Bounty Dog【Science.Not,Magic】49-50
49
ーー私は日記を書いて、自分の人生を他人に発表したり他人の為に一生の軌跡を残しておく習慣は無い。これからも死ぬまで日記を1ページも書かなかったが、私は自分の生涯で、此の日に遭った出来事は死んだ後も決して忘れなかった。
あの満月の日の事と一緒に、あの日のあの出来事と其の後に起こった数々の出来事は、私が此れから死ぬまで進む道を決めるモノになった。”彼”の名前を知る事も私は死ぬまで無かったけれど、可笑しなヒュウラの中に居た存在がヒュウラにとってどんな存在であるのかは、あの時に”響き”で理解した。
新暦23××年8月。私が産まれた時から着ている神様が作った『生涯』という服に”ほつれ”が出来る事は、許されなくなった。ーー
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