Bounty Dog【Science.Not,Magic】80

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 中央大陸東部にある半島の国で行われている『記念』パレードは、午前の部が大詰めを迎えていた。世界中から著名人をゲストとして招き入れており、セレモニーの準備も着々と進んでいた。
 式典は”彼”が望んだ場所では無く、現テムラ社が背後に聳え立つ広場で間も無く行われる。既に装飾と壇を設けられており、壇を囲むように半島の陸軍と空軍の軍人達が並び立っている。
 異様だと、ずっと思っていたが”彼”は性格が災いして延々と想いを表立たせずに己の心の中だけに潜めていた。『記念』式典も”彼”が企画から着手しており、己の横に立っている其の相手は、己よりも遥かに輝いている存在だとも”彼”は心底思っていた。
 壇上に並べたパイプ椅子に座っているゲスト達の1人ひとりに”彼”は自信満々な態度で握手を交わして短い会話をする。最年少のゲストに対して”彼”は他のゲスト以上に気遣いの言葉を掛けた。ゲストは苦笑に近い笑顔をして”彼”へ律儀に返事をしていた。
 好青年というイメージがピッタリな、その人間の顔を”彼”は見た事があった。何処で見たのかは、思い出せない。

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