賞を反転させた形だと言いました」
2020 秋華賞
6-12(マジック)キャッスル(社台・正12)2着
7-13 デアリングタクト (三冠・正13)1着
2023 秋華賞
3-06 リバティアイランド (三冠・逆13)1着?
4-07(マスク)トディーヴァ(社台・逆12)2着?
「同様に、燦然から示唆される2007年のアイルランドトロフィーを、5枠左から5枠右へ、正1番から逆1番へと反転させると、プレサージュリフトとフィアスプライドになります」
「そりゃあいいや!」
タコ社長が頷いて言った。
「藤井聡太八冠の8枠をしっかり使って、2007年と同じ北村宏司も使う。こりゃあ、府中牝馬ステークスは枠の5-8でいいんじゃねえか?」
タコ社長がそう言って、スナック忘れな草の勝負馬券が決まった。
スナック忘れな草 勝負馬券
府中牝馬ステークス
◎13番フィアスプライド
〇6番プレサージュリフト
枠連:5-8
秋華賞
◎6番リバティアイランド
〇7番マスクトディーヴァ
枠連:3-4
■ 編集後記
王座戦で八冠独占を決めた愛知県出身の藤井聡太竜王・名人ですから、トウカイオーザについても触れなければいけません。この馬の戦歴から、どのレースを拾うか?
将棋には「矢倉囲い」がありますが、これは城の櫓(やぐら)に見た目が似ているからという説があります。
であれば、トウカイオーザの小倉城特別でしょうか?
2001/7/14
小倉11R 小倉城特別
1着:3-03 トウカイオーザ
2着:4-04 ミスズトップ
寄せていると言われればそれまでですが、府中牝馬ステークスの3枠4枠の「リア・リア」も含め、人気サイドですが枠3-4の秋華賞と予想します。
ところでなぜJRAはPL学園のKKコンビを登場させたのか?それは、隠れキーワード「別離と再開」が理由だと思っています。清原和博が巨人に入団したことで、KKコンビは再びチームメイトとなりました。
リバティアイランド≒自由の女神
3.11の同時多発テロにより、約3年閉鎖されていたとWikipediaにあります。京都競馬場もまた、長い改修工事のため閉鎖されていました。
「別離と再開」
一度は別れてもいずれまた会う。
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ
(小倉百人一首 第77首・崇徳院)
この歌は、岩によって一度は別れた水流がまた合流することを歌っています。
10/7(土)京都11R 藤森S
1-01 タガノクリステル(≒滝川クリステル)
「滝川」の一致が、一週前の予告だと思うのですが、どうなりますでしょうか。