フロンティアの戦士―第13章 キッドはセブン・リバーズの一党の裏をかく
※ジョージ・コー『フロンティアの戦士』に関する詳細は『ビリー・ザ・キッド史料アンソロジー』についてでまとめています。
サン・パトリシオはルイドソ川沿いにある小さなメキシコ人の集落であり、キッドがよく立ち寄っていた。ルイドソ川沿いのメキシコ人はきっとの友人であり、強い同盟者であった。ある朝の未明頃、私はまだ怪我が治らずに身を隠していたが、ホセ・ミゲル・セディーロが、ビリーとかつて友人だったが今は仇敵になっているジェシー・エヴァンズが男たちを引き連れて良からぬ目的でこの周辺をうろついているとキッドに伝えた。ビリーはタンスタールの地所に属する馬をまだ管理していたので、それが心配になって朝食前にチャーリー・ボウディー、ヘンリー・ブラウン、ドク・スカーロック、そして、トム・オフォラードを連れて外に出た。オフォラードは大胆不敵な若者であり、一味と同行するようになったばかりであった。
キッドはブラウンとともに川岸をたどり、その他の3人はボウディーを頭にして反対側の川岸をたどった。ビリーは戦いの雰囲気を嗅ぎつけると、いつものような警戒心ですぐに決然と行動した。ブラウンを左前方に送り出した後、ビリーは馬を引いて危険な勾配を下った。彼は無事に勾配を下って、川を渡り、東岸を登った。その時、彼は馬蹄の響きを聞き、ブラウンが必死に北に向かって馬を走らせているのを見た。同時に一斉に銃声が響いた。ビリーは年老いた葦毛の馬に乗ると、疾走し始めた。杉の下生えを通り、とげとげしたサボテンとぎざぎざした岩がある崖を越えて彼は急行した。普通の男であれば、そのような険しい山腹を駆け下ることは死や災難を意味しただろう。ビリーにとってはそうではなかった。反対側の丘の麓で彼は戦いが起きているのを見た。8人の男を率いるエヴァンズがボウディーと仲間たちを攻撃していた。ビリーの一味に不利なように見えた。インディアンの鬨の声さえ面目を失うほどの長く響く叫び声を上げながらキッドは狂ったように峡谷を駆け抜けた。敵の手中に落ちたボウディーが弱々しく抵抗していた。エヴァンズとその一味はリボルバーを彼に向けていた。エヴァンズは捕虜をあざ笑っていた。
ここから先は
¥ 100
サポートありがとうございます!サポートはさらなる内容の充実によって読者に100パーセント還元されます。