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ベルニ『恋するオルランド』3部第1歌

あらすじ

マンドリカルドは父アグリカーネの仇討ちのために徒歩で武具を纏わずにタタールを出立した。道中、マンドリカルドは罠にはまって泉の乙女の虜となった。乙女は、アエネアスから受け継いだというヘクトールの武具を手に入れるために試練を受けなければならないと告げた。ただ試練に挑戦する前にグラダッソを倒して武勇を示す必要があるという。かろうじてグラダッソを打ち負かしたマンドリカルドは試練への挑戦を認められる。試練に向かう前にマンドリカルドは盗賊のマラプレーザを倒す。

8連~69連

シャルルマーニュのフランスが富み栄えていた時代、北方から1人の異教徒がやって来た。北方はすっかり壊滅していた。朝に海から太陽が昇るところはどこであれ、太陽が沈むところはどこであれ、否、世界中どこを見回してもその者よりも勇敢で頑強で高慢な者はいなかった[III-1-8]。

彼の名はマンドリカルドであった。マンドリカルドはあまりに強く勇猛だったので、私が嘘つきだと思われるほどだ。マンドリカルドはタタールの皇帝でもあったが、勇猛であるだけではなく驕慢だったので、強健ではない戦士以外は配下に置きたがらなかった。そのほかの者たちすべてに死が与えられた[III-1-9]。

かくして荒れ果てた地となると、あらゆる者が祖国を捨てた。さて寄る辺を失って自暴自棄になった老人が王の前に縛られて引き出された。老人はただ地面に這いつくばって叫ぶばかりであった。その嘆きの叫びがあまりに悲痛なものだったので、周りにいるあらゆる者の耳を捕らえた[III-1-10]。

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