エンジニアのためのアート思考
最近アート思考に関する本を読み、エンジニアにも有用なんじゃないかと思い記事にしてみました。ビジネスに興味があるエンジニアに読んでいただけたら嬉しいです。
時代背景
少し前からVUCA時代と言われるように、未来の予測が困難な状況になってきています。
戦後からの高度成長期には、人々のニーズは明確でした。貧富の差は少なく、みんな一生懸命働いて豊かになりたいという時代でした。カラーテレビが発売されればどこの家も買い求め、月給の数ヶ月分のカメラを買い、家と車を所有することがステータスでした。その後、高度成長が終わり、一億総中流と言われる安定の時代がありました。
現在は、貧富の差が拡大し、ニーズも細分化されました。テレビや車を所有したいと思う人もいれば、それらを不要と思う人も多くなりました。持ち家にこだわらない人も増えました。断捨離やミニマリズムが話題になり、極力物を持たない生き方もあります。
アート思考とは?
そんな正解がない時代に、どうやって答えを見つけていけばよいのでしょうか?データを集めて分析することで答えが出るのなら、誰がやっても同じような答えがでてきます。感情や環境、歴史など、形がないものをインプットして、自分なりの変換装置を通して、新しい答えをアウトプットできる人が成果を出していくのではないか。その思考がアート思考なのです。
本の紹介
私が読んで共感した本を紹介します。末永幸歩さんの
「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考
という本です。気になった方はぜひ読んでみてください。新たな扉が開けるかもしれません。
潜在ニーズを探る
顧客にどんなものが欲しいか聞いて作っていくプロセスからは、iPhoneは生まれないという記事を読みました。
ガラケー時代の日本で、キャリアやメーカーは顧客の要望を取り入れて素晴らしい携帯電話を作ってきました。しかし、顧客が本当に欲しいと思っていた携帯電話はiPhoneだったのです。防水でない、ワンセグが見れない、キャリア決済できない、物理キーボードがついていない、コピー&ペーストさえできないiPhone3Gの登場に衝撃を受けた方も多かったと思います。私もiPhone3Gが使いたいのでソフトバンクに乗り換えました。
この例から、顧客の要望を聞けば改善することはできますが、新しい商品を作るときはアート思考が必要なのではないでしょうか。
システム開発に当てはめてみると
システム開発を依頼されると、顧客の要望をヒアリングして設計・開発して納品します。要求通りに作ったので100点満点だと思います。でも、結局そのシステムをあまり使っていなかったり、不満を抱えて使っているという話を聞いたことはないでしょうか。要求通りに作ったのにおかしいですよね?
依頼者は本当に欲しいものを具体的にイメージできていないと考えると納得ができます。業務中に出てきた不満をそのまま要望として出しているだけなのです。その要望通りに作ると、多機能で分かりづらかったり、逆にこれさえできればあとはエクセルで作業できるので大丈夫と言われたりする場合があります。
だからエンジニアが必要なのです。エンジニアは細かい要望の数々をかき集めて、それらをつなぎ合わせ、全体を見渡し、無駄なものを排除し、新しい価値を創っていきます。顧客が想像しえなかった価値を創り出すのです。
エンジニアとアート思考
エンジニアとアート思考は相性が良いように思います。なぜなら、エンジニア視点をすでに持っていて、非エンジニアと違う目線で意見を言うことを期待されているので、アート思考が加わっても違和感がないからです。エンジニア視点とアート思考の相乗効果は無限の可能性があります。
まとめ
アート思考に少しでも興味が湧きましたか?指示通りのシステムを作るだけのエンジニアではつまらなくないですか?ガラケーが欲しいと言われたときに、iPhoneを作って驚かせることができるようなエンジニアになりたいものです。