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ビリー・ザ・キッド、真実の生涯―第4章
チワワ・シティ—不遇—運命が死んだ賭博師とダブルン金貨の袋を彼にもたらす—ビリーの胴元を「襲撃」—チワワよ、さらば
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ソノラからの逃亡の後、ビリーとセグーラはチワワ・シティに向かった。いつものようなトランプ賭博のつきがかえって彼らを窮地に陥れた。ビリーは知らず知らず、そこの賭博師の仲間達の中に敵を作ってしまったようであった。おそらく彼の技量、彼の実力、そして、誰にも真似できない彼の平然とした態度が嫉妬を招いたことが関係しているのだろう。
19世紀のチワワ・シティ
ある夜、彼の困難な状況はさらに悪化した。ビリーは賭博のテーブルでかなりの額のお金を勝ち取ると、胴元が勝負を下りて負けた分を払えないと冷笑を浮かべてビリーに言った。ところが彼は、ビリーを横目で見ながらダブルン金貨[訳注:昔のスペイン・スペイン領アメリカの金貨、下図参照]を掻き集めて革袋に詰め込んでいた。ビリーに支払うべきお金の12倍以上はありそうだった。
ビリーは返事もせずにセグーラとともに賭博場を去った。金貨の袋を従者に持たせた賭博師は家にたどり着けなかった。その従者は、現在、ニュー・メキシコのリオ・グランデ川の近くに住んでいて、比較的、恵まれた環境にいる。
チワワ・シティの路上からビリーと相棒の姿は忽然と消えたが、3人の儲けている賭博師が夜、集会室から家に帰る途中、奇妙な「襲撃」に遭ってお金を盗まれた。3人はそれぞれビリー、もしくはセグーラを立腹させていたことが後の話でわかっている。ギャンブラー達は、公然とふてぶてしくもビリーから[正当に勝ち取ったお金を]奪った胴元が不思議にも姿を消したことについていろいろと憶測した。そして、彼らと一家は彼が死んだと思って嘆いた。彼らがそう思うのも当然である。
2つの冒険が終わってチワワは彼らが追い求めた天国ではないと結論付けた2人は姿を消した。彼らの未来の動向は別の章のためにとっておこう。しかし、それから数ヵ月間、少年達はいろいろと迂回する中で、メキシコの優れた工芸で金銀の糸とレースが精巧に施された革袋から取り出したメキシコ金貨でちょっとした勘定を決済している。
突然、姿を消した賭博師に関しては、ビリーはその事件に関する詳細を明かさなかったものの、チワワ[の住民]から得られた最近の助言によれば、その事件が起きた夜以来、彼がもう二度とそこを訪れていないことは確かである。
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※5章に続く
放浪者—ジェシー・エヴァンズ、再び—17才のビリーの外見—ビリーとジェシー—メスカレロ族に攻撃をしかける—血塗れの仕事—斧でインディアンを虐殺
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