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翻訳『狂えるオルランド』第23歌

※『狂えるオルランド』の中でマンドリカルドが登場する部分を抜粋してイタリア語原文から翻訳。

あらすじ

 ブラダマンテ[アモーネ公の娘にしてリナルドの妹、ルッジェーロと結ばれてエステ家の祖となる。第1歌60節で初登場する]は従兄のアストルフォ[イギリス王オットーの息子、オルランドとリナルドの従兄弟。第6歌23節で魔女にミルトの木に変えられた姿で初登場する]と出会う。アストルフォは愛馬のラビカーノと武具をブラダマンテに預けて天翔ける馬に乗って去る。アストルフォと別れた後、ブラダマンテはルッジェーロ[ルッジェーロ3世、南伊のレッジョ・カラーブリアの君主を父に、アフリカ王アゴランテの娘を母に持つ。ブラダマンテと結ばれてエステ家の祖となる]と再会しようとヴァッロンブローザの僧院に向かう途中、兄に出会ってモントーバンの城に入る。そしてブラダマンテはモントーバンの城から僧院へ使いの者を出す。使いの者はルッジェーロの愛馬を引いて僧院に向かう。その途中、使いの者はマンドリカルドとドラリーチェを探すロドモンテ[38節にマンドリカルドの名前が登場する。ただそれはロドモンテがマンドリカルドとドラリーチェを探し求めるという文脈で使われているだけでマンドリカルド自身の出番はないので訳出しない]に遭遇してルッジェーロの愛馬を奪われる。その一方、スコットランドの騎士ゼルビン[スコットランド王の息子でスコットランド勢を率いる]とガブリーナ[ ガリシア王の娘イザベラの見張り役を務めていた老女]はピナベッロ[ リナルドとブラダマンテの兄妹と敵対するマガンツァ家に属する貴族。ブラダマンテを欺こうと企むが、最後に殺害される]の遺体が横たわる場所まで来る。ゼルビンはガブリーナに陥れられてピナベッロを殺害した容疑で拘束されるが、オルランドの奮戦によって救われる。騒動が一段落した後、今度はマンドリカルドが姿を現して、ドゥーリンダナを求めてオルランドに挑戦する。激しい戦いが始まるが、途中でマンドリカルドの馬が暴走して中断される。マンドリカルドの姿を見失ったオルランドは探しに出かける。その途中、アンジェリカ[カタイ(中国)の王ガラフローネの娘、数多く騎士たちから恋慕される絶世の美女。第1歌の冒頭でオルランドは東方からアンジェリカをともなってピレネー山脈の麓に張られたシャルルマーニュの陣営に帰参する。アンジェリカをめぐって争いが起きることを恐れたシャルルマーニュは、オルランドの手からアンジェリカを召し上げる]の彫った字を偶然に見つけて、アンジェリカの愛が別の者に捧げられていることを知ったオルランドは悲嘆と絶望のあまり正気を失う。

70節~100節

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