
【短編小説】令和の姥捨山( うばすてやま )
むかーし、むかし。あるところに、おばあさんがおったそうな。
そのおばあさんは、とても意地悪で、家族に見放されたそうな。
おばあさんは、息子の嫁に向かって「メシが不味い」と言い。
夜中は喚き散らして、家族は不眠になったそうだ。
家族は困って、なるべく話さないようにしたそうな。
しかし、おばあさんは自分を無視する家族に抗議をしたそうな。
その抗議は、便所の壁に自分の糞を塗りたぐったそうな。
家族は誠に呆れて、意地悪ばあさんを介護施設に預けたそうな。
意地悪婆さんは介護施設でも、大暴れしたそうな。
介護士に向かって「メシが不味い」はもちろん。配膳されたメシをひっくり返したり。
介護士に向かって暴言を吐いたりしたそうな。
介護職員はなるべく関わろうとしていたが、やはり同じように意地悪ばあさんは便所の壁に自分の糞を塗りたぐったそうな。
介護職員は我慢して、糞の掃除をやったそうな。
しかし意地悪ばあさんは、糞でも効果がないことを知ると、
ある時、介護職員を階段から突き落としたそうな。
これには介護職員たちは、たいそう怒ったそうな。
怒った介護施設の所長と婦長は、意地悪ばあさんに対してある決断をしたそうな。
「姥捨山に送りましょう。」
意地悪ばあさんが最後に行き着いた先は、令和の姥捨山と呼ばれる施設だったそうな。
令和の姥捨山と呼ばれるところは、名前の雰囲気と違い、まことに綺麗な施設だったそうじゃ。
意地悪ばあさんも、外観や内観を見た時、たいそう喜んで、前の介護職員に「2度と入るか無能ども!」と暴言を吐き捨てて移動したそうな。
意地悪ばあさんの喜びのピークはここまでだったそうな。
「でんちゃwでんちゃwプルルルルルw」
姥捨山の介護職員が、奇声をあげて、意地悪ばあさんに向かってきた。
食事を待っていた意地悪ばあさんは、たいそう驚いたそうな。
「ぶううううううwwwこんいちあーーーww」
姥捨山の職員は、みんな体が大きいが、それに見合った頭がないようだった。
意地悪ばあさんはたいそう怯えたそうな。
「プルルルwwでんちゃが来ますwwでんちゃが来ますww」
姥捨山の職員は、配膳された食事を意地悪ばあさんに投げつけた。
「あっちいいあっ!」
意地悪ばあさんは、たいそう熱がったそうな。
助けを求めようと周りを見渡すが、そこには、同じような体が大きく、頭が足りない職員ばかりだったそうな。
「嫁ー!ばか職員ー!」
嫁の名前や、前にいた職員の名前を呼ぶが届くはずもない。
「wwwwww」
次に姥捨山の職員は、意地悪ばあさんをトイレに連れてったそうな。
「トイレ、、行きたくない。。」
意地悪ばあさんは疲れ切り、その声に力はなかったそうな。
トイレに到着した姥捨山の職員は、意地悪ばあさんにトイレの準備をするかと思いきや、自分だけ用を足したそうな。
「プリプリプリwwwww」
声と実際の音は一致しないぐらい、激しい排泄音だったそうな。
「ヒーー!」意地悪ばあさんはたいそう、怯えていたそうな。
「パックwwパックww」
姥捨山の職員は、排泄をし終わったら、自分の糞を意地悪ばあさんに塗りたぐったそうな。
「やめてーやめてーーーー!」
意地悪ばあさんは激しく抵抗したが、敵わず、姥捨山の介護職員に糞パックをされたそうな。
「wwwwww」
最後に姥捨山の職員はフロントにある長ーい階段に意地悪ばあさんを連れて来たそうな。
「バンジーwwww」
「やめてやめて」
意地悪ばあさんはこれから起きることを予想したのか、抵抗する。
しかし、力の強い姥捨山の職員に敵わず、車椅子ごと長ーい階段に放り投げられたそうな。
もちろん、バンジーのゴムなど付けていない意地悪ばあさんは、坂を下るおにぎりのように転がったそうな。
「ああああああーーー!!!」
「wwwwww」
意地悪ばあさんと姥捨山の介護職員の声が、ハーモニーを奏でたそうな。
ゴリっ
ハーモニーの最後に、意地悪ばあさんと首の骨が曲がる音が聞こえたそうな。
「wwwwww」
この時代の頭の弱い足りない人は、殺人を犯しても、罪に問われなかったそうな。
そこに目をつけた全国の介護職員は、姥捨山と呼ばれる介護施設を作った。
そこは、意地悪ばあさんのような、介護が大変な人や、人を傷つけるような老人を置いていったそうな。
介護職員や家族も断腸の思いで作ったそうな。
しかし、皆、誰しもその姥捨山に捨てられることがあることは、その時は知らなかったそうな。
「wwwwww」
<了>