ミュージカル『ハミルトン』歌詞解説12―The Story of Tonight (Reprise) 和訳
はじめに
ミュージカル『ハミルトン』は、ロン・チャーナウ著『ハミルトン伝』(邦訳:日経BP社)をもとにした作品である。
物語の舞台は18世紀後半から19世紀初頭のアメリカ。恵まれぬ境遇に生まれたアレグザンダー・ハミルトンは、移民としてアメリカに渡り、激動の時代の中を駆け抜ける。アメリカをアメリカたらしめる精神がミュージカル『ハミルトン』には宿っている。
劇中では、友情、愛情、嫉妬、憎悪など様々な人間ドラマが展開される。ここでは、そうしたドラマをより深く理解できるように、当時の時代背景や人間関係を詳しく解説する。
”The Story of Tonight (Reprise)”
※歌詞の和訳はわかりやすく意訳。
※歌詞の原文は『Hamilton the Revolution』に準拠
Later in the night. Mulligan, laurens & Lafayette enter, with goblets in hand, razzing Hamilton.
LAURENS:
I may not live to see our glory!
「栄光をつかまずに生きていられようか」
解説:ローレンスは戦功に逸る傾向があり、ハミルトンはローレンスが死に急がないかと危惧していた。後にそうした危惧は的中することになる。
MULLIGAN/LAFAYETTE:
I may not live to see our glory!
「栄光をつかまずに生きていられようか」
LAURENS:
But I've seen wonders great and small.
「あらゆる人に驚くべきことはいろいろある」
MULLIGAN/LAFAYETTE:
I've seen wonders great and small.
「あらゆる人に驚くべきことはいろいろある」
LAURENS:
Cuz if the tomcat can get married,
「もし女たらしが結婚できるなら・・・」
MULLIGAN/LAFAYETTE:
If Alexander can get married—
「もしアレグザンダーが結婚できるなら・・・」
解説:「tomcat(女たらし/雄猫)」とはハミルトンのことである。この点については、9—A Winter's Ball 和訳を参照のこと。
LAURENS:
There's hope for our ass, after all!
「我々ろくでなしにも希望はあるぞ」
LAFAYETTE:
Raise a glass to freedom.
「自由のために乾杯だ」
LAURENS/MULLIGAN:
Hey! Something you will never see again!
「なあなあ、今という時はもう2度とないんだぞ」
MULLIGAN:
No matter what she tells you.
「彼女が君に何を伝えようともね」
LAFAYETTE:
Let's have another round tonight!
「さあ今夜のお楽しみはこれからだ」
LAURENS:
Raise a glass to the four of us!
「我々4人に乾杯だ」
LAFAYETTE/HAMILTON:
Ho!
「よし」
MULLIGAN:
To the newly not poor of us!
「最近、なかなかいかしている我々に」
LAURENS/LAFAYETTE/HAMILTON:
Woo!
「おう」
LAFAYETTE:
We'll tell the story of tonight.
「今夜の話を伝えよう」
LAURENS:
Let's have another round—
「さあ今夜のお楽しみはこれからだ」
Burr enters.
HAMILTON:
Well, if it isn't Aaron Burr.
「おお、もしやアーロン・バーではありませんか」
BURR:
Sir.
「そうだ」
HAMILTON:
I didn't think you would make it.
「君が間に合うとは思わなかったよ」
BURR:
To be sure.
「これはこれは」
MULLIGAN/LAFAYETTE:
Burr!
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