Bounty Dog 【アグダード戦争】36-38
36
朱色目の黒布は大股で歩き出した。布が動いて無線機を握った腕が出てきたが、浅黒い肌をした手は布の中に直ぐに引っ込んで、持つ物を連絡道具から手榴弾に変える。
爆弾を握る手の力が強くなっている。布を頭から被っていて容姿は一切分からないが、全体的に震えていて憤っているのが周囲の誰にでも分かる状態になっていた。
ミトは事態が”思惑通り”になったと感じた。ミトも自分の被る黒布を動かして、アンテナ付きの通信機をズボンのポケットから取り出す。
機械を操作して、画面に黄緑色の格子模様と赤い点を表示させる。ーーヒュウラは軍曹を、ミトの上司であるデルタ・コルクラートに似ていると思って、彼を助けたようである。
ミトは初めから、彼は上司では無く、ある存在に凄く似ていると思っていた。
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