ある日のお話 Apple Story Frep編2
定期コーナー『ある日のお話』
アプリ【Frep★LOVE】(現在は配信終了)にて配信されていたバックヤードの裏話、”Apple Story”を再掲いたします。
今月は佐藤くん、譜久山くんがStarburst!オーディションの一次審査を突破してファイナリストを目指していたころのお話、
『2014年3月』をお届けします。
佐藤光編【2014年3月】
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このシナリオは佐藤光目線のお話になります。
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いったいぜんたい、これは現実なのか?
いや、これは夢だ。きっと夢。
目を閉じたらきっと目が覚めるはず。
三島峻介
「光。これは夢じゃない。現実だ。
しっかり目を開けて、早く答案用紙を見せろ」
佐藤光
「三島くん、これ、きっと幻の答案だと思う」
震えながらテストの答案用紙を差し出す。
三島峻介
「……39点、42点、45点、58点、92点。
どうして現代国語だけ異常に点数がいいんだ?
いや、どうして国語以外はこの点数なんだ?」
佐藤光
「国語は何も暗記しなくていいけど、
他は暗記が必要というか勉強が必要というか」
三島峻介
「お前、三学期の期末試験だぞ?
春休みは追試、いや補習確実だろ」
佐藤光
「せっかく春休みは宿題がないと思ったのになあ」
三島峻介
「追試がんばろう。とにかくがんばろう」
三島くんが俺の肩を強く握る。
叩く、ではない。握る。
三島峻介
「着替えたら、ファミレス行って、すぐにテストの復習だ。
いいな?
俺は玄関前で待ってるから、着替えたらすぐに来いよ」
佐藤光
「あいあいさー」
沖田奈緒
「光、お前、そのうち留年するんじゃね?」
狭いロッカールームでの会話。
すぐ隣で話を聞いていたらしいオキくんがボソリと呟く。
佐藤光
「オキくん、先輩には敬語使って」
沖田奈緒
「俺はお前より年上、入所時期も半年しか違わない。
つーか、お前だって三島くんにタメ口じゃん。
あれはいいの? 三島くんは入所も年齢も先輩じゃん」
佐藤光
「だって、三島くんがふたりの時は敬語じゃなくていい、って言ったし。
俺のこと、弟のように可愛いんだと思う」
沖田奈緒
「それ、自分で言うことじゃないんだけど?」
佐藤光
「フッ……」
沖田奈緒
「今、なんでドヤ顔した?」
そう言って、彼は首をひねり、Tシャツの下にスプレーをふきつける。
佐藤光
「それ、なに? なんかいい匂い」
沖田奈緒
「あ? 制汗剤」
佐藤光
「ほほう。オキくん、もしかして汗臭いの?」
沖田奈緒
「ああ? こんだけ体を動かせば、誰だって汗かくだろうが」
佐藤光
「それ、俺にもシュッとして」
沖田奈緒
「はいはい。ちょっとTシャツ持ち上げてろ」
佐藤光
「あい」
俺はTシャツを持ち上げる。
オキくんはその中にシュッシュッとふた吹きする。
佐藤光
「もうちょっとシュッ」
沖田奈緒
「お前ね、あんまり振りかけるとすげー匂いになんぞ。
意外と残るんだから。あんなふうに」
オキくんが後ろにいたカリスマを指さす。
桐生開志
「あ? お前、俺のナイス・スメルに文句あんの?」
佐藤光
「カイシ先生、相変わらずオラついていらっしゃいますね」
桐生開志
「光、俺がシュッとしてやんよ。こっち来な」
佐藤光
「あい」
俺はTシャツを持ち上げる。
カイシ先生はその中にシューシューとまんべんなく振りかけた。
佐藤光
「オウ、ナイス・スメル!」
桐生開志
「イエス、ナイス・スメル!」
沖田奈緒
「俺、知らねー」
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俺は着替えを済ませ、待ち合わせ場所へと向かった。
佐藤光
「三島くん、お待たせしました」
三島峻介
「うっ!」
三島くんが後ろへ飛びのく。
三島峻介
「お前、すごい匂いだぞ! どうした、何があった!?」
佐藤光
「オキくんとカイシくんにシューシューと」
三島峻介
「なんだって……? ……まさかイジメ……」
後にこれは大事件に発展するのですが、
それはまた別の機会にお話ししたいと思います。
END
譜久山奏斗編【2014年3月】
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