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ミュージカル『ハミルトン』歌詞解説22―Dear Theodosia 和訳


はじめに

ミュージカル『ハミルトン』は、ロン・チャーナウ著『ハミルトン伝』(邦訳:日経BP社)をもとにした作品である。

物語の舞台は18世紀後半から19世紀初頭のアメリカ。恵まれぬ境遇に生まれたアレグザンダー・ハミルトンは、移民としてアメリカに渡り、激動の時代の中を駆け抜ける。アメリカをアメリカたらしめる精神がミュージカル『ハミルトン』には宿っている。

劇中では、友情、愛情、嫉妬、憎悪など様々な人間ドラマが展開される。ここでは、そうしたドラマをより深く理解できるように、当時の時代背景や人間関係を詳しく解説する。

”Dear Theodosia”

※歌詞の和訳はわかりやすく意訳。

※歌詞の原文は『Hamilton the Revolution』に準拠

Aaron Burr enters.

Burr:

Dear Theodosia, what to say to you? You have my eyes. You have your mother's name. When you came into the world, you cried and it broke my heart. I'm dedicating everyday to you. Domestic life, was never quite my style. When you smile, you knock me out, I fall apart. And I thought I was so smart. You will come of age with our young nation. We'll bleed and fight for you, we'll make it right for you. If we lay a strong enough foundation We'll pass it on to you, We'll give the world to you, and you'll blow us all away... someday, someday. Yeah, you'll blow us all away, someday, someday.

「愛しいシオドシア、君に何と言えばよいのか。君は私に似た瞳を持っている。君はお母さんと同じ名前だ。君がこの世に生まれた時、君は泣いて私の胸を張り裂けんばかりにした。毎日、君のことを思っている。でも家庭生活は私にはまったく向いていない。君が微笑むと私はすっかりまいってめろめろだ。そして、私は自分がきちんとしているように思えてくる。君はこの若い国と一緒に成長していくんだ。君のために我々は血を流して戦うだろう。君のために国を正すだろう。もし我々が十分に強固な国の礎を築けたらそれを君に渡そう。我々は君に世界をあげよう。いつか君は我々を越えていくだろう。いつか君は我々を越えていくだろう」

解説:

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バーの娘シオドシアは1783年に生まれた。1812年戦争時に乗った船が沈没して亡くなったと言われている。

ミランダによれば、この歌詞は「嵐のような我々のショーの中でも静寂」なシーンだという。

Hamilton enters.

HAMILTON:

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