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MY CAMERA#3:CONTAX RTS

CONTAX RTS登場の背景

MY CAMERA3回目の今回はCONTAX RTSです。
CONTAXという名前は歴史も古く、遡ればCarl ZeissがかつてZeiss Ikonから世に送り出した距離計連動レンジファインダーカメラ、CONTAX1型まで遡ります。

最も古くからのマニアはCONTAXは距離計連動のレンジファインダー機につけられる名前で、一眼レフならCONTAREXにすべきだろうという人もいるようです。
もっとも、今日ではCOSINAがZeiss Ikonというカメラを世に出しているので、もはやこだわる部分では無いと思いますが…

さて、本題に戻ってCONTAX RTS登場の背景です。
このカメラは1975年に西独のカールツァイスと日本のヤシカが提携して生み出したカメラになります。

この時代、35mm判フィルムカメラ誕生以来頂点に君臨し続けていたドイツ製カメラは苦境に陥っていました。
理由は安価かつ電子化が進んだ日本製カメラの台頭でした。
ドイツ製カメラはその作りの良さにおいては素晴らしいものがあった一方で、それ故に高価であり、安価かつ簡単に撮影ができて特別問題も起きない日本製カメラに対しての競争力がなくなっていった訳です。

そうした中で1970年代、ドイツの2大メーカーであるライツとツァイスはそれぞれ日本のメーカーとの提携を選びました。
ライツはミノルタと提携、そしてツァイスはヤシカと提携したのです。

さて、ツァイスの事情はともかく、ヤシカはというと実はこちらも大変な状態でした。
というのも、経営の多角化に失敗したのもあって倒産寸前だった訳です。
そんなところに世界に名だたる光学メーカー、ツァイスからの提携話、ヤシカも生き残りをかけていただけに、ツァイスとの提携を選びました。
(この前日譚となるツァイスと旭光学の話は省略します)

CONTAX RTSというカメラ

さて、そんな事情もあって誕生したCONTAX RTSは、強力なツァイスのレンズ群と写真に対する思想を反映し、ヤシカの電子技術で武装したカメラとなりました。
ツァイスから供給されるレンズ群、ポルシェデザインによるデザイン監修等はもちろん、当初から絞り優先に特化した各ダイヤルの配置等、日本のカメラ史上においてもなかなか異色なカメラだと思います。
このRTSの誕生から約30年、紆余曲折を経ながらヤシカ・京セラコンタックスとして様々なカメラが生み出されますが、CONTAX RTSはその記念すべき1作目となった訳です。

少し異色な操作系

CONTAX RTSは絞り優先AEをメインとし、マニュアル撮影にも一応対応した設計になっています。
一応と書いたのにも理由があります。というのもこのカメラ、シャッターダイヤルが右肩部ではなく左肩部の巻き戻しクランクと同軸に存在するのです。

これは同時期のカメラで見るとかなり異色な配置でした。
絞り優先AEを搭載するカメラであっても、シャッターダイヤルは右肩部に搭載される事がほとんどだったからです。
シャッターダイヤルを右肩部に搭載する理由は、やはり操作性の良さです。
シャッター速度を変えたい時でも、右肩部に有れば親指と人差し指で操作できます。

対してこのRTSは左肩部、しかも巻き戻しクランクと同軸で背も低く配置されています。(一応巻き上げクランク収納部があるので、指がかりは悪く無いのですが…)
これはもはや「A位置(AUTO、絞り優先AE)にして触ってくれるな」と言うような配置です。

では右肩部の本来シャッターダイヤルがあるべき場所には何があるのかというと、露出補正ダイヤルと感度設定ダイヤルが存在しています。

つまり、CONTAX RTSは基本的にシャッター速度はA位置で固定し、その時その時の場合によっては露出補正ダイヤルで露出を調整して撮影をする事を推奨している訳です。

そもそも絞り優先の意義は、レンズの絞り値の違いによる描写の変化を利用した絵作りだと思います。
つまり、光量の制御はシャッター速度に依存し、レンズの絞り値は光量ではなく被写界深度、ボケの調整に使う訳です。

この場合、シャッターを電子化しているRTSはレンズの絞り値に対してカメラ側で適切と思われるシャッター速度に自動で調整してくれる為、わざわざシャッターダイヤルを弄る事もほとんど必要ない訳です。
ただし、場合によっては露出補正が必要ですから、露出補正ダイヤルは必須でした。

そこで、CONTAX RTSではほとんど弄らなくて良いシャッターダイヤルと頻繁に変更する可能性がある露出補正ダイヤルの場所を入れ替えた訳です。

この操作系はかなり使いやすく、個人的に所有しているカメラの中ではサブダイヤルを持つEOSの次に使いやすいカメラだと思っています。
特にリバーサルの撮影時は大変便利です。
また、CONTAX RTSは登場時「写真はレンズで決まる」をキャッチコピーとしていた訳ですが、こうしてみるとその優秀なレンズを最大限活かすボディ設計を目指したものになっているわけです。

CONTAX RTSはレリーズ周りもそれまでのカメラと一味違っていました。
まずこのカメラのレリーズボタンは超ショートストローク、半押しなんてものは存在しません。
あるのはただ少し押すだけでシャッターが切れるというレリーズボタン、CONTAXではこれを「リアルタイムレリーズ」と名付けていました。
では、露出はどこで確認するのかというと、ボディー前面のセルフタイマー上側にあるボタンを押す事で、ファインダー内の露出表示が作動します。

巻き上げは分割巻き上げも可能なもので、速射性に寄与するものとなっています。その他にリアルタイムワインダーと呼ばれる自動巻き上げ用のワインダーもあります。(もっとも内部機構の耐久性には不安があるので、バシバシ連射するのはおすすめ出来ないです…)

セルフタイマーは機械式ですが、僕のカメラはここの調子があまり良くないため殆ど使ったことは無いです。
とはいえ、普通のセルフタイマーなので特別使い方に窮することも無いと思います。

マウントセルフタイマー側の側面には2つの小さなボタンが配されていますが、これは上側がレンズロック、下側が絞り込み機能です。
プレビュー機能がここにあるのは、内部の機械連動の都合もありそうですが、EOSの一部機種もここに同様の機能を付けていて実際使いやすいです。

なお、逆のマウント側面にはミラーアップ機構が付いていて、こちらは特に余計な連動動作なく自由にミラーアップ出来るので便利です。

個人的評価

CONTAX RTSは所有し、使う喜びは大いに与えてくれるカメラだと思います。
実際かなり露出計も精度が良いし、使えるレンズは世の一級品と呼んでも差し支えないレンズも多くあり、適切に撮影すれば殆ど写りの面は保証されているようなものなのです。
ところが、では実用本位ではどうかと言えばいくつか難はあります。
まず、MFしずらいファインダースクリーン、これはこのカメラ特有のというよりかは、ヤシカ・京セラCONTAX全般に言える事です。
MFカメラでありながら、組み合わされるツァイス のレンズの特性もあるのかピントが掴みづらい事が多く、ピント合わせには少し時間を要します。
僕の場合このカメラを購入してから既に3度もスクリーンを変更しましたが、未だに理想とはかけ離れている状態です。

次にファインダーの倍率の低さです。もっとも現代のAF機と比較すれば大差ない倍率ですが、RTSはMF機ですから、もっと広いファインダーが欲しい訳です。

こうした問題はありつつも、やはりこのカメラを使って撮る機会は非常に多いです。
CONTAX用のツァイスレンズを使ってゆっくり撮影したい時には、比較的小型のRTSを持ち出して外の空気を吸いながらゆったりと週末を過ごすのがいいと思う今日この頃です。

性能一覧

・35mmフィルム使用
・電子式一眼レフカメラ
・シャッター速度:(マニュアル時)B・4s〜1/2000
・搭載モード:絞り優先AE・マニュアル
・測光方式: TTL開放中央重点測光
・ファインダー: 視野率約92%・倍率約0.87倍
・マウント:C/Yマウント
・電源:4LR44×1
・発売年:1975年
・メーカー:ヤシカ

(自分調べ)

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