Bounty Dog 【清稜風月】109-110

109

 “忍者犬”任務は今度こそ完了した。槭樹と睦月が気を逸らしている刹那(せつな)の隙を付いて曲輪の上に跳ね飛んだヒュウラは、そのままバク転で曲輪の側面にワザと落ちてから、右手に付けた手甲鉤で壁に腕を引っ掛けて一旦停止をした後で、足を壁に付けて強靭キックで城の外に大きく跳ね飛んだ。
 槭樹にも睦月にも、壁蹴りで発生した轟音には気付かれていなかった。ノウ女ことコノハは要らないので放置したままにする。相棒の猫に幾ら叱られても誰も彼もを雑に扱う悪癖は治らない狼の亜人は、城の外への脱出に成功して、
 直ぐに罠に引っ掛かった。

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