Bounty Dog 【アグダード戦争】185-186

185

「ラグナル、私達も4棟に行くわよ。軍曹からヒュウラへは直接連絡が出来ないし、軍曹も防犯機械の元がある場所はサッパリ分からないって、理由付きでさっき電話した時にハッキリ言ってた。至極当たり前の理由だったから文句の言いようが無いし、ヒュウラに伝えた通り私達が軍曹と合流して、彼に協力して貰ってヒシャームに機械を止めて貰うしか無い」
 漸くパニック状態から脱して”クールで仕事が出来る女”に戻ったシルフィ・コルクラート保護官は、部下のミト・ラグナル保護官に指示した。現在己達が居るのは、全5棟あるラドクリフ邸の1番手前にある第1棟。軍曹が居る第4棟へは、ヒュウラとリングと同じように奥にある全棟の橋渡し的役割も担ってる第3棟に行ってから、己らの場合は十字路を左に曲がれば辿り着ける。
 ヒシャームが完全に消息不明になっているのが、非常に気味が悪かった。嫌な予感を強く感じるが、行動しないといずれは凶悪防犯システムの標的にされて全員殺されてしまうと確信していた。
 ファヴィヴァバについては、此方も見つけたら”デブ掃除”するつもりだ。軍曹達”民間お掃除部隊”とは『助力はお互いにするが此方は戦争に加担しない。向こうは亜人の保護活動に加担しない』という取り決めを結んで、共に居るが活動はそれぞれで行なっている。だが今は特殊な状態なので、恐らくヒシャームが抹殺標的”ロストターゲット”にしているファヴィヴァバを始末してしまうのも、この脅威から全員が脱する為に必要だと考えた。

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