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マンドリカルドの楽曲について

ジャケ・ド・ベルヘムの楽曲『La Favola di Orlando』(1561)は『狂えるオルランド』からオルランド、ルッジェーロ、ブラダマンテ、アストルフォなど登場人物の印象的なセリフを歌詞として抜粋して『狂えるオルランド』を再構成している。その中で44番~50番でドラリーチェとマンドリカルドが登場する。なお『La Favola di Orlando』は現代に演奏されたものがあるが、曲目を見ると44番~50番は省略されているようである。

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44番

ドラリーチェは言った。「ああ、私に安息をもたらしてくれる慰めをどうすれば見つけられるのでしょうか。今度はこちら、次はあちらと新たな相手を望んでは鎧や鎖帷子を身につけてばかりいるというのに。私のためにほかの男[ ロドモンテのこと]に対してあなたが挑んだ戦いがなくなって喜べたとしても、もし些細なことでまた別の諍いが起きれば私の心は慰められるでしょうか」[30-32]

45番

「ああ、立派な王にして強健な騎士が私のために死の危険を冒して激しい戦いに身を投じてくれたと誇らしく思っていたことはなんと虚しかったのでしょうか。あなたが取るに足らない理由で同じような危険に身をさらそうとするのを見ると。あなたが危険に立ち向かおうとするのは私への愛ゆえではなく、もともとあなたの魂が戦いを好むからでしょう」[30-33]

46番

「それでもあなたの愛がいつも私に示そうとしている愛と本当に同じくらいの強さであれば、その愛にかけて、私の心を掻き乱し悩ませるひどい苦痛にかけてあなたにお願いします。ルッジェーロが白い鷲の紋章を帯びるかどうかなど気にされないように。紋章を諦めるか帯びるかがあなたにどれほどの利害をもたらすのか私はわかりません」[30-34]

47番

「これからあなたが取り組もうとしている決闘から得るものは少なく失うものは大きいでしょう。あなたがルッジェーロから鷲[の紋章]を奪ったとしても、労多くして益少なしです。ただもし運命の女神があなたに背を向けたら(その前髪をあなたが掴んでいないのに)ひどい目に遭うでしょう。そう思うだけでも私の胸が悲しみで引き裂かれるように感じます」[30-35]

48番

「あなたにとって命はそれほど大事ではなく、鷲の図柄が最も大事なものだとしても、せめて私の命のためにあなたの命も大事にしてください。一方の命が絶えればもう一方の命も必ず絶えるでしょう。私とてあなたと一緒に死ぬのであれば悪く思いません。生きるも死ぬもあなたについて行く覚悟ができています。ただもしあなたの後を慕って死ぬことになるのなら、私は満ち足りぬ思いを抱いて死にたくはありません」[30-36]

※この部分のドラリーチェの嘆願は『イーリアス』におけるヘクトールとアンドロマケに代表されるようなさまざまな古典を模倣している。

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49番

「おお、わが愛しい人よ、神にかけてそのような些細なことで悩まぬように。たとえシャルルマーニュとアフリカ王がここに集めたムーア勢とフランス勢が戦旗を翻して私独りにあだなそうとしても、そなたは何も思い煩う必要はない。私のためにルッジェーロ独りを恐れることは、そなたが私を軽んじていることになるぞ」[30-38]

50番

「ああ、私は力ずくでそなたを手に入れたというのに、どうして決闘で[ロドモンテと]さっさとけりをつけておかなかったのか。それにしてもわが武勇をそなたにはっきり示しておけば、そなたにルッジェーロの最期をすぐに見せてやることができていただろうに。涙を拭え。そして神にかけてそのように私に哀願するのをもう止めるように。[決闘に赴くのは]白い鷲の図柄の紋章のためではなくわが名誉のためだとわかってほしい」[30-42]

※39連~41連もマンドリカルドのセリフだが省略されている。

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