Fillyjonk Journal vol.4 「フィリフヨンカの石選び」
ここでは、Fillyjonk(フィリフヨンカ)のジュエリーが生まれるまでのストーリーや制作について、ものづくりをしている友人たちのことなど、Fillyjonkの活動とその周辺の世界についての記事を更新します。
今回はFillyjonkのジュエリーで使われている「フィリフヨンカが天然石を選ぶときの視点」についてのお話です。
さっそくですが「4C」という言葉をご存知でしょうか?Color(カラー/色)、Clarity(クラリティ/透明度)、Carat(カラット/重さ)、Cut(カット/研磨)の4点から評価する方法で、その頭文字から4Cと呼ばれています。ダイヤモンドの品質評価で目にしたことがある方も多いかも知れません。
この評価基準が表すとおり、不純物が含まれておらず透明度が高く、濃くてあざやかな色彩、均等で美しいカットのものが一般的には価値があるとされていますが、フィリフヨンカで選ばれている天然石はこの4Cはあくまでベースであり、さらに別軸で独自の視点があります。むしろ色斑があったり、不規則な模様になっていたり、内包物が構図よく含まれているものや、カッティングのオリジナリティにも着目して石選びされていることがわかります。複雑であり不確実で不均一、独創的で包括的で、偶然性も含んだ石が多いです。
──知的好奇心を刺激する鉱物たち
フィリフヨンカでは、子どもの頃から石の面白さに魅せられていたデザイナー兼森によって仕入れがおこなわれています。彼が思う石の魅力とは宝石としてだけではなく、なぜこのような石ができたかという鉱物学的な好奇心であったり、神道やアミニズムとしての信仰心を人に呼び起こすことや、少年・兼森は旅先でひろった石に思い出を込めて集めていたそうですが、石には思いを馳せることのできる空間がちゃんとあることが石の美しさだと言います。
そして社内全員で定期的に取り組んでいるゼミ(勉強会)では、鉱物の成り立ちや特徴などをそれぞれが調べてレポートを作成し全員に発表し共有されています。知見を深めることによって、フィリフヨンカで扱う天然石の魅力や希少性を理解し、自信をもってお客様にプレゼンすることができるのです。
瑪瑙(めのう)の断面に偶然あらわれる美しい風景のような模様の石「ランドスケープアゲート」や、水晶にイオン化した鉱物が連なって植物のような模様に見える「デンドリティッククォーツ」など、どれも自然と偶然が重なり合った、世界に2つとして存在しない模様を描き出していて、こういったものに出会ったときの喜びは格別だそう。
──思いを馳せることができるデザイン
フィリフヨンカで選ばれる石は、不規則に色斑があったり、不思議な内包物が入っていたりと、不均一であり個性的です。それらの不規則性は天然石が形成されるときの環境の変化によって生まれるいわば自然の痕跡であり、何千万年前の事象に思いを馳せることができる空間なのだと思います。この空間をつくることが、ブランドコセンプト「思いを馳せる時間」をもたらすフィリフヨンカのものづくりであり、フィリフヨンカの石を選ぶときの視点なのだと思います。