Bounty Dog 【アグダード戦争】148-149
148
軍曹は輩座りでソファーに土足で乗るという御行儀の底辺を貫いたまま、一点を凝視した。並べ置かれた剥製の列の中に、肘掛け付きの立派な椅子が一脚置かれている。
今居るこの応接間の扉のように、金箔が貼られて宝石を散りばめられた、悪趣味の極みのような椅子は、同じく金で出来ている、何かを椅子に縛って括り付ける為の紐が5本垂れている。
場所は丁度、座った際に両手首と両足首、首が付く所にあった。王族用の豪華な拷問器具を思わせる謎の椅子を延々と見つめていると、向かいのソファーに座って足を組んだファヴィヴァバが、座り方と同じように言葉的な礼儀も崩して話し掛けてきた。
「じゃあ、早速”会合”を行おう。その前に、聞きたい事がある。君達が思っている通り、私とイシュダヌ殿は凄く警戒しているよ。”彼”の訃報を聞いてから、軍事関係は特に念入りにチェックして、とても慎重に行なっている」
座り方を更に崩す。安物平テーブルに短くて太い両腕の肘を付けてゴチャゴチャ指輪が付いている手の指を組むと、直ぐに言葉を続けた。
「君の部隊、凄く有名なんだよ。此処最近は特にね。気紛れな羽虫のように予測不可能な奇襲の仕方をする、厄介さを手に入れてしまっている。
カスタバラク殿の暗殺に、君達部隊は一切関与していない。これは本当に、本当かい?実行犯と面識が全く無い、彼の突然の死は君達にとっても予想外だったというのも」
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