Valkan Raven #1-4

1‐4

 夜が更けるまで魅姫は璃音の部屋で過ごしていた。結局欲に負けて掃除をしたが、色んな意味で怖いのでギターケースと押入は触らなかった。
 夕飯は渡された塩味のカップラーメンを食べた。「飯炊き用だ」と言われてカセットコンロと調理道具も渡されたが、「コレを使えるか使えないかはお前の結果次第だ」と補足された。
 時計代わりのMacBookが布団の上に置かれていたが、左腕に付けている腕時計を見せると、それで時刻を確認する事となる。小さな秒針が約束の数字に近付くと、膨れたゴミ袋を縛っていた魅姫に威圧的な声が掛けられた。
「先に行け。俺は用意があるんで後から行く」
(?)
「Make no mistake.(勘違いするな。)逃げたりしたら不合格と見なして処刑する。この時間だと誰も塀の外に出られねえがな」
 ――"塀"というのは町に来る時に通ったあの異様な建物の事だろうか?逃げる意志は無いが、逆らう事は許されない。――
 魅姫は振り向いて首を縦に振ると、行き方のメモが書かれた地図と痛み止めの粉末薬を持ってアパートを出た。

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