『騎士道の鑑』(1525~1547)解説
原題はEspejo de caballerías。原文はスペイン語。作者はロペス・デ・サンタ・カタリーナである。全3巻から構成され、1525年から1547年にかけて刊行された。
1525年に刊行された第1巻は、ボイアルド『恋するオルランド』の翻案である。相次ぐ合戦や決闘、恋模様の展開など『恋するオルランド』の筋をたどりながらカスティリャの伝統的な形式やアーサー王物語の影響を強く受けている。
続いて1527年に刊行された第2巻は、ボイアルド『恋するオルランド』を中心にアゴスティーニ、ヴァルシエコ、コンティの『恋するオルランド』の続編の内容が加えられている。ルッジェーロとブラダマンテの息子ロセリン[コンティ『恋するオルランド』ではルッジェーロとブラダマンテの息子の名前はルッジーノになっている]、ブラディマルテの息子ビソベル・デ・オルラン、マルフィーザとスカルダッソ[スペイン語表記ではEscardaso、アゴスティーニ『恋するオルランド』から新たに登場する主要人物。リナルドの親友となり、洗礼を受けてキリスト教に改宗する。アストルフォをアルチーナの館から救い出す]の息子エスカルディン・デ・リサといった新しい世代の騎士たちが活躍する。
最後に1547年に刊行された第3巻は『恋するオルランド』の登場人物を使いながらもほとんど独自の内容になっている。ロセリンがさまざまな冒険を経た後、コンスタンティノープルの皇女フロリメナの愛を射止めることが語られる。物語の中心はロゼリンとフロリメナの息子ロセラオ・デ・グレシアの冒険に移る。ほかにもマルフィーザとスカルダッソの息子エスカルディン・デ・リサと娘のロセリンダ、リナルドの息子クラロス・デ・フロルデリスと娘フィナランなどが登場する。
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