Guilty Braves Truth0/最果ての村カルッサ−人と「魔導士」と「幸せの土地」【0-2】
0-2
――最果ての村カルッサ――
東世界の最果てとされる辺境の村。貧しい農民達が暮らす集落で名産物は無く、外部からの訪問者は滅多に来ない。
大戦時に主戦場となった二大国の国境の近くにある為、戦争中よりアルカディス帝国から略奪被害を受けており、村人達は今なお根深い恐怖心を持っている。同時に戦争の武器であった「魔導士」に憎悪を抱いており、無垢な子供も大人を真似して「魔導士」を差別するようになっている。
村の近くに小さな林があり、中央には井戸代わりに利用されている沼がある。
カルッサ村に入ると、麻の服を着た子供達がハルに向かって石を投げ付ける。無自覚に行なわれる集団暴力に耐えながら、それを正義だと刷り込ませた大人達の「無視」という別の暴力にも耐えながら、少女は傷だらけになって歩き続ける。が、
足音が谺するので停止してみると、背後から別の足音が聞こえてくる。不思議に思って後方を確認すると、視線を戻して眉を潜めた。
(やっぱり。何で付いて来るの?あんた達も私に石を投げ付けたいの?)
数メートル距離を空けて、不思議な髪色の鉢巻き少年と不思議な語尾を付けて喋る男児が並んで歩いている。愉快な話をしているようで時々笑い声を上げる二人に憤りを感じつつも、小石の猛威から逃れる為、ハルは速度を上げて歩き始める。
三重の足音が少女の心をざわつかせる。耐えきれなくなって「付いてくるな」とジェスチャーするが、相手はお喋りに夢中で気付かないので、無視をしようと努める。礫の雨の中を進んでいると村人の会話が聞こえてきたので、ハルは突然の駆け足を開始する。
走り出したのは彼女だけだったが、周りの敵意は余所者に向けられる。子供が標的を変えるや否やジェスチャーを後ろ向きに行うと、意味ごと気付いたらしい後方の二人は少女の背を追い駆ける。
村の端にある『宿屋』の看板が付いた一軒家に到着すると、立ち止まる事無くハルは旅人達を誘導する。扉が閉められる直前に子供の一人がトカライに向かって石を投げ付けたが、
礫は見えない壁に当たったように、空中で跳ね返って地面に落ちた。
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