スナック忘れな草~コンフィデンスマン・2024スプリングS・阪神大賞典~
トップ画像引用:Real Sound
■ フィッシングメール
2024年3月16日(土)午後5時
-東京都某区 スナック忘れな草-
「へえー!珍しいニュースが載ってるわね」
ギョニ子がスマホを片手に言った。海外駐在員事務所におけるフィッシングメール被害の報告が、JRAニュースで掲載されているという。
「フィッシングメール・・・ですか?」
そう言ったマスターのグラスを磨く手が止まり、目が妖しく光った。マスターの表情変化には敏感なタコ社長が、それを見逃すはずはなかった。
「おやおやマスター。さては何か掴んだな?」
苦笑しながらマスターが言った。
「いやあ実はですね、ファルコンステークスでオーキッドロマンスが馬券になったことを見て、気になっていたことがあったんです」
土曜日の中京重賞ファルコンステークスでは、北村友一騎手騎乗のダノンマッキンリーが優勝。2着には内田博幸騎手のオーキッドロマンスが入っていた。
「スプリングステークス・・・春・・・三浦春馬。そしてオーキッドロマンスのロマンス。フィッシングメール・・・つまり詐欺ですね」
あっとギョニ子と真一郎がほぼ同時に声を挙げた。そしてふたりそろって叫んだ。
「コンフィデンスマンJP!」
それを聞いて麗子ママも小さくなるほどと言い、わかっていないのはタコ社長だけになった。ギョニ子が食べかけの魚肉ソーセージを片手に解説する。
「JRAプロモーションキャラクターのひとり、長澤まさみ主演の映画よ。『コンフィデンスマンJPロマンス編』。コンフィデンスマン、つまり詐欺師ってわけ」
真一郎が続ける。
「その映画には三浦春馬も出てるんです。スプリングステークスにお似合いの春馬。フィッシングメールの詐欺、オーキッドロマンスのロマンス。つながりますよね?」
「・・・おう、そういうことか・・」
自分ひとりが気づけなかったこともあり、タコ社長は大いに納得したという表情ではなかった。マスターがさらに説明を続ける。
「社長さん、その映画には竹内結子さんも出演していたんです。三浦春馬さん、竹内結子さん・・・彼らの悲しいニュースについては説明不用ですね?」
タコ社長がゆっくりと頷いた。
「さて、今日中山であったペガサスジャンプステークスの勝ち馬を見てください」
3/16(土)中山8R
ペガサスジャンプS
1着:2-02 ビレッジイーグル(竹内正洋)
みんながおおという歓声を挙げた。タコ社長も今度ばかりは大きく頷いた。
「なるほど!それがあるなら納得だぜ!・・ええとコンファ・・じゃなかったコンフィデンスマンか?そっからどうなるんでい?」
タコ社長が全部言い終わる前に、マスターはパソコンを操作していた。
■ ペティグリーペット詐欺
「『コンフィデンスマン.JPロマンス編』では、ペティグリーペット詐欺というものが出てきます。ペットなど価値のないものを高く売りつける詐欺です。スプリングステークスの4番から6番を見てください」
スプリングS
4-04 シックスペンス(ルメール)
5-05 チャンネルトンネル(松岡正海)
6-06 ペッレグリーニ(ペティグリー)
↓ ↓ ↓
4-04 メール
5-05 ケンネル・まさみ
6-06 ペティグリー
「4番ルメールはメール。フィッシングメール、つまり詐欺。ひとつ飛ばして6番のペッレグリーニは語感がなんとなくペティグリーに似ています。間の5番は松岡正海で長澤まさみを示唆。チャンネルトンネルという馬名に『ケ』はないものの、犬小屋を表す『ケンネル』に近いものがあります」
「そうなると・・」
麗子ママが言った。
「まさみをまたぐ4-6なんてどうかしら?」
みんながうんうんと頷いた。ただ、4-6一本で行くにはもう少し推し材料が欲しいということで、ひとまず保留となった。
■ 田中真美子
10分ほど取った休憩中の話題は、大谷翔平選手の妻が公開されたことだった。
「結局、噂通りの人物だったわけですね」
マスターが言った。大谷翔平選手の妻が、元プロバスケットボール選手の田中真美子であることをドジャースが公式で発表し、ツーショット写真も公開されていたのだ。
「さっき出てきた『コンフィデンスマンJP』ですが・・」
真一郎が言った。
「これまでに映画は3本公開されていて、ロマンス編、プリンセス編、英雄編でしたよね?なんだか大谷翔平選手の結婚につながるような気がします」
ギョニ子がそれよと同意した。
「プリンセスと英雄のロマンスってわけね?」
マスターが言った。
「田中真美子さんから何か使ってくるなら、昨年のフローラステークスは要注意かもしれません」
マスターの説明はこうだった。田中真美子さんが所属していたチームは富士通レッドウェーブ。富士通と言えば、JRAのトラッキングシステムに関わっている企業であり、トラッキングシステムが運用開始となったのが、昨年の4月23日だという。
2023/4/23(日)
東京11R フローラS
1着:4-07 ゴールデンハインド
2着:2-02 ソーダズリング
3着:1-01 ブライトジュエリー
※トラッキングシステム開始日(当時東京では運用前)
同日京都メイン
マイラーズC
1着:6-10(外)シュネルマイスター(ルメール)
2着:4-07 ガイアフォース
3着:8-15 ソウルラッシュ
※トラッキングシステム初適用重賞
「ゴールデンハインド?どっかで見たような気がするぜ!」
タコ社長がスマホを操作しながら言った。麗子ママがすぐに答えを出す。
「競走馬登録抹消ニュースよ。フローラステークス優勝のゴールデンハインドだけじゃなく、マイラーズカップ2着のガイアフォースも、同日に発表されてるわ」
<3月15日発表 競走馬登録抹消>
ガイアフォース
ゴールデンハインド
レディバグ
レッドジェネシス
「同日に4頭も発表されてたのね・・」
ギョニ子がスマホを見ながら言った。真一郎が続く。
「この4頭。ガイアフォースとゴールデンハインドはママさんが言ったように同日に重賞で馬券になっています。残る2頭もこじつけるならば、レディバグはゴールデンハインドの母オレゴンレディの『レディ』。レッドジェネシスの『レッド』は富士通レッドウェーブの『レッド』でしょうか?」
ガイアフォース
(2023/4/23マイラーズC2着)
ゴールデンハインド
(2023/4/23フローラS優勝・母オレゴンレディ)
レディバグ
(レディがゴールデンハインドの母オレゴンレディ示唆)
レッドジェネシス
(レッドが田中真美子の富士通レッドウェーブを示唆)
「なるほどなあ!するってえとゴールデンハインドの4枠、シュネルマイスターの6枠を両方使った、枠連4-6っつうのはいいんじゃねえかい?」
2023/4/23(日)
東京11R フローラS
1着:4-07 ゴールデンハインド
※トラッキングシステム開始日(東京は非実施)
同日京都メイン
マイラーズC
1着:6-10(外)シュネルマイスター(ルメール)
※トラッキングシステム初適用重賞
スプリングS
4-04 シックスペンス(ルメール)
6-06 ペッレグリーニ
マスターがまとめた。
「枠連4-6ならば、フローラステークスとマイラーズカップの1着枠を両方使ったとも言えますし、マイラーズカップの枠連4-6をそのまま使ったとも言えますね」
2023/4/23(日)マイラーズC
1着:6-10(外)シュネルマイスター(ルメール)
2着:4-07 ガイアフォース
※トラッキングシステム初適用重賞
スプリングS
4-04 シックスペンス(ルメール)
6-06 ペッレグリーニ
みんながうんうんと頷き、スプリングステークスは枠連4-6の一本勝負となった。
スナック忘れな草
スプリングS 勝負馬券
◎4番シックスペンス
〇6番ペッレグリーニ
枠連:4-6 1点勝負
■ トウカイテイオー
10分の休憩を挟み、話題は阪神大賞典へと移った。スプリングステークスでは聞き役に回ることが多かったタコ社長が、今度は俺に任せろとばかりに口火を切った。
「4枠のトウカイテイオーが気になるぜ」
タコ社長が言うには、4枠はテーオーロイヤルのテーオーと、同枠岡部誠騎手でトウカイテイオーを示唆だという。
阪神大賞典
4-06(テーオー)ロイヤル
4-07 [地]アンタンスフレ(岡部)誠
「1992年の春天ですね」
マスターが言った。タコ社長が大きく頷く。
「さすがはマスター。話が早いぜ!あの名ステイヤーマックイーンを2番人気に甘んじさせたのが1番人気のトウカイテイオーだった。前哨戦の産経大阪杯で初コンビを組んだのが岡部幸雄。ルドルフの子供テイオーを、地の果てまで走りそうと表現してたよなあ・・」
マスターがうんうんと頷く。
「そうでしたそうでした。一方のメジロマックイーンは、武豊が天まで昇りそうと応戦したんでしたっけ」
麗子ママはうんうんと頷いていたが、リアルタイムで見ていないギョニ子と真一郎は、へえーそんなことがあったんだという表情だった。
■ 3連覇ならず
「4枠のトウカイテイオーは、何を教えたいのかしら?」
ギョニ子の疑問には、麗子ママが答えた。
「春天で対決したメジロマックイーンを示唆しているのなら、3連覇がキーワードになりそうよ」
麗子ママの説明はこうだった。メジロマックイーンは春天3連覇をかけた1993年、連覇した過去2年とは違い、前哨戦に産経大阪杯を選んだ。つまり出ていれば実現濃厚だったであろう阪神大賞典3連覇を、自ら放棄したのだ。
そして、本番の春天では黒い刺客ライスシャワーの後塵を拝した。結果、阪神大賞典も天皇賞春も3連覇を達成することはできなかった―
1993 産経大阪杯
7-13 メジロマックイーン(武豊)1着
(春天の前走・過去2年は阪神大賞典)
1993 天皇賞(春)
1着:2-03 ライスシャワー
2着:8-14 メジロマックイーン(武豊)
※マックイーン3連覇ならず・2着=シルバー
阪神大賞典
(7-13)(シルヴァー)ソニック(武豊)
「1993年のメジロマックイーンを使ってくるのなら、産経大阪杯の7枠13番に入った、武豊のシルヴァーソニックが面白そうですね。馬名のシルヴァーは、春天2着マックイーンの銀メダルにもつながります」
マスターの説明に、タコ社長以外の3人はうんうんと頷いた。タコ社長は少し口をとがらせながら言った。
「確かに長距離ならシルヴァーソニックの安定感はピカイチだ。鞍上の武豊も鬼に金棒だろう・・・けどよう、いかんせん8歳馬だぜ?大丈夫なのかい?」
タコ社長の意地悪な質問にも、マスターはきちんと答えを用意していた。
「阪神大賞典で、唯一8歳馬が勝った例があります。2010年です」
2010 阪神大賞典
8-(13)(トウカイ)トリ(ック)
(牡8)
阪神大賞典
7-(13)シルヴァーソニ(ック)
(牡8)(武豊)
「なるほど、こりゃ一本取られたぜ!同じ13番でトウカイと来たか!」
タコ社長が同意したところで、阪神大賞典の軸馬は13番シルヴァーソニックに決まった。
■ ゴールデンスナップ
「そのトウカイトリックが勝った2010年だけど・・」
ギョニ子が言った。
「3着には牝馬のメイショウベルーガが入ってるわね?
2010 阪神大賞典
1着:8-13 トウカイトリック
2着:4-06 ジャミール
3着:7-11 メイショウベルーガ(牝5)
「今年の阪神大賞典には牝馬が2頭出てるけど、トウカイトリックと同じ8歳馬のシルヴァーソニックが勝つなら、やはり牝馬を連れてくるというのはどうかしら?」
ギョニ子の提案に、それは面白そうですねとマスターは言い、すぐにパソコンを操作しだした。
「牝馬の直近連対はと・・・・・おっと!面白いレースがヒットしましたよ!」
マスターがみんなにパソコン画面を見せた。
2015 阪神大賞典
1着:7-08 ゴールドシップ ※3連覇
2着:2-02 デニムアンドルビー(牝5)
3着:1-01 ラストインパクト
「さっきママからメジロマックイーンの3連覇ならずが出ましたよね?阪神大賞典を唯一3連覇したのがゴールドシップなのですが、3連覇目の2015年が、阪神大賞典における直近の牝馬連対レースになります」
「ゴールデンハインドにもつながりますよ!」
真一郎がスマホを見ながら言った。
「2着したデニムアンドルビー。2013年のフローラステークスを勝っています。登録抹消のゴールデンハインドがフローラステークス優勝馬でしたよね?」
ギョニ子が続く。
「そうなると牝馬のゴールデンスナップがドンピシャじゃない?ゴールデンハインドと同じく、父は阪神大賞典3連覇のゴールドシップ。騎手もデニムアンドルビーと同じ浜中俊よ!」
2015 阪神大賞典
1着:7-08 ゴールドシップ ※3連覇
2着:2-02 デニムアンドルビー
(牝5・浜中俊・フローラS優勝馬)
登録抹消 ゴールデンハインド
(父ゴールドシップ・フローラS優勝馬)
阪神大賞典
6-11 ゴールデンスナップ
(牝4・浜中俊・父ゴールドシップ)
「なるほど、いいじゃねえか!」
タコ社長が膝をパンと叩いて言った。
「スナップ・・・つまり手首の返しはバスケにつきものだろ?厩舎は田中真美子と同じ姓の田中克典。馬主は大谷翔平にお似合いのエースレーシング。11番は日ハム時代の背番号だ!」
阪神大賞典
6-(11)ゴールデン(スナップ)
(田中)克典・(エース)レーシング
※11番=大谷翔平 日ハム時代の背番号
みんながうんうんと頷いた。麗子ママがとどめを刺す。
「デニムアンドルビーも田中真美子さんにつながるみたい。田中真美子さんを検索して画像で上位に出てくるのが、デニムでおしゃれしてる記事なの」
みんなが同意し、阪神大賞典の勝負馬券はシルヴァーソニックから牝馬ゴールデンスナップへの馬券となった。
スナック忘れな草
阪神大賞典 勝負馬券
◎13番シルヴァーソニック
〇11番ゴールデンスナップ
単勝:13番
枠連:6-7
馬連・ワイド:11-13
ワイド:11-2.6.10(押さえ)
■ 編集後記
小説内で引用した小手伸也さんのX。
コンフィデンスマンJPの五十嵐役ですね。
小手川準厩舎は今日2鞍。中山7Rと中京7R。
中山7Rは「三浦」皇成が鞍上。
中山(7R)
6-12(左)リリージェーン
(小手)川準・(三浦)皇成
スプリングS
(6)-06 ペッレグリーニ
阪神大賞典
(6)-11(左)ゴールデンスナップ
阪神大賞典が枠6-7なら、
小手川準厩舎からの1点サインとなりますが・・・
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