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翻訳『狂えるオルランド』第26歌

※『狂えるオルランド』の中でマンドリカルドが登場する部分を抜粋してイタリア語原文から翻訳。

あらすじ

 不死鳥の紋章を帯びた騎士がルッジェーロ一行に加わる。一行は無事にリチャルデットの従兄弟たちを救出する。不死鳥の紋章を帯びた騎士は正体を現した。それはマルフィーザであった。一行はマーリンが作った泉のそばで食事を楽しむ。そこへ使いの者がやって来てルッジェーロの愛馬をロドモンテに奪われらと訴える。ルッジェーロは使いの者とともにロドモンテ探し求めるために発つ。その一方、マンドリカルド一行はマーリンの泉に到着する。マンドリカルドはマルフィーザを捕らえてドラリーチェの代わりにロドモンテにあてがおうと考えて護衛を攻撃する。護衛が打ちのめされたにもかかわらず、マルフィーザは武装して戦ってマンドリカルドと互角に渡り合う。そこへロドモンテが割って入り、アグラマンテを救いに行かなければならないと諭して戦いを止める。マンドリカルドは一行にマルフィーザを加えてパリに向かう旅を再開する。マーリンの泉を一足先に出発していたルッジェーロはマンドリカルド一行を見つける。ルッジェーロとロドモンテの口論が始まる。そこへマンドリカルドが割り込んで三者の間で諍いがもつれ合う。マルフィーザはなんとか仲裁しようとするが自らも争いに巻き込まれる。ドラリーチェの小馬が暴走する。マンドリカルドとロドモンテがすぐにその後を追う。続けてルッジェーロとマルフィーザも2人を追い求めて去る。

67連~87連

 フロンティーノ[ルッジェーロの愛馬の名前]を取り戻して非道な所業に復讐したいという願いに導かれたイッパルカ[ルッジェーロとブラダマンテの間を取り持つ使いの者となった侍女]は、旅路を大幅に短くしようと山中を通る道をたどった。その一方、先に述べたとおり、アルジェの王[ロドモンテのこと]はタタール人[マンドリカルドのこと]やそのほかの者たちとともに馬を進ませていた。平坦で楽な道をたどったので、ルッジェーロと出くわすことはなかった[26-67]。

 (知ってのとおり)彼らの諍いはアグラマンテを救出するまで先延ばしにされていた。彼らの争いのすべてのもとであるドラリーチェも同行していた。では話の続きを聞いてもらうことにしよう。彼らの道は、アルディジェーロ、マルフィーザ、リチャルデット、マラジージ、そしてヴィヴィアーノが休んでいる泉にまっすぐ向かっていた[26-68]。

 マルフィーザは仲間たちに請われて、マガンツァ家の卑怯者[第25歌で登場するマガンツァ家のベルトラージのこと。マガンツァ家はリナルドとブラダマンテの兄妹と敵対していた]がランフーザ[オルランドとリナルドの従兄弟であるフェッラウの母親。第25歌でランフーザが贈り物と引き換えに、フェッラウが捕らえたマラジージとヴィヴィアーノをベルトラージに渡す算段を進めようとしていたという話が出てくる]への贈り物にしようとしていた乙女の衣服や装身具を身に着けていた。常であれば胸当てやほかの優れた武具を着用せずにいることは稀なことであったが、その日は仲間たちの求めに応じてそれらを脱いで女として長くゆったりした外衣[gonna、婦人用の室内着もしくは正装]を身に着けた[26-69]。

 タタール人はマルフィーザの姿を見るなり、力ずくで征服できると思って、ドラリーチェの埋め合わせとして引けを取らない彼女をロドモンテにあてがおうと企んだ。一方が恋人を失ってもう一方が恋人を得ようとも若者が悲嘆を吐露せずにすむように、恋の神が代わりの恋人を見つけたり替えたりできるように定めているかのように[26-70]。

 マルフィーザをロドモンテに与え、ドラリーチェをマンドリカルドのために取っておくということだ。美しく優雅であり、あらゆる騎士の心を捉えるのにふさわしく、たちまち恋に落ちてしまうほどの乙女であるマルフィーザをロドモンテに与えようともくろんだマンドリカルドは、彼女のそばにいるすべての騎士たちに槍試合での戦いを挑んだ[26-71]。

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