ハンティントン伯ロバートの凋落―第一四幕
【ウォーマンが登場】
ウォーマン:あらゆるところから追放され、すべての物を奪われた。私に残されているのは着る物しかない。ああ、何と惨めな惨めな悲しみだ。ひどい凋落だ。私はあらゆる物を得ようとしてすべての物を奪われた。イーリーの司祭がどこかに身を寄せるまでしばらく落ち着けたら、私は大きな利益を得られるはずだ。そしてこの喜びを台無しにする強い悲しみも大きな利益があれば喜びに変わるだろう。【ウォーマンの従兄弟である1人の紳士が登場】。ちょうど良い時に従兄弟のウォーマンが来た。私はよく従兄弟を楽しませていたものだ。ビンガム[イングランド北部、ノッティンガムの東にある町]にある従兄弟の家は私が与えたものだ。だからきっと従兄弟は私に部屋を提供してくれるに違いない。従兄弟殿、良い夜だな。
従兄弟:ああ、従兄弟のウォーマンよ、何か良い報せはあるかい。
ウォーマン:シャーウッドの森まではるばる徒歩で来たのか。
従兄弟:私はロザラム[イングランド北部サウス・ヨーク州にある町]からファーンズフィールド[イングランド北部シャーウッドの森の中にある村]に行ってきたところだ。馬が疲れてしまったので私は家まで歩くことにした。
ウォーマン:君の友人か君の家に1、2週間くらい私を置いてもらえないだろうか。どうか私を助けてほしい。
従兄弟:何と、助けてほしいと言うのか。ごめんだ。いったい何が起きたのか私はマンスフィールドで聞いたのだ。どのようにしておまえが財産と土地を失ったのか。おまえの境遇に救いの手を差し伸べる者には誰であれ王子の怒りが降りかかるだろう。私から離れろ。私はおまえの裏切りを嫌悪している。おまえの主人である高潔な心のハンティントンが追放された時、おまえはずうずうしくも主人の財産をすべて差し押さえたのではないか。そして、無害な雌鹿を平原で追う狼のようにおまえは主人とその召使いたちを追った。何ともあさましい忘恩、いまいましいユダのような行動、不正で間違ったやり方、おぞましい裏切り、信仰心の欠けた悪辣さ、邪悪な不信心。おまえは何という奴だ。唾棄すべき奴だ。
ウォーマン:忠実なる従兄弟よ。
従兄弟:去れ。もしおまえが私についてきたら足蹴にするぞ。【退場】
ウォーマン:ああ、神よ、何ともひどい不公平なのか。彼が持っている物はすべて私の手から与えたものだ。私の主人が私に与えた物は私が受け取るべき物だった。私は主人の困窮に乗じただけだ。それなのに私の従兄弟は困窮している私を慰めもなく放置するのか。【ノッティンガムの看守が犬を連れて登場】。おや別の者がやって来た。あの者は最近、私に仕えていた者だったな。私が呼んだら来たのでノッティンガムの看守にしてやった。きっと彼には同情心があるに違いない。看守よ、良いところで会った。私が誰かわかるか。
看守:ええ、あなたはウォーマンですね。誰もがあなたを知っていますよ。
ウォーマン:私がおまえの主人であったことを覚えているか。
看守:ええ、でも昔と今は違いますよ。ではさらば。もう行きます。
ウォーマン:忠実なジョージよ、私の惨状を救ってくれ。
看守:キリストの血肉にかけてお断りです。もしそんなことをしたら、すぐに私は悪魔に連れて行かれます。お金はない、乞食め。往来の邪魔だ。
ウォーマン:私はお金を求めているのではない。
看守:では肉がほしいのか。
ウォーマン:神のおかげで私は食べるためのパンであれば少し持っている。
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