ビリー・ザ・キッドの生涯―第六章 マクスウィーン邸での戦闘
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マクスウィーン邸はそれ自体でほとんど要塞のようなものであったが、周囲の日干し煉瓦の壁を強化するのに多くの時間が費やされた。そして、防衛に最適な位置に家具が配置された。
マクスウィーンの美しい妻は、無法者たちを励ますためにあらゆる力を尽くした。彼女の優雅な体がそこかしこで動いて、傷ついた腕の周りに包帯を巻いたり、切り傷に軟膏を塗ったりする様子が見られた。彼女は美しいだけではなく勇敢であり、十分に価値がある活力を示した。
トム・オフォラー[ド]は敵が見える屋根に陣取っていた。
彼は「悪魔のように奴らがうじゃうじゃ来るぞ」と下にいる者たちに叫んだ。
通りを下ってくる馬蹄の響きが聞こえてくると、ビリーは「全員の中に入れ。銃弾を無駄にするな。よく狙って撃て。奴らを殺れ」と叫んだ。
最後の命令の後、首領の要求に応じたのか火器の一斉射撃のうなりが続いた。
荒々しい鬨の声が虚空に上がった。そのような情景は小さな町のリンカンではこれまで見られなかったものだ。
「バン。バン。バン」とビリー・ザ・キッドの連発式のライフル銃から銃声が発せられた。そして、彼の銃弾は襲撃者の列に恐ろしい大混乱を引き起こした。
彼は「持ち場を離れるな、勇敢なカウ・ボーイたちよ」と戦闘の咆哮をもろともしない鋭く明朗な声で叫んで、敷地の東の端の方へ向かった。敵がそこの壁に割れ目を作ろうとしていた。
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