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『ロラン夫人回顧録』第一部②

 私の父のガシアン・フィリポンは版画師を生業としていた。父はまた絵画の腕を磨き、七宝細工も手掛けていた。それは嗜好よりも稼ぎを期待してのことだった。しかし、七宝細工で使わなければならない火が体質に合わず目が悪くなってしまったのでその分野を断念しなければならなかった。そこで父は自分が得意とする分野に専念したが、その稼ぎはわずかなものだった。父は勤勉であり、習得した技術は時代に適したものだったが、あまりに仕事が多いうえにたくさんの職人を雇っていたために投機で財を成そうと望んだ。父は宝石類やダイヤモンドを購入したり、取引をした商人たちから代金の代わりに宝石類やダイヤモンドを受け取ったりして、機会があれば転売した。ここで詳細を述べるのは、あらゆる階層において一般的に野心は致命的なものであり、野心によってのし上がれる者は少数の幸運な者しかおらず、野心は多くの犠牲者を出すだけだと主張したいからだ。父の事例は私にとってそれが本当に当てはまること教えてくれた。すなわち、父の技術は然るべき暮らしをするのには十分だったのに、お金持ちになろうとして最後に破滅してしまった。

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