Bounty Dog 【アグダード戦争】272
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『ラ・ムシュキラ(問題無い)』
もう一度、無感情に言ってきた”彼”は発信機同士で話せる機能が新たに付いた左手首の機械を使って、軍曹の機械越しにシルフィに”アレ”に付いて詳細を尋ねていた。側に居させている後衛だが年齢が10代のミトでは、説明させても情報が不充分になるだろうと判断したらしい。ミトを全く頼らない彼の態度に、イマームは思った。
(シルフィさんは、軍曹の後衛。軍曹とも喋ってる。やっぱり軍曹と曹長は、やっぱり、やっぱりやっぱり……何だか!!)
また思考が大脱線したので、急いで戻す。何故己は同性愛を彼らに求めるのか、己も正直そんな趣味を部隊に潜入する前も後も全く持っておらず、こんな思考が目覚めてしまっている理由もサッパリ分からない。だけどやっぱり、彼と軍曹の絆は誰よりも強く硬く深いから、そうでは無いかと思って仕方が無かった。
同性愛疑惑については事実はオマケで、羨ましいというのがイマームの本音だった。彼らは友達という他人なのに、絆が友達をアッサリ超えて、夫婦みたいになっている。それより強い兄弟という絆を、アシィムと己は全く築け無かった。同じ親から産まれて同じ家の屋根の下でずっと一緒に暮らしていたのに、実の兄弟という1番強い絆が姉と己はある程度築けたが、兄とは全く築けなかった。
己の家族は中から亀裂を入れられて、バラバラになって壊された。
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