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ある日のお話 Apple Story Frep編2

定期コーナー『ある日のお話』
アプリ【Frep★LOVE】(現在は配信終了)にて配信されていたバックヤードの裏話、”Apple Story”を再掲いたします。

<毎月1回/月初更新>
月額マガジン「S+h&Frep FUN!FAN!FIN! for WEB」に含まれます。記事単体でもご購入いただけます(200円)。

今月は佐藤くん、譜久山くんがStarburst!オーディションの一次審査を突破してファイナリストを目指していたころのお話、
『2014年3月』をお届けします。

◆Starburst!オーディションとは?
新しいアイドルグループをデビューさせるオーディションプロジェクトです。過去のFINが行ってきたデビュープロジェクトとは違い、
FINに所属する研修生だけではなく、一般からも参加ができます




佐藤光編【2014年3月】

佐藤光:16歳、高1(2014年3月当時)。FIN入所は中1。歌もダンスも覚えるのが遅いため、研修生公演ではレギュラーだが、後列にいることが多い。幼馴染の創多とHS-SH(ハッシュ)というユニットを組んでいる
三島峻介:19歳(2014年3月当時)。中2でFINの研修生になり、現在大学1年。研修生をしながら現役で国立大学に合格した秀才。玲とは中2のころからシンメ(立ち位置が左右対称となる2人組)を組んでいる
沖田奈緒:18歳(2014年3月当時)。もうすぐ高校を卒業予定。高1で茨城から上京してFINの研修生になった。子役からキャリアをスタートさせる研修生が多いためキャリアが浅く、研修生公演はずっとアンダーだったが、ようやくレギュラーに昇格できた
桐生開志:17歳(2014年3月当時)。もうすぐ高校を卒業予定。FIN入所は中一、港区生まれ港区育ち。アイドル業以外に作曲や演出に興味を持っている。オーディションにはあまりヤル気を持っていない

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このシナリオは佐藤光目線のお話になります。
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いったいぜんたい、これは現実なのか?
いや、これは夢だ。きっと夢。
目を閉じたらきっと目が覚めるはず。

三島峻介
「光。これは夢じゃない。現実だ。
しっかり目を開けて、早く答案用紙を見せろ」

佐藤光
「三島くん、これ、きっと幻の答案だと思う」

震えながらテストの答案用紙を差し出す。

三島峻介
「……39点、42点、45点、58点、92点。
どうして現代国語だけ異常に点数がいいんだ?
いや、どうして国語以外はこの点数なんだ?」

佐藤光
「国語は何も暗記しなくていいけど、
他は暗記が必要というか勉強が必要というか」

三島峻介
「お前、三学期の期末試験だぞ?
春休みは追試、いや補習確実だろ」

佐藤光
「せっかく春休みは宿題がないと思ったのになあ」

三島峻介
「追試がんばろう。とにかくがんばろう」

三島くんが俺の肩を強く握る。
叩く、ではない。握る。

三島峻介
「着替えたら、ファミレス行って、すぐにテストの復習だ。
いいな? 
俺は玄関前で待ってるから、着替えたらすぐに来いよ」

佐藤光
「あいあいさー」

沖田奈緒
「光、お前、そのうち留年するんじゃね?」

狭いロッカールームでの会話。
すぐ隣で話を聞いていたらしいオキくんがボソリと呟く。

佐藤光
「オキくん、先輩には敬語使って」

沖田奈緒
「俺はお前より年上、入所時期も半年しか違わない。
つーか、お前だって三島くんにタメ口じゃん。
あれはいいの? 三島くんは入所も年齢も先輩じゃん」

佐藤光
「だって、三島くんがふたりの時は敬語じゃなくていい、って言ったし。
俺のこと、弟のように可愛いんだと思う」

沖田奈緒
「それ、自分で言うことじゃないんだけど?」

佐藤光
「フッ……」

沖田奈緒
「今、なんでドヤ顔した?」

そう言って、彼は首をひねり、Tシャツの下にスプレーをふきつける。

佐藤光
「それ、なに? なんかいい匂い」

沖田奈緒
「あ? 制汗剤」

佐藤光
「ほほう。オキくん、もしかして汗臭いの?」

沖田奈緒
「ああ? こんだけ体を動かせば、誰だって汗かくだろうが」

佐藤光
「それ、俺にもシュッとして」

沖田奈緒
「はいはい。ちょっとTシャツ持ち上げてろ」

佐藤光
「あい」

俺はTシャツを持ち上げる。
オキくんはその中にシュッシュッとふた吹きする。

佐藤光
「もうちょっとシュッ」

沖田奈緒
「お前ね、あんまり振りかけるとすげー匂いになんぞ。
意外と残るんだから。あんなふうに」

オキくんが後ろにいたカリスマを指さす。

桐生開志
「あ? お前、俺のナイス・スメルに文句あんの?」

佐藤光
「カイシ先生、相変わらずオラついていらっしゃいますね」

桐生開志
「光、俺がシュッとしてやんよ。こっち来な」

佐藤光
「あい」

俺はTシャツを持ち上げる。
カイシ先生はその中にシューシューとまんべんなく振りかけた。

佐藤光
「オウ、ナイス・スメル!」

桐生開志
「イエス、ナイス・スメル!」

沖田奈緒
「俺、知らねー」





俺は着替えを済ませ、待ち合わせ場所へと向かった。

佐藤光
「三島くん、お待たせしました」

三島峻介
「うっ!」

三島くんが後ろへ飛びのく。

三島峻介
「お前、すごい匂いだぞ! どうした、何があった!?」

佐藤光
「オキくんとカイシくんにシューシューと」

三島峻介
「なんだって……? ……まさかイジメ……」

後にこれは大事件に発展するのですが、
それはまた別の機会にお話ししたいと思います。

END


譜久山奏斗編【2014年3月】

譜久山奏斗:18歳(2014年3月当時)。もうすぐ高校を卒業予定。FIN入所は小6、以来子役として映画やドラマなどに出演している。整った容姿が人間らしくないと研修生内でのあだ名は”CG”。春からは芸術大学へ進学予定
羽白沙螺:17歳、高2(2014年3月当時)。FIN入所は小6。中1からゴシック系ファッション雑誌のモデルを始め、中2から研修生公演の常連メンバーとなる。垣内秀也とは同じ学校のトレイトコースに在籍している
三原景織子:年齢非公開。FINの敏腕マネージャーだったが、スターバースト・オーディションの前後は海外におり、広報PRとスカウトを担当した。のちのFrepのチーフマネージャー。

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