見出し画像

ベルニ『恋するオルランド』3部第2歌

あらすじ

太陽が昇るとマンドリカルドはヘクトールの武具がある城に戻って試練に挑戦する。数多の困難を克服してマンドリカルドはヘクトールの武具を獲得する。乙女はドゥーリンダナを入手するようにマンドリカルドに誓約させる。マンドリカルドはグラダッソとともに西方に向かって旅立つ。その一方、グリフォーネとアクィランテの兄弟は白衣の乙女と黒衣の乙女に出会う。2人の乙女は、ナイル川のほとりにある塔に住むオリロという悪党と恐ろしい鰐を討ち果たすように兄弟に依頼する。兄弟はナイル川に赴いてオリロと恐ろしい鰐に戦いを挑む。

6連~44連

黄金の輻の冠を戴くアポロン[太陽のこと]がその美しい顔を海からのぞかせると、明星はすぐに薔薇色に染まった空に隠れた。渡りの燕の歌う声が館のあらゆる場所から聞こえてきた。美しい庭園の小鳥たちは太陽が昇ると新しい歌を歌いだした[III-2-6]。

マンドリカルドは目を覚ますと寝床を離れて美しい外に出て行った。マンドリカルドは泉で顔を洗った。そして鎧をすばやく身につけた。乙女たちに別れを告げるとマンドリカルドは、案内をしてくれた乙女とともに元来た場所に向かって出発した。乙女はマンドリカルドから離れることなくずっとそのそばにいた[III-2-7]。

武勲や愛、愉快なことを常に話しながら乙女は、マンドリカルドが大立ち回りを演じた平原まで導いた。マンドリカルドの前に高い建物が見えた。建物の正面は貴石で覆われていた。塔と胸壁はまさしく城塞の造りであった。これほど壮麗な建物は世界にほかにないだろう[III-2-8]。

建物は各辺が4分の1ミッリョの長さの正方形であった。東に扉と橋があり、門や壁に通行を阻む者はいなかった。しかし、誰であれ入り口の敷居をいったん跨げば、目の前にある盾に触れて心から真摯に信念にかけて誓わなければならない[III-2-9]。

ここから先は

4,950字
この記事のみ ¥ 100
期間限定!PayPayで支払うと抽選でお得

サポートありがとうございます!サポートはさらなる内容の充実によって読者に100パーセント還元されます。