Bounty Dog 【アグダード戦争】92
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コルドウは「またお前か」と言いたげな顔を返された。ヒュウラに。一目見ただけでは無表情に見えるが、口元がキツく結ばれていて、目が若干吊り上がっている。
微々な、非常に微々な渋い顔をされて、嫌悪されたコルドウは少し機嫌を損ねる。布を巻き付けた頭から漫画のような蒸気を噴き出した。ヒュウラの表情は変わらない。
カスタバラクに関しては、完全に無表情だった。親指で撃鉄(ハンマー)が引かれて回転弾倉(シリンダー)が回る。無礼でしかない反応をされて、コルドウは更に機嫌を損ねた。漫画のような蒸気の塊と怒りの十字マークを沢山頭から噴き出した。可笑しなモグラの亜人のふざけたリアクションに、カスタバラクの口元がキツく結ばれた。嫌悪しているようである。
生真面目な性格の軍人崩れの支配者が持つ拳銃が、4発目の銃弾を吐き出した。銃口が炎を吹き出して、コルドウが独特の悲鳴を上げる。銃弾は背後で伏せていたヒュウラの直ぐ傍の床に穴を開けた。穴から煙が上がって、ヒュウラの目が大きく見開かれる。
後ろ手に感覚だけで発砲したカスタバラクが、ヒュウラに顔だけ振り向いて一瞥してから小さな溜息を吐いた。ヒュウラは相手の顔を見ないように直ぐに俯いたが、相手にされた態度から、間違えて撃ち殺してしまいそうだったが失敗した事に安堵しているようだと推測した。
”殺してはいけない”亜人を逃さないようにしながら、 ”殺しても良い”亜人に身体の前面を向ける。モグラは超音波を止めて『生きた窒息兵器』の顔を見ないようにした。カスタバラクは拳銃からライフル銃に武器を切り替える。ショットガンは背負った状態で、拳銃を胸ポケットに戻した。弾は3丁共に、まだ残っている。
2種の亜人を真逆の意味で標的”ターゲット”にしている人間を、狼とモグラが挟み撃ちにしている。モグラは布巻きの頭を左右に大きく振って、何かを探すような動作をしてから正面を向くと、
相手が仏頂面のまま、念願の一人称を言ってきた。
「あっし」
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