Guilty Braves Truth1:荒廃の街フィオラ/行こう、誰もが幸せになれる土地へ【1−2】
1ー2
幻想的なグラデーションの色彩をした短い髪と共に、頭に巻かれている長い二枚の鉢巻きが風に揺れている。少年は少女と仲間達の視線に気付くと、笑顔で話し掛けてきた。
「怪我はない?」
「調子乗ってるんじゃねえぞ!このガキいい!!」
背後から襲いかかって混紡は、振り向いた少年の剣によって簡単に防がれる。
2本になった棒は、瞬間的に4つに斬り分けられる。バラバラにされた混紡を拾う間もなく、続けざまに放たれた打撃が男の頭部に当たる。峰打ちは力の差を見せつけられたチンピラの傲慢を意識と合せて停止させると、
完全な平和が、広場に取り戻された。
「わーいカマックなのだー。お節介カマックなのだー」
「お節介は余計だあー」
カマックと呼ばれた少年は、お茶目な会話をお茶目に返す。少女がお礼を言う前に、もう一人の仲間が話しかけてきた。
「おーい。カマック。こっちは片づけといたわよー」
「ありがとうレ……」
笑顔で手を振る仲間より、その後ろでボコボコにされて倒れている敵を凝視する
「気にしないの、気にしない。いつもの事よ」
「……」
(何で余計なことまでしくさってくれちゃうんですか?)とでも言いたそうな顔でレナをみつめる少年に、レナは(何よ?なんか文句あるっての?)とでも言いたそうな顔で返す。
空気が若干ピリピリする中、少女は少年に恐る恐る話しかけた。
「……えーと……」
「何よ」
あんたじゃない。
「あ。怪我はない?」
「あ、はい。助けていただいて、ありがとうございました。なんとお礼を言ったらいいか」
「のだのだ。のだはお節介には何も言わなくて良いと思うのだー」
見かけによらずなかなかの毒舌家であるトカライの皮肉に、主人公なのに余り大事にされていないカマックは苦笑いを返す。
レナは思い出したようにチンピラを探すが、男達の姿はいつの間にか消えていた。
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