Bounty Dog 【アグダード戦争】253
253
ヒュウラは『神輿』を探しながら、イシュダヌの商会施設で”羽虫”の如く予測不能の奇襲をしていた。奇襲は『実験』も兼ねて行っていた。人間の道具2個を使った凶悪炎反撃の他に、その時には出来なかった別の実験も、その後直ぐに実行した。
2度目の実験で使ったものは喪失していない。建物の中でRPG弾を使うという極めて非常識な戦い方を、イシュダヌ軍の兵士達は平気で行ってきた。リングと彼女の背に乗っているミディールはギニャギニャあぎゃあぎゃ喚きながら、天井が崩れて炎が噴き上がる度に換気口の中を必死に逃げ回っていた。ヒュウラは仏頂面のまま極めて冷静に動いていたが、無表情のまま違和感を強く持っていた。
兵士達がミサイル弾で建物を破壊しまくってそこら辺を炎の海にしているのに、あの目の前で姿を見たイシュダヌらしき人間は、全く姿を現わさなかった。そして兵士達は、やはり皆の様子が可笑しかった。殆どの人間達が口から涎を出している。手足に太い鎖が付いていて、死人のように全員の目に正気が無かった。
ここから先は
3,644字
¥ 100