Bounty Dog 【アグダード戦争】44-46

44

 軍曹達”アグダード民間お掃除部隊”が、ゴミ人間掃除に出動した。シルフィ・コルクラートが率いる『世界生物保護連合』3班・亜人課の超少数保護部隊も、保護対象”ターゲット”の亜人の情報を報酬に、共に戦場に出陣する。ヒュウラについては、ミトと軍曹は抗議したがシルフィと朱色目に言い負かされて、結局戦力として連れて行く事になった。
 ヒュウラはアジトを出る前に、赤い腰布に覆われた服の腰ポケットに収めている物達を確認した。宝物の、電源ボタンが押し過ぎて凹んだまま戻らなくなっているテレビのリモコン。リングから昨日おやつに貰った生のヒヨコ豆5粒。ミトから一昨日煎餅代わりのおやつに貰ったピスタチオの煎り豆10粒。シルフィからは、3日前に銃に取り付ける小型のフラッシュライトを貰った。全て右のポケットに入っていたので、整理する。
 ヒュウラはリモコンを、また間違えて投げないようにアジトに置いて行く事にした。ポケットから出そうとして、止める。ポケットから他の物も全て取り出して弄ると、底の縫い目に挟まっていた小さな物体が出てきた。
 人間の金だった。ローグを倒す最大の武器になった、100エード銀貨だった。銀貨は手に入れた時は3枚あったのだが、1枚は武器にした際に完全に捻じ曲がって使い物にならなくなった。ヒュウラが持っていたのは、物理攻撃の際に使った1枚と、全く未使用だった1枚の、計2枚の”残していた”コインだった。
 ヒュウラは2枚のコインを掌に乗せて、指で弾いて回しながら見つめる。コインは洞窟に置かれている照明器具の光を受けて、凝縮した眩しい光を放つ。
 銀貨の光を暫く見つめてから、ポケットに戻す。おやつの豆達と懐中電灯もポケットに戻すと、テレビのリモコンを、皿の上に乗った軍曹のライムの小山の頂上に置いた。
 軍曹から貰った塗り薬は、ミトに渡していた。支部に持って帰りたかったので、ミトに預けていた。

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