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大学院時代にNGOのインターンで感じたこと
こんにちは。こやんいです。今回は大学院時代に6ヶ月間NGOでインターンをしたことがあるので、その時に感じたことについて説明してみようと思います。
大学院時代
大学院時代には、いくつか趣味でボランティアをしていました。英国の美術館のアテンダーだったり、途上国向けの物資を送るための肉体労働を行ったり、自宅周辺のゴミ拾いなど、色々なボランティアを行ってきたのですが、最もリソースを費やしたことの一つにNGOのインターンがあります。
NGOでは、基本的にはファンドレイズ、いわゆる資金調達だったり、英語で出された記事の日本語の翻訳、データ分析などに関わらせていただきました。基本的には週5日で無給のインターンでした。今でこそそんなことをやってしまうとネットで叩かれそうなインターンだったのですが、学生時代、資本主義に染まった環境にいたので、むしろ無給でただ自分のやってみたいことを追求できる環境に対してポジティブに捉えていました。
また、自分の行っていることが社会のためになるのであれば、大学院まで進学させてもらえた自分の環境に感謝し、社会に対して奉仕するのは当然であると考えていた次第です。やはり、人生は恵まれているのであれば、それに応じた社会貢献はやっていかねばならない。そんな強い意志を持っていたのでした。
NGOでは何をやるのか?
さて、NGOのインターンですが、個人的に感じたこととしては、本質的にはファンドがやっていることとさほど変わりはないと感じます(当然組織によっても異なりますが)。ただ、彼らは投資をするというよりも、人的リソースなどを通じて援助を行うことがメインです。また、当然ながらファンドと比較すると、規模は遥かに小さいですし、資金の出し手も異なります。
基本的にはステークホルダーへ出資を募り、資金を出してもらったらそれを元手に援助という名の活動を行います。また、NGOは知名度もある必要があるので、知名度獲得のための広報活動も行っています。
また、寄付という体ですが、基本的にはLPに出資してもらうのと変わりません。資金使途が一定決まっておりますし、資金の拠出者に対しては当然ながら批判的な活動をすることができませんので、資金の出し手の”色”がついてしまうのは非常に大きなリスクです。この辺りを気にするのはファンドレイズとあまり変わりがないでしょう。当然出資元の予算のあり方は異なりますが。個人の寄付者も関わってくるので、そこでガバナンスや広報のあり方も規定されます。
NGO活動の事例
過激な事例もメディアに出ている
NGOの活動においてよく批判されがちな、彼らのメディアを通じたインパクトの与え方です。例えば、最近だとモナリザにスープをかけるといった事象が起こりましたが、NGOによってはこうした過激な運動をすることにより、メディアの注目を集め、有名になろうとします。有名になることで資金調達の流動性が上がることや、発言の影響度合いを増そうという考えですね。
また、昔よくあったALSのキャンペーンなどもその一環です。いわゆる「アイス・バケツ・チャレンジ」というものだったのですが、こちらは記憶に新しいでしょう。
こうした活動を通じて、資金調達を容易にするというのが目的である場合は上記の通り多いわけです。どうでしょう?NGOの印象は変わりましたでしょうか?私がNGOに関わって気づいたことは、ファンドよりも大変で、金銭的リターンがないだけに継続的な資金調達が必要になってきます。
資金調達先に配慮した組織運営が求められるNGOも多い
本件ですが、見ていかがでしょうか?思ったNGOの像とは少し異なった見方ができるのではないでしょうか。団体の継続性は資金調達に関わっている部分であるため、一定資金の拠出者に迎合して記事を出す必要もあるので、その意味で大変な組織体であることがわかります。
ファンドで言うと常にLPに気を使わざるをえない状況であり、言いたいことも言えないリスクも出てくるので、ファンディング先の分散は非常に重要です。自分たちのしたい主張は基本的に寄付元には逆らえない。その意味では自分たちの主張と資金調達先は同じにするのが理想ですが、資金調達の場合、自分たちの思想とは相反する場合でも実行しないといけない場合も往々にしてありますので、その辺りのコントロールは難しい部分があると言わざるを得ません。
資金調達の為に過激な発言や行動をするのはOKなのか?と言う視点で見ると、それは確実にNGです。あくまでも、道徳的に正しい範囲で行うべきです。また、アグレッシブな方向性というのは歴史を見ても永続的に続けられることはありませんので、その意味では、道徳的に正しい方向性とは何かを常に考え、仮説をたて、その中で定義し、実行していくというサイクルは必要でしょう。
一方で広報=資金調達の為の認知獲得ではあるので、止めることはできませんし、かといって、その為のアグレッシブさは上記のように問題がありますので、その塩梅を考えなければなりません。ただ、正しいことをやるだけでは生き残っていけない組織体ではあると思うので、合理的な判断のもとで行うのもわかりました。
まとめ
ごちゃごちゃ書きましたが、NGOはファンドレイズが命であり、そのための活動がどうしてもメインになってくる部分はあるので、完全に現場で活躍すると思っている人はこの記事を見て参考にしていただけますと幸いです。
学生時代の活動において、その環境というのは非常に勉強になりました。思っていたよりも裕福で経歴も素晴らしい方々が働いている環境でした。学歴は私が所属した環境ですと、帰国子女で大学・大学院も国内外の良い大学院に行かれた方々が多かったです。金融やコンサルなどのプロフェショナルファームや大学教授などの出身者が真剣に取り組んでいる環境でもあったのですが、その割に社内に与えるインパクトは大きくないのではないか、という見方もしてしまいました。
色んな活動を行ってみて、資金流動性が高い部分に人も金も集まってくることが明確にわかったので、資本主義的な環境に戻ってしまったのですが、一方で、こうしたある程度自分の興味で行ってきたことで、より迷っていた自分の進路についても明確にできるようになりました。
社会に与えたいインパクトの追求、そして、自分なりの定義。全て勘案した上で自分の方向性を決めるきっかけになったこのNGOのインターンは貴重なものでしたし、やはりやっていて良かったと心から思いましたので、6ヶ月無給というのは非常に厳しいかもしれませんが、挑戦してみてもよろしいのではないでしょうか。