スナック忘れな草~ヴィルシーナの贈り物・2023秋華賞 3連単1点勝負~
この小説を、
秋華賞の「華」の文字を名前に持ち、
今は元妻と暮らしている8歳の娘と、
その父親であり、
今日53回目の誕生日を迎える男に捧げる。
令和5年10月15日(日)ファイナライズ
この小説は秋華賞予想の後編です。前編をまだお読みでない方は、以下のリンクから一読することをお勧めします。
トップ画像引用:スポニチアネックス
■ 緊急招集
2023年10月14日(土)午後5時
-東京都某区 スナック忘れな草-
午後4時半には店に来ていたタコ社長に加え、真一郎とギョニ子もほぼぴったり午後5時に店にやってきた。マスターが緊急の招集をかけたのだった。
「マスターから呼び出しなんて珍しいじゃねえか?よっぽどのネタがあるんだな?」
タコ社長の言葉に、マスターは黙ってうなずいた。真一郎とギョニ子がおしぼりで手を拭き、飲み物も揃ったところでマスターが口を開いた。
■ 幻の三冠馬 ヴィルシーナ
「府中牝馬ステークスは残念な結果に終わりましたが、ディヴィーナが勝ったことで秋華賞1点サインの可能性が出てきました」
「1点サイン!?」
ギョニ子が大きな声を出した。
「それは面白そうね!ディヴィーナと言えばヴィルシーナの仔だけど・・・」
「さすがは今日子ちゃん。注目したのはそこなんです」
マスターがほほ笑んで言った。
「ヴィルシーナは三冠すべてジェンティルドンナの2着。競馬にタラレバはないのですが、ジェンティルドンナがいなければ三冠馬になっていた可能性があります。2012年、ジェンティルドンナが勝った・・・つまりヴィルシーナが2着だった秋華賞をみてください」
2012 第17回 秋華賞
1着:7-14 ジェンティルドンナ
2着:1-01 ヴィルシーナ
3着:1-02 アロマティコ
「1着馬ジェンティルドンナの14番。これは、現在の三冠馬の頭数を表しています」
<牡馬三冠馬>
1941年 セントライト
1964年 シンザン
1983年 ミスターシービー
1984年 シンボリルドルフ
1994年 ナリタブライアン
2005年 ディープインパクト
2011年 オルフェーヴル
2020年 コントレイル 13頭目
<牝馬三冠馬>
1986年 メジロラモーヌ
2003年 スティルインラブ
2010年 アパパネ
2012年 ジェンティルドンナ
2018年 アーモンドアイ
2020年 デアリングタクト 14頭目
2023年 リバティアイランド ?(15頭目)
「リバティアイランドが秋華賞を勝てば、史上15頭目の三冠馬となりますから、ジェンティルドンナの14番を消してみます」
2012 第17回 幻の秋華賞
1着:1-01 ヴィルシーナ
2着:1-02 アロマティコ
3着:2-03 ブリッジクライム
「なるほど!4着だったブリッジクライムが繰り上がり、3連単は1番、2番、3番・・・つまり3連続馬番の決着ってわけだな?」
タコ社長がそう言うと、真一郎が続いた。
「昨年の秋華賞も7番、8番、9番の3連続馬番決着でした」
2022 第27回 秋華賞(阪神代替)
1着:4-07 スタニングローズ
2着:4-08 ナミュール
3着:5-09 スターズオンアース(三冠ならず)
「そうなんです」
マスターは深く頷いて言った。
「同じGⅠで、2年連続3連続馬番決着というのは普通狙いにくいものです。ですが、京都競馬改修工事明けの一発目。3年振りの京都開催となれば話は別。ズバリ1点で狙いたいのは6番、7番、8番という決着です」
1着:3-06 リバティアイランド
2着:4-07 マスクトディーヴァ
3着:4-08 モリアーナ
「6番、7番、8番か。するってえとこれは、昨年の7番、8番、9番を右にひとつずつずらしたかたちだな?」
タコ社長が訊くとマスターは頷いて言った。
「そういう解釈もありますね。もうひとつの解釈は、昨年の3着馬番9番が、上下反転して6番になったというものです」
2022 第27回 秋華賞(阪神代替)
1着:4-07 スタニングローズ
2着:4-08 ナミュール
3着:5-09 スターズオンアース(三冠ならず)
三冠ならずの「9番」を上下反転させ「6番」に
1着:3-06 リバティアイランド(三冠達成)
2着:4-07 マスクトディーヴァ
3着:4-08 モリアーナ
■ 第96代ヒーロー
「週中、わたしたちはふたつのゾロ目決着GⅠから、9番と15番に注目しましたね。9番は『三冠ならずの枠4-4決着』からでした」
1992 菊花賞
1着:4-08 ライスシャワー
2着:4-07 ミホノブルボン(三冠ならず)
1993 菊花賞
1着:(4-07)ビワハヤヒデ
2着:7-15 ステージチャンプ
1994 ナリタブライアン 三冠達成
※ビワハヤヒデの半弟
「ライス、ブルボンで決まった枠4-4の菊花賞。三冠ならずのブルボンの4枠7番が、翌年のビワハヤヒデに引き継がれました。それと同じことが、今年あるかもしれないということで、スターズオンアースの9番に注目したわけです」
2022 秋華賞
1着:4-07 スタニングローズ
2着:4-08 ナミュール
3着:5-09 スターズオンアース(三冠ならず)
2023 秋華賞 5-09 1着?
「しかしリバティアイランドは9番には入らなかった。その代わり、9という数字を上下反転させた6番に入りました。9を6にする。ここから『96』という数字に注目すると、第96代ヒーローはリバティアイランドではないかという仮説が立ちます」
第94代ヒーロー イクイノックス
第95代ヒーロー ソングライン
第96代ヒーロー リバティアイランド ?
「そして、この『96』という数字にはもうひとつ意味があります」
■ 羽生善治七冠誕生
「今週藤井聡太八冠が誕生しました。藤井聡太八冠誕生で間接的にクローズアップされるのが、将棋タイトルが七つの時代に、唯一全冠保持を達成している羽生善治九段です。それが、1996年だったのです」
19【96】2月14日
羽生善治七冠誕生
2023年10月11日
藤井聡太八冠誕生
「リバティアイランドに『96』という数字を与えることによって・・・」
麗子ママが言った。
「間接的に藤井聡太八冠誕生を競馬の歴史に刻むということね?」
マスターは深く頷いた。
「その1996年の秋華賞とエリザベス女王杯が、ともに『15番』の勝利。この『15』はリバティアイランドが『15』頭目の三冠馬ということにつながります」
19【96】羽生善治七冠誕生
19【96】 第1回 秋華賞
7-【15】ファビラスラフイン
19【96】 第21回 エリザベス女王杯
8-【15】ダンスパートナー
2023 藤井聡太八冠誕生
2023 秋華賞
リバティアイランド【15】頭目の三冠馬?
第【96】代 ヒーロー?
■ テイエムオーシャン
マスターの説明に、店内は3連単6番→7番→8番で勝負しようという空気になっていた。10分の休憩を挟み、再度検討が行われた。
「6番7番8番の決着だと・・・」
真一郎が口を開いた。
「6足す7足す8で21になりますね。CMに出てくるテイエムオペラオーは、世紀末覇王というあだ名が示す通り、20世紀最後の年に現れた名馬でした」
マスターが頷いて言った。
「2000年のテイエムオペラオーは8戦8勝。この8という数字は藤井聡太八冠にもつながりますね」
真一郎が頷いて言った。
「そうですね。そして面白いのが、翌2001年の秋華賞。つまり、21世紀最初の秋華賞です」
2001 第【6】回 秋華賞
1着:1-02 テイエムオーシャン
2着:5-【09】ローズバド
3着:3-【06】レディパステル
「テイエムオペラオーと同じテイエムの馬。そして、リバティアイランドの6番と同じ第6回の秋華賞であり、2着と3着に従えた馬が9番と6番。つまり『96』です」
「それは面白いですね」
マスターがそう言い、みんなもうんうんと頷いた。
■ ブラックジャック
「21と言えば・・・」
次に口を開いたのはギョニ子だった。
「夏競馬のCMだけど、絵札の中でジャックだけ登場してなかったわよね?」
夏競馬CMのトランプ
ハートのA (オルフェーヴル)
スペードのK(ゴールドシップ)
ダイヤの7 (ラッキーライラック≒Q)
クラブの8 (ワグネリアン)
「厳密にはクイーンも登場していないけど、ラッキーライラックはエリザベス女王杯を連覇した馬。つまりクイーンを代用しているわ。絵札で唯一登場しなかったジャック。これってトランプゲームのブラックジャックを表しているのかもね。ブラックジャックで最強の数字って『21』よね?」
秋華賞
1着:3-06 リバティアイランド ?
2着:4-07 マスクトディーヴァ ?
3着:4-08 モリアーナ ?
6+7+8=21=ブラックジャック
「なるほど、そりゃいいや!」
タコ社長はそう言って笑った。マスター、麗子ママ、真一郎もうんうんと頷き、スナック忘れな草の3連単1点勝負が決まった。
スナック忘れな草
秋華賞 3連単1点勝負
6番→7番→8番
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