スナック忘れな草~スルメ馬券・2023シリウスS~
2023年9月29日(金)午後7時
-東京都某区 スナック忘れな草-
■ アタルセブンシーズ
スナック忘れな草の店内には、スルメの焼ける香ばしい匂いが漂っていた。タコ社長の工場の従業員が、函館旅行のお土産にくれたという。
「スルメの焼ける匂いって食欲をそそりますね」
真一郎がそう言うと、タコ社長が言った。
「しんちゃん、おめえ今なんつった?」
「いや・・スルメの匂いって・・」
「てめえ、勝負師の風上にも置けねえ野郎だな!スルメじゃなくてアタリメだろ!!」
タコ社長に一喝されて、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている真一郎に、マスターが話して聞かせた。
「しんちゃん、スルメの『する』はお金を『する』・・・つまりギャンブルの負けを意味します。だから『する』ではなく『当たり』という言葉をあてて『アタリメ』というのです」
「マスター、ありがとな」
タコ社長はそう言って、眞露の水割りをグイっと喉に流し込んだ。
「同じように、商売してるやつぁ『すり鉢』のことを『あたり鉢』って言うぜ。覚えときな」
「あら?『あたり鉢』をひっくり返したら『罰当たり』になるから、縁起がいいんだか悪いんだかわからないわ」
そう言って茶化したギョニ子をタコ社長がにらみつけて一触即発のムードになったとき、マスターが言った。
「縁起を担ぐといえば、先週出た話題がFacebookのキャンペーン、『あなたのゲン担ぎを大募集!』でしたね。シリウスSのトウセツは面白いかもしれませんよ」
「トウセツ?馬名意味は当節か・・・まあ、このごろ、最近って意味だよなあ。ゲン担ぎに関係あるかい?」
タコ社長の疑問に、焼いたスルメをみんなに配り終わった麗子ママが答えた。
「トウセツの馬名意味は社長さんのおっしゃる通りですけど、読み方を変えると『あたりぶし(当節)』になるわ。削り節のことね。『する』を忌み嫌ったのと同じ理由で、『削る』を忌み嫌って縁起のいい『あたり』をあてたわけ」
「なるほどなあ。当たり節のトウセツなら買ってみたくなるぜ!」
タコ社長がそう言うと、ギョニ子が続いた。
「そう言えば、日曜日に凱旋門賞に出るスルーセブンシーズ。『する』を『当たる』に変えてアタルセブンシーズにしたらいいのに」
店内がどっと笑いに包まれた。マスターが言う。
「凱旋門賞の枠順が発表されましたが、スルーセブンシーズは馬番9番に入りましたね。私たちが今週注目している数字です」
「海外競馬はよう・・・」
タコ社長が苦い顔をして言った。
「馬番とゲート番が違うレースがあるだろ?あれがなんかややこしくてなあ・・」
スルメのげそを奥歯で引きちぎりながら、ギョニ子が言った。
「でもあれでしょ?馬券は馬番のほうで買うはずだから、大事なのはゲート番より馬番じゃないかしら?スルーセブンシーズが9番に入ったことで、やはり今週は『9番』が大事だと言っている気がするわ」
その言葉を受けて真一郎が言った。
「そう言えば、くろたんさんからの情報で、シリウスステークスの出走馬情報が珍しく9頭だったとありましたよね?9番目の馬ってなんでしたっけ?」
スマホを操作して確認したタコ社長が、素っ頓狂な声を挙げた。
「ありゃりゃ!今見たら8頭になってるぜ!」
マスターが落ち着いて説明した。
「出走馬情報の更新は週二回のはずです。一度目が火曜日、二度目が木曜日。ハンデ61キロを課されたレモンポップが回避したため、木曜日に8頭へ修正されたのでしょう」
麗子ママが続く。
「9頭のときのキャプチャを取っておいてよかったわ。レモンポップが消される前の9番目はトウセツだったみたい。レモンポップが回避したことで、2番目以降がそれぞれ繰り上がり、トウセツは8番目になったわよ」
08番 トウセツ(新出走馬情報)
09番 トウセツ(旧出走馬情報)、スルーセブンシーズ(凱旋門賞馬番)
10番 トウセツ(シリウスS馬番)
■ 頭と尾っぽ
いつもよりも長めにとった15分の休憩後、マスターが口を開いた。
「休憩中にトウセツの戦歴を見てみたのですが、興味深いレースに出走しています」
2022/12/17
中京11R 尾頭橋S
5-10 トウセツ 2着
「尾っぽと頭に橋と書いて『おとうばし』。つまり最初と最後というわけです」
「それがどうしたんだい?」
タコ社長が疑問を呈した。マスター以外の3名も、同じ気持ちだったのか頷いている。
「今週の競馬ですが、明日土曜日が尾っぽに当たる9月30日、あさって日曜日が頭に当たる10月1日。月をまたぎます。JRAは連続する開催を『節』と呼んでいますが、調べたところ、今週は今年の開催で唯一、ひとつの節が月をまたぐ開催なのです」
「それってすごいレアなことなの?」
ギョニ子の問いにマスターが頷く。
「昨年も調べましたが、昨年は4月30日と5月1日だけが同一節でした」
<2022 月またぎ開催>
4月30日(土)青葉賞 プラダリア
5月01日(日)天皇賞(春)タイトルホルダー
「タイトルホルダーが春天を勝った週か!」
真一郎が言った。マスターが頷く。
「昨年の月またぎ開催が面白いのが、4月30日が2019年の平成最後の日。5月1日が同じく令和最初の日だったということです」
4月30日(土)平成最後の日
5月01日(日)令和最初の日
※2019年
「そして今週は、平成と令和ほどではないですが、やはり節目の週に当たります」
09月30日(土)上半期最後の日
10月01日(日)下半期最初の日
「なるほどなあ。昨年の春天の週と今週は、どっちも大きな節目に絡む開催であり、月またぎの開催でもあるってことか!」
タコ社長はそう言って腕を組んだ。マスターが続ける。
「そういう意味では、馬名に『節』を持ち、戦歴には『最初と最後』を示唆する『尾頭橋』があるトウセツ。このシリウスSは千載一遇のチャンスかもしれません」
■ ヘッドとテール
マスターの説明が終わると、スマホを操作していた麗子ママが言った。
「頭と尻尾で思い出したんだけれど、JRAアプリリリース記念について検討した日に、スルーセブンシーズの初富士Sが出てきたわよね?」
スナック忘れな草
~JRAアプリリリース記念からの注目枠・スプリンターズS週中解読②~
麗子ママが言うには、スルーセブンシーズの出世レースとなった今年の初富士Sの3枠に、尾頭橋S同様、頭と尾っぽを示唆する馬がいるという。
2023/1/21 初富士S
1着:4-06 スルーセブンシーズ
2着:4-05 ルドヴィクス
3-03 ヘッズオアテール(ズ)
3-04 クライミング(リリー)
「赤富士SがJRAアプリリリース記念に変更されることから、『リリース』があるということで注目した初富士Sの赤枠。3番ヘッズオアテールズの馬名意味は『コイントスで表か裏か』になってるわ」
「へえー!それは面白いわね。尾頭橋が頭と尾っぽ。ヘッズオアテールズは表と裏。どちらも同じような意味合いよね?」
ギョニ子がみんなに同意を求めた。マスターが答える。
「トウセツ・・・当節・・・つまり今週の競馬。それが月またぎのレアな開催。JRAアプリリリース記念のニュース発表が今週だったことは、『表裏一体』というキーワードを教えてくれているかもしれませんね」
マスターのこの発言が、のちにスプリンターズSの本命馬をアグリから別の馬に変えるきっかけになることには、この時点ではまだ誰も気づいていなかった・・・
■ 萩野公介 STORY8
「さてと、そろそろシリウスSのまとめに入らねえか?マスター、トウセツのオッズならあれやこれや考えず、黙って単複でいいんじゃねえか?」
「そうですね。まずは単複を押さえましょう」
マスターが答える。
「相手を絞るなら8枠のハギノアレグリアスはどうでしょう?今週、水泳の金メダリスト、萩野公介さんの新しい動画がアップされています」
『萩野公介×JRA THE STORIES』
「STORY8 宮崎育成牧場」#1
~温暖な気候に包まれた育成施設~
真一郎が言った。
「萩野・・・STORY8・・・8枠のハギノはいいですね!」
スマホを操作していたギョニ子が、残念そうに言った。
「宮崎育成牧場からの宮崎北斗。今週1鞍のみで期待したんだけど、トウセツの枠でもハギノアレグリアスの枠でもなかったわ・・・」
<宮崎北斗 今週1鞍>
9/30(土)中山08R
3-05 ウォルラス(宮崎北斗)
「いや、悪くはないですよ」
パソコンを操作しながらマスターが言った。
「5番ウォルラスには『ラス』があります。ラス・・・つまり最後から5番目ならトウセツに当たります」
3-05 ウォルラス(正5)
6-10 トウセツ (逆5)
麗子ママが続く。
「同枠馬のスマイルアップの勝負服を見てみて!ハギノアレグリアスの勝負服とすごく似ているわ」
9/30(土)中山08R
3-05 ウォルラス(宮崎北斗)
3-06 スマイルアップ(馬目卓)
「ホントだなあ!宮崎北斗がサインを発信してくれるなら、トウセツとハギノアレグリアス。この2頭の1点をズバリ指名してくれるかもしれねえぜ!」
タコ社長がそう言うとみんなうんうんと頷き、スナック忘れな草の勝負馬券が決まった。
スナック忘れな草
シリウスS 勝負馬券
単複:10番 トウセツ
馬連・ワイド:10-14
■ 編集後記
長くなるので割愛しましたが、水曜日に行われた地方交流重賞「日本テレビ盃」と、明日行われる盛岡のダービーグランプリ。この2つの重賞との絡みもみておいたほうがいいかもしれません。
9/27(水)船橋11R
第70回 日本テレビ盃 ダ1800
1-01 テンカハル(正1)2着
8-11 セキフウ (逆1・4文字馬名)4着
シリウスS ダ2000
1-01 キリンジ(正1・4文字馬名)
8-14 ハギノアレグリアス ?着
「端にいる4文字馬名の逆サイドが2着」
ハギノアレグリアスの着順は?
10/1(日)盛岡11R ダ2000
第36回 ダービーグランプリ
※来年より「ジャパンダートクラシックトライアル不来方賞(JpnⅡ)」へ変更
1-01 ベルピット (北海道)
2-02 ルーンファクター (岩手)
3-03 タイガーチャージ (大井)
4-04 ニシケンボブ (北海道)
5-05 サベージ (大井)
6-06 マンダリンヒーロー(大井)
7-07 ミックファイア (大井)
7頭立ての意味は?
スプリンターズSのCM、2000年のテイエムオペラオー。2000年も、9月30日と10月1日が小説内でふれたのと同じ「月またぎ開催」でした。
<2000年 9月最終週>
9/30(土)
ユニコーンS(アグネスデジタル)
枠1-7-4(馬1-14-8)
※中山ダ1800 最終年
10/1(日)
スプリンターズS(ダイタクヤマト)
枠8-5-1(馬15-9-2)
「3歳ダート三冠路線」「大きな変更のある前年」という意味で、2000年のユニコーンSと明日のダービーグランプリは何かを揃えてくるはず。ド本命の枠1-7ならズバリですが・・・
そして2000年のスプリンターズS。ダイタクヤマトの単勝は25,750円の万馬券。前走単勝万馬券のテイエムスパーダの着順は?