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翻訳『恋するオルランド』3巻第4歌

※『恋するオルランド』の中でマンドリカルドが登場する部分を抜粋してイタリア語原文から翻訳。

あらすじ

 マンドリカルド、グラダッソ、ルチーナを乗せた船は荒らしに遭いながらもフランスに到着する。アフリカ王のアグラマンテの軍勢とシャルルマーニュの軍勢の戦いが始まる。モンタルバーノの戦いにおけるルッジェーロの奮戦が語られる。シャルルマーニュの軍勢はアグラマンテの軍勢の攻撃を支えきれず、パリに向かって退却する。ロドモンテと戦っているブラダマンテ[アモーネ公の娘にしてリナルドの妹、ルッジェーロと結ばれてエステ家の祖となる]を見かけたルッジェーロは、シャルルマーニュの軍勢が撤退したことを教えてすぐに後を追うように忠告する。ブラダマンテはロドモンテに戦いの中断を申し出るが、ロドモンテは拒否する。そこへルッジェーロが割って入る。ブラダマンテは去り、ルッジェーロとロドモンテの間で戦いが始まる。

1節~10節

 諸君、もし恐怖というものを知らない者を見つけたり、もしくは恐れ知らずの者を怯えさせる術を考えたいのであれば、その者に嵐の海を体験させればよい。もしその者が怯えることもなく意にも介さないようであれば、その者は勇敢な者というより愚か者だと見なされるだろう。というのはその者は死から指1本分しか離れていないからだ[III-4-1]。

 時化た海は恐ろしいものだ。実際に経験するよりも聞いているだけのほうがましである。そこで皆には海で嵐を経験した者の話を信じていただき、わざわざ[嵐の海を]経験するために陸を離れないようにしていただきたい。先の歌で述べたように、海に出た船は波で前後に揺さぶられたせいで水が侵入してトウ[stoppa、麻や亜麻の櫛梳工程で生じる繊維の屑。船で水が漏らないように隙間を埋めるために使う]が抜け落ちた[III-4-2]。

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