スナック忘れな草~東京9R陣馬特別・新潟10R邁進特別~
トップ画像引用:第2回 東京競馬イベント
■ 期待値が高まる
2024年4月27日(土)午後8時半
-東京都某区 スナック忘れな草-
「おお、こんなのもありましたよ!」
パソコンを操作していたマスターが言った。
春天の本命馬を5番ブローザホーンと決めた、スナック忘れな草での検討会。もうサインは出し尽くしたと思っていたが、まだあったようだ。
「1枠2番のヒンドゥタイムズが取り消しましたよね?」
みんながうんうんと頷いた。
「京都競馬場のGⅠで、1枠2番が取り消したレースを調べてみたら、1986年以降でひとつだけありました。2019年、クロノジェネシスが勝った秋華賞です」
2019 秋華賞(京都・GⅠ)
(1-02)メイショウショウブ(取消)
(3-05)クロノジェネシス
天皇賞(春)(京都・GⅠ)
(1-02)ヒンドゥタイムズ(取消)
(3-05)ブローザホーン ?着
みんながおおという声を挙げた。真一郎が続く。
「大阪杯から続いている、優勝馬の馬番カウントアップ。正番ならテーオーロイヤルですが、逆番なら5番のブローザホーンですね」
大阪杯
11番 ベラジオオペラ
桜花賞
12番 ステレンボッシュ
皐月賞
13番 ジャスティンミラノ
天皇賞(春)
正14番 テーオーロイヤル ?着
逆14番 ブローザホーン ?着
11番→12番→13番→14番?
みんながうんうんと頷いた。
そのとき、シュンシュンという声を発しながら、両手を頭上で組んだ格好で入って来た男がいた。今夜、二度目の登場のくろたんだった。黒のTシャツ、黒の帽子、黒のサングラスというスタイルだ。
■ シルヴァーソニック
「ああ!懐かしいわ、あのグループね!」
麗子ママが言った。
「京都~ 大原~ 三千院♪」
「デュークエイセスの『女ひとり』!!そっちできたかい!! しかもメロディーは『まんが日本昔ばなし』だろ!!」
「ああ、そういうことね!」
ギョニ子が右手の拳で左手をポンと叩いた。
「デュークエイセスは知らないけど、どっかで聴いたメロディーだと思ったもの。ぼうや~ よい子だ 金出しな~♪ よく歌ったわ!」
「しょうもないガキやな!!」
くろたんはそう言ってギョニ子を睨んだ。
「おほん!!デューク更家。東京競馬場のゲストですよ」
デューク更家
1954.4/10 70歳
1954.4/11 ダイヤモンドS
2024.2/17 ダイヤモンドS
1着 テーオーロイヤル
デューク馬・直近勝利
2022.7/30 新潟1R
1着 3−03 シルヴァーデューク
天皇賞(春)
テーオーロイヤル
(シルヴァー)ソニッ(ク)
「あくまでデューク更家からだけ拾うなら、テーオーロイヤルとシルヴァーソニックでしょうね」
そう言ってくろたんは店を出て行った。
駅には向かわず、スナック忘れな草の近くにあるパチンコ屋のトイレで私服に着替える。デューク更家用に準備した服は、セカンドストリートで売った。帽子とTシャツとサングラス。全部で240円だった。
その240円で酒屋でワンカップ大関を買い、店の軒下で一気に飲んだ。ぷはー。
コスプレ用の服は、以前は家に持ち帰っていたが、ある日妻からしょうもないものを持ってくるなとこっぴどく怒られてから、すぐに処分するようにしたのだ。
自分はいったい何をやっているんだろう。一滴の涙が頬を伝った。
「おじさん、泣いてるの?」
母親に手を引かれた4歳くらいの女の子が尋ねてきた。母親がしゃがんで説明する。
「ひなちゃん。大人になるとね、ただただ泣きたくなる夜もあるのよ・・・」
「・・・・・大人ってたいへんだね・・・おじさん、これあげる!」
女の子は、くろたんに小さなプレゼントを渡した。折り紙で作った青い鯉のぼりだった。くろたんはありがとう大事にするよと言い、女の子の頭をなでた。鯉のぼりに、ポタリと涙が落ちた。
■ 陣馬特別
「新しい『ウマのそら』を使わないかしら?」
ギョニ子が言った。不動産屋が舞台の最新バージョンだ。
「妊婦さんが出てくるでしょう?もうすぐ生まれるって言ってるわ。陣痛が近いってわけよ」
東京9R (陣)(馬)特別
「なるほど、陣痛の陣に生まれるの馬。なにかありそうですね!」
マスターが言った。真一郎が続く。
「春天の4番ワープスピード。オーナーの山田弘氏は不動産業でしたよね?動画の設定は不動産屋・・それに昨年の陣馬特別を勝っています!」
天皇賞(春)
2-04 ワープスピード(山田弘=不動産)
(2023 陣馬特別 1着)
東京9R 陣馬特別
4-(04)セラフィナイト
「いいんじゃねえの?ワープスピードの陣馬特別。1着3番、2着5番。いわゆるハサミ目ってやつかい?4番を挟んでるぜ!」
タコ社長がそう言うと、みんながうんうんと頷いた。
「相手は帝王切開のテーオーロイヤルから、7枠と循環14番がいいんじゃないかしら?」
麗子ママが言った。春天からサインが飛ぶなら、出産にお似合いのテーオーロイヤルからも狙ってみたいという。
天皇賞(春)
7-14 テーオーロイヤル
東京9R 陣馬特別 8頭
6-06 ファベル(正14)
(7)-07 ワンデイモア
みんながすぐに同意し、陣馬特別は4番セラフィナイトから6番と7番を厚めに、人気も割れているので総流ししようということになった。
スナック忘れな草
陣馬特別 勝負馬券
◎4番セラフィナイト
〇6番、7番
馬連:4-総流し(6番7番は厚めに)
ワイド:4-(6.7)
■ ドクター関西人
その時、口笛を吹きながらうきうきで入って来た男がいた。ドクター関西人だった。
「マスター、まだいけまっか?」
そう言いながらドクター関西人はタコ社長の右に座った。
「ええと・・・なんだったかしら?・・・」
ギョニ子が首を45度かしげながら言った。
「ビクター!ビクター関西人だわ!」
「ドクターや!首をかしげながら言うな!毎度毎度しょうもないねん!!」
ドクター関西人がするどく突っ込んだ。マスターがお酒を渡しながら尋ねた。
「今日はずいぶんとご機嫌ですね。何かいいことがあったんでしょうか?」
「わかりまっか?実は孫が遊びにきてん。まあこれがかわいいのなんの。目にいれても痛くないっちゅうがほんまやなあ・・」
うれしそうに目尻を下げるドクター関西人の目を、ギョニ子がぐりぐりとつまんだ。
「いたたたたた!なにすんねん!!目玉が取れるわ!!」
「あら?目玉が入ってたのね?目にいれても痛くないって言ってたから、目になにか入れたかと思ったの」
「目玉や!!目玉が入ってるから目っていうねん!!頭の中の辞書にしっかり書き込んどけ!!」
「まあまあドクターさん。一曲歌って機嫌を直してちょうだい。ベタですみませんけど・・・」
そう言って麗子ママはカラオケのリモコンを操作した。
「おお!あれやな!!あれはなんぼ歌ってもいいもんやで!!」
ドクター関西人はマイクを手に取った。演歌調のイントロが流れる。
くもりガラスを 手で拭いて
あなた あしたが 見えますか
・・・・・
愛しても 愛しても ああ 人の妻
「ああ、すっきりした!やっぱり『さざんかの宿』はええ曲やなあ・・・ってドアホ!!最後まで歌ってもうたやないかい!!ゲス不倫の歌やこんなもん!!幸せな家庭の対極にあるシチュエーションや!!」
「春天のサインってなにかありますか?」
真一郎が尋ねた。ドクター関西人がにっこりと頷く。やっとまともな会話ができそうだ。
「せやな。ブローザホーンの3枠につながるならこんなんがありまっせ。長澤まさみがプレゼンターに来たときのGⅠや」
<長澤まさみプレゼンター・GⅠ>
'23天皇賞・春 <1枠> 1着
'23東京優駿 【3枠】 2着
'23エリ女 <1枠> 1,2着
'23チャンピオンズC 【3枠】 3着
'23有馬記念 【3枠】 1着
'24大阪杯 <1枠> 2着
'24天皇賞・春 1枠か3枠?
「抜けはないと思うんやが1枠と3枠が来とる。3着もあるさかいあまり強調はできんが、継続ならブローザホーンの3枠やろ」
そう言ってドクター関西人は、ピンク色のお酒を一気に飲み干した。
「うまいなこれ。色もきれいやし・・・マスター、カクテルでっか?」
「はい。ドクター関西人という新しいカクテルです」
「ほう!わしの名前つけてくれたんかい!ほんでレシピは?」
「ピーチネクターを凄十で割ってみました」
「なんやそれ!!アルコールが入ってないやないかい!帰らしてもらうわ!」
そう言ってドクター関西人は店を出て行った。
■ ライスシャワーのデビュー戦
そろそろお開きにしようというところで、タコ社長が口を開いた。
「今日何度も出てきたライスシャワーな?デビュー戦が新潟の芝1,000mだぜ!今の千直ではなく、右回り時代の新潟だがな」
1991/8/10
新潟3R 3歳新馬 芝1,000(右回り)
7-08(左)ライスシャワー 1着
「へえーー!こてこてのステイヤーのライスシャワー。デビュー戦が芝の1,000mなんて意外だわ!」
ギョニ子が目を丸くして言った。マスターが頷く。
「そうなんですよね。この一年後、芝3,000mの菊花賞でミホノブルボンに土をつけるわけですが、ミホノブルボンもまた、デビューは中京の芝1,000mだったのです」
麗子ママが続く。
「芝1,000mデビューの2頭が菊花賞でワンツーなんて、競馬っておもしろいわね」
みんながうんうんと頷いた。真一郎が言った。
「ライスシャワーのデビュー戦を使うなら、明日の新潟で唯一の千直、10Rの邁進特別。8番か7枠左を使わないでしょうか?」
7-08(左)ライスシャワー 1着
新潟10R 邁進特別 芝1,000m
4-(08) ペイシャカレン
(7)-14(左)ナリタローゼ
「いいですね!」
マスターが言った。
「その2頭に、ショウナンカンプ産駒の11番ショウナンマッハを絡めてみませんか?ショウナンカンプの父がサクラバクシンオーなんです」
みんながおおという声を挙げた。マスターはパソコンを操作しだした。サクラバクシンオーの血統が入っている馬が、邁進特別で走っているか調べるためだ。
「おお!なかなかいい感じです」
<邁進特別・サクラバクシンオー・2017~>
●2022
1着:ヒロノトウリョウ
(父グランプリボス・父父サクラバクシンオー)
●2020
1着:ボーンスキルフル
(父ショウナンカンプ・父父サクラバクシンオー)
●2018
16着:グランシェリー
(母父サクラバクシンオー)
●2017
3着:グランシェリー
(母父サクラバクシンオー)
6着:ミキノドラマー
(父ショウナンカンプ・父父サクラバクシンオー)
※グランシェリーとミキノドラマーは4枠同居
●2017
2着:グランシェリー
(母父サクラバクシンオー)
11着:スマートエビデンス
(父サクラバクシンオー)
「ちょっと都合よく区切りますが、2017年以降だと不発だったのは2018年だけですね」
みんながうんうんと頷いた。母父サクラバクシンオーの13番デルマシルフも絡めて、馬連ワイドを買おうということになった。
スナック忘れな草
邁進特別 勝負馬券
◎8番ペイシャカレン、14番ナリタローゼ(ライスシャワーより)
〇11番ショウナンマッハ、13番デルマシルフ
馬連・ワイド:(8.14)-(8.11.13)計10点