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ロビン・フッドとギズボーンのガイ

※中世イングランドのバラッドを原文から翻訳しています。

※挿絵は近世のものです。

※他にもさまざまなブラッドや史料翻訳があります。詳しくは一番下で紹介しています。

木々が輝き、小枝がすくすくと伸び、葉が大きく長くなると、すばらしい森の中を歩きながら小鳥の歌うのを聞くのが楽しくなる。

シナノキの葉の間で歌うキガシラコウライウグイスは歌うのを止めようとしない[大幅な欠落部分あり]。

「私が言っているのは敬愛する神にかけて、それは2人の強健な自由民のせいだということだ」

「どうやら奴らは私を殴って縛り上げて私の弓を奪おうとしているようだ。私がこの地でロビンとして生きていこうとするなら2人にやり返さなければならない」

「お頭、夢なんて丘を越えて吹く風のようにつかの間のものですよ。もし今夜、たいしてうるさくなければ、明日には静かになってしまうでしょうよ」

「私の愉快な仲間たち全員に準備させよ。リトル・ジョンは私に同行するように。私は強健な自由民がいる緑林へ探しに行こう」

緑の外套を身にまとって彼らは弓競べに出た。彼らは、最も喜びを感じる場所である愉快な緑林にやって来た。そこで彼らは木にもたれかかっている強健な自由民に気づいた[一連は普通は4行で構成されるが、この連は6行で構成されている]。

彼は多くの男たちを殺めてきた剣と短剣を脇に差していた。そして彼は頭の先から尻尾、たてがみまでついた馬の皮で身を包んでいた。

「この会合の木の下でじっとしていてください、お頭」とリトル・ジョンは言った。「俺があの強健な自由民のところへ行って何のつもりか確かめてきます」

「おいジョンよ、おまえは私を蔑ろにするのか。それは驚きだな。私が仲間たちを前に進ませて後ろに隠れるようなことをしたことがあるか」

「卑しい奴かどうかを知るのは造作もないことだ。話しているのを聞くだけでわかる。もし私の弓が傷つかなければ、奴の頭を打ち砕いているところだ」

それにしても言葉は怒りを引き起こすもので、ロビンとリトル・ジョンは別々になってしまった。リトル・ジョンはバーンズデールに行った。その門をリトル・ジョンはすべて知っている。

リトル・ジョンはバーンズデールまでやって来たが、そこでとてもひどい目に遭った。リトル・ジョンは、2人の仲間が殺されているのを森の開けた場所で見つけた。

スカーレットは切り株や石を飛び越えて徒歩で逃げた。というのは140人の家来を率いた代官が逃げるのを追ってきたからだ。

「キリストさまのお力を借りて一矢報いてやろう」とリトル・ジョンは言った。「すばやく逃げている仲間がうまくいくようにいて喜ばせてやろう」

リトル・ジョンはイチイの良い弓を引いて矢を放とうと構えた。弓が柔らかい枝を使って作られていたせいで足元に落ちてしまった。

「おまえは何の役にも立たない、ろくでなしの棒きれめ」とリトル・ジョンは言った。「おまえは木に生えていたままでよかったのに。今日、おまえは俺の助けとなるべきなのに厄介者にしかならなかったからな」

射撃は不正確なもので矢は無駄に飛んだ。そして矢は代官の家来たちの1人に当たり、トレントの善良なるウィリアムが死んだ。

トレントのウィリアムは、緑林で矢で殺されて倒れるよりは絞首台で吊るされたほうがましだったかもしれない。

男たちがぶつかる時、3人よりも6人のほうができることが多いとよく言われている[正確に判読されていない部分なので文意がはっきりしない]。彼らはリトル・ジョンを捕らえて木に固く縛り付けた。

「おまえは低地や高地を引きずり回されることになる」と代官は言った。「そして丘の上で高々と縛り首だ」。リトル・ジョンは「キリストさまの思し召しがあれば、そうはうまくいかないかもしれないぞ」と言った。

リトル・ジョンの話から離れよう。リトル・ジョンは木に固く縛り付けられたままにしておいて、緑林にいるガイとロビン・フッドの話をしよう。

シナノキの下でどのようにしてこの2人の自由民が出会ったのか。同時に彼らがどのようなやり取りをしたのか見てみよう。

「おはよう、友よ」とサー・ガイは言った。「おはよう、友よ」とロビン・フッドは言った。「あなたが手に持っている弓からすると、あなたはなかなかの優れた射手のようですね」

「私は道がわからなくなった。私の朝の時間も無駄になった」とサー・ガイは言った。「私があなたを導いて森を抜けさせよう」とロビンは言った。「私はあなたの道案内になろう、友よ」

「私はある無法者を探している」とサー・ガイは言った。「人々はその者のことをロビン・フッドと呼んでいる。いつかその者と遭遇できるなら金貨で40ポンドを出してもよい」

「もしあなた方2人が遭遇すれば、2人が別れるまでにどちらが優れているか見られるでしょうね。他の気晴らしを何か見つけるのはどうですか、友よ」

「何か他のことで腕競べをしよう。森の中に入れば、ひょっとするとロビン・フッドに遭遇する機会があるかもしれない」

彼らは、イバラの下で夏に生い茂った2本の低木を切った。そして、的にどれくらい近づけて射れるか競うために60ロッド[約300メートル]離してともに並べた。

「お先にどうぞ、友よ」とサー・ガイが言った。「どうぞお先にやってください」。ロビン・フッドは「いや誓って、言い出した者が先にするべきです」と言った。

最初にロビン・フッドが狙いすまして放った矢は的から1インチ[ 約2.5センチメートル]も離れていないところに当たった。ガイもなかなか優れた射手だったが、それほど近くに当てられなかった。

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サー・ガイは次の矢を放って花輪[文脈からすると、低木に花輪(花に限らず葉や枝で作る)を引っ掛けて的にしていたと思われる]の中を射抜いた。しかし、ロビン・フッドはガイよりもうまく射た。というのはロビンは花輪を支える杭を打ち砕いたからだ。

「あなたの心に神が恩恵をたまわらんことを」とガイは言った。「友よ、あなたの射術は優れている。もしあなたの心が腕前と同じように優れたものであれば、あなたはきっとロビン・フッドよりも優れているだろう」

「あなたの名前を教えてくれませんか、友よ」とガイは言った。「シナノキの下で」。腕利きのロビンは「いや断じてあなたが私に名前を教えるまでは教えません」と言った。

「私は低地にも高地にも住んだことがある」とガイは言った。「そして多くの悪行を重ねてきた者だ。私を正しい名前で呼ぶ者は、私を手練れのギズボーンのガイと呼ぶ」

「私の住処は森の中だ」とロビンは言った。「私はおまえを意にも介さない。私の名前はバーンズデールのロビン・フッド。おまえがずっと探していた男だ」

この自由民たちが血に染まって輝く刃を持って切り結ぶ様子を見れば、友人でも親戚でもない者であれば、きっとすばらしい光景を見たと思うだろう。

夏の日に2時間にわたってこの自由民たちが戦った様子を見ると、ガイもロビン・フッドもまったく逃げるそぶりを見せなかった。

ロビンは木の根に気づかずつまづいた。ガイはすばやく敏捷に反応してロビンの左側を打った。

「ああ、敬愛する聖母マリアさま」とロビン・フッドは言った。「あなたは母にして処女です。時ならぬ死を迎えるのは人の運命ではないと私は思います」

ロビンとガイ

ロビンは敬愛する聖母マリアさまに思いを馳せてすぐに跳ね起きた。そして逆手の一撃で手練れのサー・ガイを斬り殺した。

ロビンはサー・ガイの首を掴むと弓の先端に突き刺した。「おまえはずっと悪逆者だったが、それももう終わりにしなければならない」

ロビンはアイルランド式のナイフを取り出すとサー・ガイの顔を切り刻んだ。そのせいで女が産んだ者の中でサー・ガイが何者かを教えられる者はいなくなった[ サー・ガイの顔を判別できる者が誰もいなくなったということ。]。

曰く「そこで横たわっていろ。そこで横たわっていろ、手練れのサー・ガイよ。私に腹を立てるな。おまえは私の手による最悪の一撃を受けたが、良い死装束を着せてやろう」

ロビンは緑色の外套を脱いでサー・ガイに投げかけた。そしてロビンは頭の先から爪先まで馬の皮を身につけた。

「弓矢に小さな角笛をもらっておくぞ。私は仲間たちがうまくやっているか見にバーンズデールに行かないといけないからだ」

ロビンはガイの角笛を口に当てると、大きく吹き鳴らした。丘の麓にいたノッティンガムの代官はそれを聞いた。

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「聞いたか。聞いたか」と代官は言った。「このような朗報を聞いたことがないぞ。私は、あちらでサー・ガイが角笛を吹いているのを聞いた。サー・ガイがロビン・フッドを殺したのだ」

「私は、あちらでサー・ガイが角笛を吹いているのを聞いた。うまい頃合いに角笛を吹いたものだ。馬の皮を着た強健な自由民があちらからやって来たぞ」

「さあこちらへ、手練れのサー・ガイよ。おまえが望むものを私に求めるがよい」。ロビン・フッドは「あなたのお金は必要ありません」と言った。「あなたのお金をいただこうとはまったく思いません」

「ただ私は頭を殺したので、下っ端[リトル・ジョンのこと]を打つのをお許しください。私が求める褒美はそれで全部です。他には何も必要ありません」

「気でも狂ったか」と代官は言った。「騎士として領地を受け取ってもよいのに。そのように取るに足らない望みなら喜んで認めよう」

ところでリトル・ジョンは自分の主人が話すのを聞いていた。リトル・ジョンは主人の声だと十分にわかった。「天上のキリストさまのお力で俺はすぐに解放されるぞ」とリトル・ジョンは言った。

その一方、ロビンはリトル・ジョンのもとへ急いだ。ロビンはリトル・ジョンの縛めをすぐに解こうと思った。代官とお付きの者たちは急いでロビンの後ろに続いた。

「下がれ。下がれ」とロビンは言った。「どうしてあなた方はそんなに近くに寄ってくるのだ。誰かの懺悔を聞こうとする者がわが国でいたためしなどない」

ロビンはアイルランド式のナイフを取り出してリトル・ジョンの手足の縛めを解いてサー・ガイの弓を手渡してうまく使えと命じた。

リトル・ジョンはガイの弓を手に取ると、矢の先が錆びていた。代官はリトル・ジョンが弓を引いて矢を放とうと構えているのを見た。

代官はノッティンガムの屋敷に向かって全速力で逃げた。代官のお付きの者たちも同じく全速力で逃げた。後には誰も残らなかった。

代官がいかに速く逃げようとも、いかに速く走り去ろうとも、リトル・ジョンは幅広の矢で代官の心臓を真っ二つに引き裂いてしまった。

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