スナック忘れな草~ユニコーン大谷・2024天皇賞(春)本命馬決定篇~
トップ画像引用:THE ANSWER
■ 8頭立て羽田盃
2024年4月21日(日)午後5時
-東京都某区 スナック忘れな草-
「8頭立てとはずいぶん寂しい頭数になったじゃねえか?」
タコ社長がスマホを見ながら言った。わずかに眉間にしわを寄せている。
来週24日の水曜日に施行される、3歳ダート三冠の第1戦、羽田盃のことだ。今日出馬表が確定したのだが、ふたを開けてみればわずか8頭という少頭数の顔ぶれとなった。
「注目の1番には牝馬のアンモシエラね」
ギョニ子が言った。JRAの皐月賞では、三冠馬シンボリルドルフを彷彿とさせるシンエンペラーの同枠馬、ジャスティンミラノが勝った。
地方版皐月賞では、空港名羽田盃にお似合い、かつ、シンボリルドルフの次の三冠馬である、ナリタ(成田)ブライアンの1番が使われるのではないかという読みをしていたのだ。
皐月賞
7-13 ジャスティンミラノ 1着
7-14(外)シン(エンペラー)5着
※エンペラー ≒ シンボリルドルフ
羽田盃
1-01 アンモシエラ 牝3(横山武史)?着
※1994 ナリタ(成田)ブライアンの皐月賞優勝ゲート
「牝馬で横山武史と言えば・・」
ギョニ子の右隣りにいる真一郎が言った。
「皐月賞の紅一点レガレイラ。同枠に横山武史がいましたね」
皐月賞
5-09 アーバンシック(横山武史)4着
5-10 レガレイラ (牝馬) 6着
「レガレイラが勝ったホープフルステークス。アンモシエラも出てたんですよね?」
2023 ホープフルS 18頭→16頭
2-03 アンモシエラ(牝2・藤田菜七子)15着(ブービー)
7-13 レガレイラ (牝2・ルメール) 1着
「こうしてみると・・」
マスターが言った。
「皐月賞のジャスティンミラノは、ホープフルステークスでレガレイラがいたゲートで優勝したんですね」
ホープフルS
7-13 レガレイラ 1着
皐月賞
7-13 ジャスティンミラノ 1着
※レガレイラ 紅一点参戦
「そのレガレイラの皐月賞、『5枠左』という位置・・」
今度は麗子ママだ。
「今日のフローラステークスを勝ったのが『5枠左』8番のアドマイヤベルで、鞍上が皐月賞でレガレイラの同枠にいた横山武史だった・・・」
皐月賞
5-09(ア)ーバンシック(横山武史)4着
5-10 レガレイラ (5枠左・牝馬)6着
フローラS
5-08(左)(ア)ドマイヤベル 1着
(牝3・横山武史・正8)
羽田盃 8頭
1-01(ア)ンモシエラ ?着
(牝3・横山武史・逆8)
「羽田盃の枠順はフローラステークスが始まる前に確定してたんだろ?アンモシエラがアドマイヤベルを教えてたってことはないかい?」
タコ社長の言葉に、みんながうーんという低いうなり声をあげた。ギョニ子が言った。
「そう言われるとそうかも・・・・・アンモシエラは2番手以下が無難かしら?逆1番のブルーサンを軸にしたほうがいいかもね?」
羽田盃 8頭
1-01 アンモシエラ(正1・牝3)
8-08 ブルーサン (逆1)
ブルーサンの前走雲取賞1着が、ナリタブライアン同様1番で皐月賞を制覇し、その年の三冠馬となったコントレイル(飛行機雲)に通じるということで、注目していた馬だった。
まだ少し日にちもありますし、買い目決定は今度にしましょうというマスターの提案で、羽田盃についてはそこまでとなった。
■ ユニコーンステークス
軽い雑談タイムで小休止したあと、話題は天皇賞春のことに移っていた。
マスターは、3歳ダート三冠第2戦、東京ダービーのトライアルに位置付けられた、ユニコーンステークスの移動が肝だろうという。
「ユニコーンといえばドジャースのユニコーン大谷。今年は残念ながら打者に専念しますが、彼を使うなら人気馬から2頭が浮上しますね」
天皇賞(春)
テーオーロイヤル
(左回りダイヤモンドS→右回り阪神大賞典連勝)
ドゥレッツァ
(17番で菊花賞を制覇→大谷翔平の背番号)
「ドゥレッツァはすぐに気づいたけどよう、テーオーロイヤルも二刀流とは見えづらいぜ!」
タコ社長が感心したように言った。マスターが、そこへ思い至った経緯を説明する。
「3歳ダート三冠ですが、二冠目の東京ダービーと、三冠目のジャパンダートクラシックが大井のダート2,000mと、まったく同じ条件なのです」
<3歳ダート三冠>
羽田盃 (大井1,800m)
東京ダービー(大井2,000m)
ジャパンダートクラシック(大井2,000m)
みんながうんうんと頷いた。
「もしかしたら将来、二冠目の東京ダービーは、左回りで施行したいのではないでしょうか?」
マスターが言うには、大井競馬場は現在世界で唯一、左右両回りの施行が可能な競馬場だという。大井競馬場で左回りの重賞戦を施行するには、クリアしなければならない問題点が様々あるが、実現すれば3歳ダート三冠路線がさらに注目されるだろうという読みだ。
「二刀流と言えば、アグネスデジタルやクロフネのように、芝とダート両方でGⅠ制覇というイメージですが、左右両回りの二刀流とは面白いですね」
真一郎が言った。マスターが頷いて答える。
「ダイヤモンドステークスから阪神大賞典。両方勝った馬は何頭かいますが、連勝した馬となると、1986年以降だとテーオーロイヤルが初となります」
「へえーー!何か一発やりそうな気配はあるわね」
ギョニ子が言った。
「もう一頭のユニコーン大谷ホース。ドゥレッツァはどうなのかしら?」
■ お東さん
「こちらも注目ですね」
マスターが言った。『馬宴2024』の第一幕、『春の大宴会』の舞台となっているお東さん広場もまた、大谷翔平を示唆しているからだという。
「『お東さん』とは私にとっては耳慣れない言葉だったのですが、京都にある東本願寺のことで、ここは『真宗大谷派(しんしゅう おおたには)』のお寺なんだそうです」
東本願寺(お東さん)
真宗大谷派
「なるほどなあ!しっかり『大谷』が入ってるってわけか!」
タコ社長が腕を組みながら言った。
「で、前走金鯱賞2着っつうのはどうなんだい?」
■ メジロマックイーン
「もう調べてあります」
マスターがニヤリと笑って言った。みんなにパソコンの画面を見せる。
「ドゥレッツァはご存じ菊花賞馬ですね。1986年以降、天皇賞春をも制した菊花賞馬の、菊花賞の次のレースを調べてみたんです」
<菊花賞と春天制覇馬・菊花賞の次のレース>
※1986~
タイトルホルダー :同年有馬記念5着
ワールドプレミア :同年有馬記念3着
フィエールマン :AJCC2着
キタサンブラック :同年有馬記念3着
ゴールドシップ :同年有馬記念1着
ディープインパクト:同年有馬記念2着
ヒシミラクル :同年有馬記念11着
マンハッタンカフェ:同年有馬記念1着
マヤノトップガン :同年有馬記念1着
ビワハヤヒデ :同年有馬記念2着
ライスシャワー :同年有馬記念8着
メジロマックイーン:阪神大賞典1着
スーパークリーク :同年有馬記念失格
「ええー!?ほとんどが有馬記念を使ってるのね?例外はメジロマックイーンとフィエールマンだけ・・・ドゥレッツァは大丈夫なのかしら?」
ギョニ子が眉根を寄せて言った。ドゥレッツァは菊花賞制覇後有馬を使わず、今年の金鯱賞2着が始動戦だったのだ。
マスターが毅然と答えた。ドゥレッツァには、その例外の2頭と共通点があるという。
「まずメジロマックイーンとは、菊花賞が重賞初挑戦だったという共通点があります」
1990 菊花賞
メジロマックイーン(重賞初出走)1着
2023 菊花賞
ドゥレッツァ(重賞初出走)1着
「先ほど挙げた13頭。メジロマックイーン以外の馬は、菊花賞の前に1戦以上重賞を使っていました」
「フィエールマンとは何か共通点があるんですか?」
真一郎が訊いた。マスター以外のみんながうんうんと頷いた。同様の疑問を持っていたのだ。
■ 戸崎圭太
「ドゥレッツァは、フィエールマンとも共通点がふたつあります。ひとつ目は、天皇賞春の施行日が4月28日という点です」
2019/4/28
第159回 天皇賞(春)
フィエールマン(前年菊花賞V)1着
2024/4/28
第169回 天皇賞(春)
ドゥレッツァ(前年菊花賞V)1着?
「もうひとつの共通点は?」
麗子ママが先を促した。マスターが頷く。
「それは騎手です。騎手が、同年の皐月賞を制覇している・・・つまり、騎乗機会においてGⅠを2連勝しているということです」
2019 皐月賞
サートゥルナーリア(ルメール)
2019 天皇賞(春)
フィエールマン(ルメール)
※ルメールGⅠ連勝
2024 皐月賞
ジャスティンミラノ(戸崎圭太)
ドゥレッツァ(戸崎圭太)1着?
※戸崎圭太GⅠ連勝?
みんながおおという歓声を挙げた。タコ社長が言った。
「乗り替わりはルメちゃんの落馬負傷によるものだから偶然だろうが、いい騎手に乗り替わったつうこったな?」
みんながうんうんと頷き、スナック忘れな草の天皇賞(春)本命馬が決まった。
スナック忘れな草
天皇賞(春) 本命馬
ドゥレッツァ(戸崎圭太のGⅠ連勝)