ある日のお話 Apple Story S+h編①
定期コーナー『ある日のお話』
アプリ【S+h★LOVE】(現在は配信終了)にて配信されていたバックヤードの裏話、”Apple Story”を再掲いたします。
今月は相川くん、沖田くん、垣内くんがStarburst!オーディションの一次審査を突破し、ファイナリストを目指していたころのお話、
『2014年3月』をお届けします。
相川玲編【2014年3月】
このシナリオは相川玲目線のお話になります
事務所の廊下を歩いていると、後ろから肩を叩かれた。
三島峻介
「玲、おはよう」
相川玲
「峻介」
峻介が笑顔で横に並ぶ。
三島峻介
「どうした? 難しい顔して」
相川玲
「難しい顔してた?」
三島峻介
「眉間にしわ寄ってた。なんかあった?」
相川玲
「いや、実は大学でレポートが書き直しになっちゃってさあ。
超ユーウツになってたんだよ。峻介、手伝ってくれない?」
三島峻介
「資料集めなら手伝うけど、書くのは自分でやれよ」
相川玲
「はあ……どうしよ……あ、そうだ。
俺、ちょっとマネージャーのところに行ってくるから
お前、先にロッカールームに行っといて」
三島峻介
「うん、わかった。先に行ってる。じゃあな」
相川玲
「おう」
・
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会議室へ向かい、ドアをノックする。
相川玲
「失礼します。芥川さんいますか?」
芥川マネージャー
「あ、相川くん!」
この人は俺と峻介のマネージャー、芥川さん。
俺と彼との付き合いは長く、もうかれこれ5年になる。
相川玲
「あの、この前のドラマのオーディションの結果……」
とたんに彼が軽い調子で大きく指を鳴らす。
芥川マネージャー
「あれね、もうね、超惜しいっ! って感じだったよ~~。
でも、プロデューサーが急に童顔の子が欲しいとか
妙なワガママ言い出しちゃったらしくて。
現場は相川くんを推してたのにさあ。ホント残念だったね」
これはウソ。
この人はいつもだいたい軽いが、ウソをつくときは更に軽くなる。
たぶん俺はかすりもしなかったのだろう。
相川玲
「いや~たぶん、そうじゃないかなと思ってたんですよね~。
さっき廊下で種村が決まったって聞いたんで、
じゃあ俺、ダメだったのかな~と」
芥川マネージャー
「え、誰が言ってたの?」
相川玲
「種村が中島さんと話してました」
そう。
峻介と会う少し前、俺は偶然階段の下でその会話を聞いてしまっていた。
芥川マネージャー
「中島のヤツ、不用意な場所で話すなって言っておいたのに……」
相川玲
「あ、いいんですよ、別に気にしてないっす。
種村が決まったなら、やっぱあの役は若い子が欲しかったんでしょうし」
芥川マネージャー
「若い子って、相川くんもまだ19歳でしょ。十分若いよ」
相川玲
「でも、種村は16歳ですよね。最近はもう若手に押されっぱなしですよ。俺、今年でハタチになっちゃうから、アイドルとしてはもうオッサンだし」
芥川マネージャー
「ちょっと、ちょっと~俺なんてもうすぐ三十路だよ~~。
19歳でオッサンだったら、俺なんてオジーチャンじゃ~ん!」
相川玲
「そういえば芥川さん、チーフ昇進おめでとうございます♪」
芥川マネージャー
「ありがとうございます♪
でもさ、あのドラマ決まらなくて良かったかも。
これでスターバースト!オーディションに集中できるじゃん?」
相川玲
「そうですね。俺、たぶんこれがラストチャンスなんで、頑張らないと」
芥川マネージャー
「大丈夫大丈夫! ラブ様は絶対合格するって!
つーか、1位狙えんじゃね?」
相川玲
「いや、そんな甘くないでしょ~」
芥川マネージャー
「いいや。相川三島シンメを柱としたユニット以外考えられない。
社長にも常々主張してるからね。絶対に入る!
そーゆー気持ちでいこうぜ、オーライ?」
相川玲
笑 「そうですね。気合入れていきます!」
芥川マネージャー
「で、俺がそのユニットの担当マネになれたらラッキーじゃね?」
相川玲
「はははは。芥川さん、その前に彼女をひとりに絞ってね」
芥川マネージャー
「やべー。アイドルに生活指導されちゃったよ」
相川玲
「じゃ、俺、着替えてくるんで失礼しまーす」
もし、今年でデビューが決まらないようなら引退しよう。
峻介にそう言おう。
俺は心に決め、ロッカールームへと歩き出した。
沖田奈緒編【2014年3月】
このシナリオは沖田奈緒目線のお話になります
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