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翻訳『恋するオルランド』2巻第3歌

※『恋するオルランド』の中でマンドリカルドが登場する部分を抜粋してイタリア語原文から翻訳。

あらすじ

サクリパンテ[チルカッシア王、アンジェリカに好意を寄せる1人]がマルフィーザ[ルッジェーロの妹、オルランドやリナルドと戦えるほどの腕前を持つ]と戦う。その戦いの途中、サクリパンテは領国のチルカッシア[コーカサス山脈の北部、黒海に臨む地域]がマンドリカルドの侵攻を受けたことを使者から聞かされる。フェス[北アフリカの現モロッコにある町]王がルッジェーロ[ルッジェーロ3世、南伊のレッジョ・カラーブリアの君主を父に、アフリカ王アゴランテの娘を母に持つ。ブラダマンテと結ばれてエステ家の祖となる]を探すが見つけられなかった。そこで占星術師は、アンジェリカの指輪があればルッジェーロを見つけられると言う。フェス王の召使いのブルネッロがアンジェリカの指輪を盗みに行くことになる。待ちきれなくなったロドモンテ[アルジェとサルツァの王、後にマンドリカルドと婚約者のドラリーチェをめぐって仲違いする]は船に乗って出立する。オルランドはアンジェリカに求めでファッレリナの園に向かう。そしてオリヴィエリとオリジッレを見つける。オリジッレとグリフォーネ[ウィーン侯爵のオリヴィエーロの息子]が恋に落ちる。

8節~10節

[使者がサクリパンテに言上する]

「マンドリカルド王はアグリカーネの嫡男にして王国の後継者である。はるか彼方で軍勢を集めたマンドリカルド王は、すでにチルカッシアに足を踏み入れた。マンドリカルド王は弟君に手をかけて殺した。とにかく王国にはあなたが必要である。もしあなたが戦場で相見えればマンドリカルド王はきっと逃げ出すだろう」[II-3-8]。

「あなたが死んだという噂が流れたせいで王国は悲嘆に包まれた。噂を聞きつけた狡猾な王は大勢の精兵を率いて王国に侵入した。ロヴァシ川の橋が奪われ、サマキヤの町が焼かれた。先ほども言ったようにそこで勇敢な弟君のオリバンドロがマンドリカルド王自らの手で殺された」[II-3-9]。

「それから王国を滅ぼそうと企んだマンドリカルド王によって、まるでたいまつのように王国全土に次から次へと火が放たれた。あなたは1人の乙女[サクリパンテが愛するアンジェリカのこと]のために戦うのに、あなたの民を哀れに思わないのか。あなたを待つ民はあなたのことばかり話している。民はいかなる助けも他に望みようがない。あなたの大切な祖国が灰燼に帰そうとしている。剣が祖国を引き裂き、炎が祖国を舐め尽くしている」[II-3-10]。

[第5歌60節においてカタイの王にしてアンジェリカの父であるガラフローネは、サクリパンテがマンドリカルドの侵攻や弟の死にもかかわらず助力してくれたことに感謝を述べる。マンドリカルド自身の出番はないので訳出しない。さらに第17歌3節では異教徒勢によるキリスト教国への侵攻が語られ、「アグリカーネの息子のマンドリカルドが襲来したせいで北方[Tramontana]も平穏ではなかった」と言及されている。マンドリカルド自身の出番はないので訳出しない]

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3巻第1歌に続く

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