Bounty Dog 【清稜風月】222-224
222
ヒュウラにはかつて、自然に起こる現象に対して『決して歪めるな』と警告してきた友が居た。その友は此の世にも冥土にもかつての姿ではもう存在していないが、ヒュウラの思い出の中では永遠に生きている。
脳内順位に割り当てていないが、名の知らぬ白い魚は今でも大切な友だった。魚の亜人だった彼は7ヶ月前に尾鰭を無くして死に、北西大陸に流れている川に身が溶け流れて、亜人では無い魚達と鳥達と獣達と植物に未来を与えた。
自然と共に生きた友が自然に帰った場所は、山に川が流れている場所だった。この東の島国の霊山にも川が数条流れているが、どの川も幅が小さい。だがヒュウラの耳には、大きな川から流れてくる水の音が絶えず聴こえてきていた。
日雨に救って貰う前に聴こえていた、あの水音がまた聴覚を支配していた。
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