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アーサー・コナン・ドイル北極日記7月26日

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7月26日月曜日

西と南西に向かって帆走。西経6と4分の1度、北緯73度56分。夜、船長はエクリプス号に行った。海水は養分が豊かだが、9羽のモーリーとゼニガタアザラシの群れを除いて動物がいる様子はない。海泡石[訳注1]のパイプに関する詩を書いた。

西と南西に向かって帆走。西経6度15分、北緯73度56分。夜、船長はエクリプス号に行った。海水は養分が豊かだが、9羽のモーリーとゼニガタアザラシの群れを除いて動物がいる様子はない。海泡石のパイプに関する詩を書いた。

海泡石のパイプは革のケースの中に納まって星霜を経ている。
私と古い海泡石のパイプは信頼できる友にして真の仲間。

海泡石のパイプと私は若かりし頃、多くのどんちゃん騒ぎの夜を過ごした。
我々学生は飲んでタバコを吸って歌った。私の海泡石のパイプがまだ白かった時に。

海泡石のパイプが茶褐色になってしまう前に、故郷と友人に私は最初の別れを告げてロシアのうらぶれた岸に向かった。私は海泡石のパイプを心臓の隣に帯びた。

血にまみれた地に多くの者たちが来たが、帰った者たちはほとんどいなかった。死と病が蔓延していた。私は海泡石のパイプをいぶらせて黒くした。

我々の大佐が死んだ日、我々は突撃してマラコフ[訳注2]を奪取した。ロシアの銃弾が私の脇腹をかすめ、海泡石のパイプの琥珀を吹き飛ばした。

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