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競馬小説カフェ・ド・イーグル～2024アルゼンチン共和国杯・みやこS・福島10R河北新報杯～

ファイナライズ

トップ画像引用：カクテル図鑑

■ 終りのない旅

2024年11月3日（祝・日）午前6時
－岩手県某市早起村　カフェ・ド・イーグル－

早起村の朝は早い。聖子ママが店の前を掃き掃除するために外へ出ると、ちょうど向かいの「中華雑技団」からくろたんが出てきたところだった。

「ふわー、おはようさん」

「あら、あくびなんかしちゃってくろたん。昨晩は遅かったのかしら？」

「まあね・・・出馬表読みをしているとあっという間に時間がたってしまいます。終わりのない旅のようなものですよ」

「終わりのない旅！　素敵だわ！」

聖子ママは胸の前で両手を組んでいった。

「今日はなにか面白そうなレースは・・」

聖子ママがいい終わる前に、くろたんは店の中にすでに入っていた。

「チッ！」

聖子ママは軽く舌打ちすると、店の前を掃き始めた。

■ ショウナンバシット

「アルゼンチン共和国杯はショウナンビシットでバシッと・・・いや、ショウナンバシットでビシッと当てますよ」

モーニングのブレンドコーヒーを一口すすり、くろたんがいった。ギャグは軽く滑っていたが、サインにはかなり自信があるらしい。

「鞍上は伸び盛りの佐々木大輔ですね。何かサインがありますか？」

ミスターの質問にくろたんは顎を引く。

「今日、東京競馬場にとにかく明るい安村が来ます。彼は旭川出身。旭川特別がサインを出すでしょう」

11/3 東京競馬場
とにかく明るい安村トークショー（旭川出身）

2024.8/3 札幌9R（旭川特別）

同日 札幌11R 　札幌日経オープン
1着 6−8 ショウナンバシット 佐々木大輔

「優駿該当ページからも推しはあります。裏のみやこステークスが第14回開催。ということで優駿14ページをみると、今年の宝塚記念を制したブローザホーン。この馬は昨年の札幌日経オープンを制しています」

優駿、今週の該当14ページ(14回みやこS)
ブローザホーン
2023（札幌日経オープン）1着

2024　札幌11R （札幌日経オープン）
1着 6−8 ショウナンバシット 佐々木
※同日札幌9R（旭川特別）→とにかく明るい安村（旭川）

アルゼンチン共和国杯
8－16　ショウナンバシット

「なるほど。なかなかよさげですね」

「まだありますよ。10月31日のJRA-VAN公式X。エアシャカールについてのポストでした。三冠レースを振り返る内容でしたから、三冠レースすべてに出走した馬を示唆でしょう」

エアシャカール
皐月賞1着・菊花賞1着 2冠馬

内容は3冠レースを振り返る流れ

今週の重賞出走馬、唯一の3冠レース出走
ショウナンバシット

「エアシャカール同様、皐月と菊花の二冠馬といえばゴールドシップもそうですね。昨日のファンタジーステークスでゴージャスは不発でしたが、アルゼンチンにはマイネルメモリーとメイショウブレゲがいます」

父ゴールドシップ
皐月賞1着・菊花賞1着2冠馬

ゴージャス
マイネルメモリー
メイショウブレゲ

■ 前走3ゲート

モーニングのゆで卵をうまそうに食べ終えたくろたんは、さらにサインの紹介を続けた。

「アルゼンチン共和国杯には『前走3番ゲート』サインというものがあります。該当馬がいる年は7回継続中です」

＜AR共和国杯・前走3番ゲート・自身or隣馬＞

★＝前走3ゲート

●2014　
3－06　コスモロビン　　　　10着
4－07　サイモントルナーレ　16着　★
4－08　セイクレッドバレー　7着

※自身and両隣不発

～この次から7回継続中～

●2015　
5－09　サトノノブレス　　4着
5－10　ヒラボクディープ　18着　★
6－11　サイモントルナーレ　15着

7－14　メイショウカドマツ　2着　
7－15　ゴールドアクター　　1着　★
8－16　マイネルメダリスト　14着

※15番自身1着　隣14番2着

●2016
6－11　シュヴァルグラン　1着
7－12　レコンダイト　　　6着　★
7－13　ヴォルシェーブ　　3着

※12番の隣11番1着、13番3着

●2017
前走3番ゲート　該当なし

●2018
3－03　トウシンモンステラ　12着
4－04　ガンコ　　　　　　　　6着　★
5－05　マイネルガラハット　3着

※4番の隣5番3着

●2019
前走3番ゲート　該当なし

●2020
8－17　ゴールドギア　　9着
8－18　オーソリティ　　1着　★
1－01　バレリオ　　　　15着　★
1－02　ラストドラフト　2着

※18番自身1着
※1番の隣18番1着、2番2着

●2021
6－11　ゴースト　　　　　　14着
7－12　マイネルウィルトス　2着　★
7－13　ボスジラ　　　　　　15着

※12番自身2着

●2022
3－06　キラーアビリティ　8着
4－07　ブレークアップ　　1着　★
4－08　カントル　　　　　4着

※7番自身1着

●2023
8－16　テーオーロイヤル　10着
8－17　マイネルウィルトス　2着　★
8－18　アサマノイタズラ　　18着　★
1－01　プリュムドール　　　9着

※17番自身2着
※18番隣17番2着

●2024
1－01　ミクソロジー
1－02　メイショウブレゲ　★
2－03　ハヤヤッコ　　

★＝前走3ゲート

「おお！　これは面白いですね！　今年も継続なら1枠か2枠ということになりますね」

ミスターの言葉にくろたんは満足そうに頷くと、「中華雑技団」へ戻っていった。

■ コンクラーベ

午前10時。店内にいつもの常連が揃っていた。カウンター左端に今日もほんのりとイカ臭いイカ社長。カウンターの右端に貫一郎、その左にケチャ子がいる。

「見上愛の動画がアップされてたわね」

モーニングのスクランブルエッグに、これでもかと大量のケチャップをかけたケチャ子がいった。

「例の『邪馬台国はどこですか？』。ママさん、なにかネタがあるかしら？」

水を向けられた聖子ママが、洗い物の手を休めていった。

「そうねえ・・・あまり自信はないんだけれど、三択の問題がなんだか怪しいわ」

三択という言葉を聞いて、ケチャ子の目が光った。ケチャ子の本名は竹之下景子であり、軸馬候補が3頭いるときに、ケチャ子が選択した馬の馬券になる率は8割を超える。クイズダービーの竹下景子よろしく、三択の女王という異名をとっている所以だ。

「三択の問題？　それは聞き捨てならないわね。詳しく教えてちょうだい」

ケチャ子の質問に答えた聖子ママの解説はこうだった。見上愛と土佐兄弟の兄卓也に、土佐兄弟の弟有輝が問題を出す。その選択肢が、ある馬を示唆しているというのだ。

「邪馬台国はどこですか？-HIMIKO IS COMING.-」#13 大國魂神社～東京競馬場

「選択肢はAせいくらべ、Bちからくらべ、Cこまくらべの3つ。正解はCのこまくらべなんだけど、昔コンクラーベという馬がいたのよ」

「おお！　そんな馬いたなあ！」

イカ社長がポンと手を叩いて懐かしそうにいった。

「たしかあれだよな？　日本語の根比べみたいな名前だが、意味は全然違うんだよな？」

「そうなのよ社長さん。コンクラーベは宗教関連の言葉で『教皇選挙』って意味よ。先週、衆議院選挙があったばかりだし、コンクラーベがサイン馬のような気がするわ」

「これでも飲みながら考えましょうか」

いつの間にか飲み物を用意していたミスターが、みんなにカクテルを配りだした。赤い色が目を引くノンアルコールカクテルだ。

カクテル図鑑

「ずばりコンクラーベというノンアルコールカクテルになります。オレンジジュース、牛乳、木苺のシロップというシンプルなものです」

「おいしい！　すっごいさわやか！」

さっそく飲んだケチャ子が目を丸くする。

「うん！　うまい！　雰囲気で酔いそうになるね」

貫一郎がそういい、イカ社長もゴクゴクと喉を鳴らして飲んでいる。

「くろたん流サイン読みならば・・」

ミスターがいった。

「コンクラーベの直近勝利・・つまり引退馬ですから最後の勝利がまず要注意となります」

1995/7/29　
小倉11R　不知火特別　10頭
1着：8－10　コンクラーベ
2着：1－01　ワンダーワイル

※コンクラーベ最後の勝利レース

同日福島メイン　みちのくS　9頭
1着：8－09　セントラルマドンナ
2着：1－01　カサブランカシチー

同日札幌メイン　タイムス杯
1着：6－08　ヤエノジョオー
2着：3－03　エイシンライジン

「みちのくステークス？」

イカ社長が素っ頓狂な声を挙げた。

「あれれ？　今日の福島メインがみちのくステークスじゃなかったかい？」

スマホを開いたみんなから、本当だという声が次々に挙がった。

11/3（祝・日）3場メイン

福島11R　みちのくS
東京11R　AR共和国杯
京都11R　みやこS

「そうなると・・」

聖子ママがいった。

「このコンクラーベが勝った不知火ステークスと裏のみちのくステークスがいずれも正逆1番の枠連1－8・・・この出目は要注意になるわね」

みんながうんうんと頷いた。

「コンクラーベの最後のレースはどうでしょうか？　こちらもなんだか怪しいですよ」

そういったのは貫一郎だった。コンクラーベの最後の出走日、裏メインの中山重賞で気になる馬がいるという。

1996/8/25
小倉11R　小倉日経オープン
1着：3－03　ゴールデンジャック
2着：8－08　カシノエタニティ

7着：5－05　コンクラーベ

※コンクラーベ最後のレース

裏メイン　中山11R　
第32回　新潟記念
1着：8－10　トウカイタロー
2着：3－03　サクラキャンドル
3着：8－11（アルゼンチン）タンゴ

「えー！　アルゼンチンタンゴがいるじゃない！　アルゼンチン共和国杯へのサインじゃないかしら？」

ケチャ子が叫んだ。ミスターが頷く。

「怪しいですね。そして、コンクラーベの最後の勝利日同様、該当レースと裏メインが枠連3－8で一致しています。最後の勝利日のほうは枠連1－8でしたが・・・」

「1枠、3枠、8枠の三つ巴か・・・」

イカ社長が腕を組んでいった。

■ 武幸四郎

10分間の休憩後、他の素材に新たな活路を求めたのはケチャ子だった。

「最近くろたんが注目しているJRA-VANのX。日付が変わるとともに投稿されるやつから何かありそうよ」

「武幸四郎か・・・そっからどう読むんでい、ケチャ子？」

イカ社長に問われたケチャ子が答える。

「武幸四郎の誕生日は1978年の11月3日。つまり今日で46歳ってことね。武幸四郎同様、元騎手で46歳の調教師がひとりだけいるわ！」

武幸四郎　元騎手
1978年11月3日生まれ

高橋　亮　元騎手
1978年1月6日生まれ

みやこステークス
3－04　ミッキーヌチバナ（高橋亮）
3－05　デリカダ　　（唯一の牝馬）

みんながなるほどといった。

「3枠はいいですね」

ミスターがいった。

「武幸四郎について書いてあるそのJRA-VANのXですが、『兄・豊騎手を鞍上に迎えた調教師としての初陣で初勝利を挙げるなど、兄弟タッグで重賞2勝を記録しています』とあります」

「ですが調べてみると、兄弟タッグでの重賞勝利は2勝ではなく3勝です」

＜武豊＆武幸四郎　重賞勝利＞

2021　ファンタジーＳ
ウォーターナビレラ

2023　シンザン記念
ライトクオンタム

エルムＳ
セキフウ

「文章の誤りが意図的なものであれば、キーワードは『重賞2勝』・・・そうなると、武幸四郎の重賞勝利2勝目であり、兄弟タッグの重賞初勝利であるウォーターナビレラがサインでしょう」

JRAホームページ

2021（ファンタジーＳ）
5－（05）ウォーターナビレラ（武豊・武幸四郎）
※武幸四郎重賞2勝目・武豊とのタッグでは重賞初勝利

11/2（ファンタジーＳ）15頭
3－05（ウォーター）ガーベラ（正5）13着
6－11（ウォーター）エアリー（逆5）8着

みやこスＳ
3－04　ミッキーヌチバナ（高橋亮・武幸四郎と同い年）
3－（05）デリカダ　　　（唯一の牝馬）

「なるほどなあ」

イカ社長がいった。

「するってえと、昨日の正逆5のウォーターから、紅一点の5番デリカダが怪しいぜ！　ウォーターナビレラの5番とも一致だ！」

ミスターが続く。

「同枠ミッキーヌチバナはミルコ・デムーロ。金曜日に、ケンタッキーダービーをメイジが勝った日のNHKマイルカップについて触れましたよね？」

みんながうんうんと頷いた。

「NHKマイルカップの1着ゲートは、内田博幸とミルコ・デムーロの同居でした。今日彼らは、東京と京都の重賞で同位置に入っています」

11/3（祝・日）文化の日＝明治天皇誕生日

アルゼンチン共和国杯
3－05（右）フォワードアゲン（内田博幸）

みやこＳ
3－04（右）ミッキーヌチバナ（Mデムーロ）

2023/5/6（日）
第28回　NHKマイルC
1着：6－【11】シャンパンカラー（内田博幸）
同枠6－12　クルゼイロドスル（Mデムーロ）取消
2着：2－【03】ウンブライル
同枠2－04　ショーモン　　　（鮫島克駿）

同日ケンタッキーダービー
1着：メイジ（明治天皇　11/3生まれ）

「両重賞とも・・」

貫一郎がいった。

「3枠ってこともありそうですね。明治天皇誕生日の日の重賞で、NHKマイルカップの1着枠の騎手がサインとなる」

「よし！　かんちゃんのそれいただきだ！　アルゼンチン共和国杯は3枠からさっきの1枠と8枠へが本線。押さえに枠連1－8でどうだい？」

イカ社長の提案に、聖子ママが待ったをかけた。

「アルゼンチン共和国杯は1番ミクソロジーの単複も押さえたいわ。鞍上は三浦皇成・・・今日、三浦大輔監督が胴上げされる可能性があることをお忘れなく」

みんながなるほどと同意し、カフェ・ド・イーグルの勝負馬券が決まった。

カフェ・ド・イーグル
みやこS　勝負馬券
本命：5番デリカダ
単複：5番
枠連：3－（5.8）本線

アルゼンチン共和国杯　勝負馬券
本命：6番マイネルメモリー
単複：6番マイネルメモリー、1番ミクソロジー
枠連：3－（1.8）本線
枠連：1－8　押さえ

■ カワキタマナレア

10分間の休憩後、福島10レースの河北新報杯を買いたいといったのは貫一郎だった。

「超単純なのですが、昨日のファンタジーステークスでカワキタマナレアが不発でした。ならばその位置にいるウィズザドリームはどうでしょう？」

ファンタジーＳ（15頭）
（8－15）（カワキタ）マナレア　5着

（河北）新報杯（15頭）
（8－15）ウィズザドリーム（斎藤新）

「いいんじゃない？」

隣のケチャ子が賛同した。

「ウィズザドリームの鞍上は斎藤新。昨日の福島10レース三陸特別、オジュウチョウサンのサインから狙ったヴェルミセルが見事勝ってくれたけど、鞍上は斎藤新だったわ！」

みんながおおという声を挙げ、河北新報杯はウィズザドリームから勝負することとなった。

カフェ・ド・イーグル
福島10R　河北新報杯　勝負馬券
本命：15番ウィズザドリーム
単複：15番

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