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ある日のお話 Apple Story Frep編3
定期コーナー『ある日のお話』
アプリ【Frep★LOVE】(現在は配信終了)にて配信されていたバックヤードの裏話、”Apple Story”を再掲いたします。
<毎月1回/月初更新>
月額マガジン「S+h&Frep FUN!FAN!FIN! for WEB」に含まれます。記事単体でもご購入いただけます(200円)。
今月は広沢くん、羽白くん、佐藤くんがStarburst!オーディションでデビューを逃したものの、敗者復活のチャンスとしてFrepを結成したころのお話、
『2014年10月~Frep結成』をお届けします。
◆Starburst!オーディションとは?
新しいアイドルグループをデビューさせるオーディションプロジェクトです。過去のFINが行ってきたデビュープロジェクトとは違い、
FINに所属する研修生だけではなく、一般からも参加ができます
今回のお話は、Starburst!オーディションで7~11位となり、惜しくもデビューを逃した5人がFrepを結成することに。敗者復活戦として再びデビューを目指し、ぎこちないながらグループとして形を作ろうとしている最中のエピソードです。
広沢悠真編【2014年10月~Frep結成】
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~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
このシナリオは広沢悠真目線のお話になります。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
三原マネージャー
「広沢、12月の確定スケジュールを渡しておくわね」
広沢悠真
「12月、ですか……?」
三原マネージャー
「そうよ。どうかした?」
広沢悠真
「あの、10月、11月は仕事がないんでしょうか? スケジュールが白紙になっています」
三原マネージャー
「事務所移籍が9月だもの。そんなにすぐ仕事決まらないわよ。 イギリス時代のエージェントとの契約の兼ね合いもあるしさ。 それにこれからどんどん即決分を差し込んでいくから全くの空白にはならないと思う。 あんたも急激な生活の変化が起きたんだし、ここらで少し休んだら? もし生活費が心配なら、こちらで……」
広沢悠真
「あ、いえ、生活費は貯金があるし、イギリス時代の仕事の振り込みがこれからありますから、問題ないです。 ただファイナリストの活動も9月上旬までだったので、ほぼ3か月仕事をしていないことになってしまうのがちょっと……」
三原マネージャー
「不安?」
広沢悠真
「……はい」
三原マネージャー
「さっきも言ったけど、確定がないだけで、すでにセカンド、サードでモデル仕事のオファーが入ってるから来週にはどんどん予定が決まってくるはずよ。 それにレッスンや挨拶回りがあるから、思ってるほどヒマじゃない。 特にあんたはダンスレッスンをミッチリやってもらわないと」
広沢悠真
「そうですよね。すみません」
三原マネージャー
「広沢。仕事がなくなるのが怖い?」
広沢悠真
「怖いです。これは生活に困るという意味じゃないです」
三原マネージャー
「あんた、まだ若いんだから、そんなにストイックに捉えすぎないほうがいいわよ。 どんなトッププレイヤーにも波があることは知ってるでしょ?」
広沢悠真
「知りすぎるほど知っています。どれだけ売れていても落ちるときは一瞬だと」
三原マネージャー
「大丈夫、あんたなら復活できる。 とりあえず確定スケジュールが出たら知らせるから、今日は新居の買い物でもしてきたら?」
広沢悠真
「はい。失礼します」
・
・
・
・
・
俺は三原さんから貰ったダンスレッスンの予定表をめくりながらエレベーターホールへと向かった。
広沢悠真
(俺は余裕なさすぎだ。子役時代に干されたことが意外とトラウマになってるんだよな)
時々考える。
もし、俺がもっと上手くやれていて、子役からうまくキャリアを続けていたら、母親はまだ生きているかもしれない。
今頃は俳優としてトップに立っているかもしれない。
広沢悠真
(ダメだ。”たられば”は考えない、考えない。思考が暗くなる)
具志堅晃
「よーほーー!!」
突然、目の前に猿、いやヤギが飛び出してきた。
広沢悠真
「具志堅か」
具志堅晃
「広沢くん、新居決まったんだって?」
広沢悠真
「ああ。なんとか」
具志堅晃
「ところで、ご飯行かない?」
広沢悠真
「なんで?」
具志堅晃
「友達とご飯に行くのに理由がいる?」
広沢悠真
「いつ?」
具志堅晃
「今から」
広沢悠真
「は?」
具志堅晃
「広沢くんも夕食食べてないでしょ? 俺も食べてない。
だから、一緒に夕食に行く。オーケー?」
広沢悠真
「どこへ?」
具志堅晃
「牛丼はどう?」
広沢悠真
(まあ、牛丼くらいなら30分程度だろうし、付き合ってもいいか)
「わかった。いいぞ」
具志堅晃
「やったああ! すっげえ嬉しい!!」
広沢悠真
「嬉しいか? こんなことが?」
具志堅晃
「広沢くんさ、前に俺とはご飯行かないって言ってたじゃない?
あれを聞いて、絶対また誘ってやるって思ったんだよね」
広沢悠真
「ヒマなのか? デビュー前なのに」
具志堅晃
「俺、なんも仕事入ってないからヒマなのさあ。
それに、こうして広沢くんと友達になったのも何かの縁だし、
やっぱ仲良くなりたいんだよね」
広沢悠真
「俺とお前はかなり性格が違うと思うが」
具志堅晃
「That's why it's good.」
広沢悠真
「……お前、英語できるんだな」
具志堅晃
「おじさんが米軍の人たちをダイビングスポットに案内する仕事をしてたの。それを手伝ってるうちにカタコトで最低限の会話だけ覚えたさ」
広沢悠真
(コイツ、つくづく読めないな。
でも、こういう社交的な性格は芸能界向きかもしれない)
具志堅晃
「ところで、広沢くんはお財布持ってるよね?」
広沢悠真
「持ってる。普通は誰でも持っているだろう?」
具志堅晃
「俺、今日、家に置いてきちゃった。なんで、奢ってください」
広沢悠真
「やっぱり帰らせてもらう」
具志堅晃
「あっ、待って、広沢くん、待ってええええ!」
END
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