Bounty Dog 【清稜風月】259

259

 現在、櫻國の山の中腹部に主要の人間達と亜人達が集まっていた。唯一肉体が其の場に居ない人間の女が、青い目に掛けている銀縁眼鏡を指で調整してから、執務机に乗せて起動させているノートパソコンの画面を凝視する。
 黒い背景が無く、山を示す黄緑の図形が全体に写っている保護対象(ターゲット)位置確認画面には、図形の至る所にアルファベットと数字が組み合わさった記号が、蛍光イエローに光りながら並んで表示されている。記号の上に乗っているような形で、様々な色の点も光りながら表示されている。シルフィ・コルクラートは胸まである長い青髪を両手で背に流してから、頭部に装着しているヘッドセットの位置を調節して、合計5つある点達を睨んだ。
 山の東側と西側から同じ方向を目指して進む、2個の赤い点。東側の赤い点から数メートル先に居る、紫の点。紫の点は十数分前に長い時間一箇所で静止していたが、理由は分からなかった。緑色の点は中腹の南側におり、2つの赤と紫の点と同じ方向を目指して進んでいく。皆が北側に向かって移動していた。其の場所に、5つ目の点ある。
 桃色の点。F55の記号の真上で静止していた。シルフィは漸く新たな点がある事に勘付いていた。点の主も勘付いているが、何故”彼女”が発信機を付けているのかも、理由が全く分からなかった。
 ヘッドホンから伸び出ているマイクを、利き手の人差し指と親指で挟む。東側の赤い点に睨み目を向けながら、パソコンの横に倒し置いている通信機を利き手と逆の手で操作した。
 赤い点の主に連絡する。我が愛するトゥトゥに。

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