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アメリカ人の物語4 建国の父 ジョージ・ワシントン(上) 連載27号

連載1号から読む

※憲法制定会議の始まりから読む場合は連載12号

ヴァージニア案の提出

憲法制定会議の実質的な議論はランドルフの発言から始まった。五月二九日、ランドルフが連合規約の欠陥について口火を切る。

「危機は非常に困難です。我々はアメリカが凋落するという予言の成就を何としてでも防止しなければなりません。第一に連合規約は外国の侵略への対抗策を講じていません。第二に連合規約は諸邦の調和を保障していません。第三に連合規約は諸邦に何ら恩恵を与えていません。第四に連合規約は権限の侵害から連合会議を守れていません。第五に連合規約は邦憲法に優越していません。連合規約は外国の侵略への対抗策を講じていないという第一の点について、もしある邦が国際法や条約に反して外国勢力に敵対する行動を取った場合、連合規約はその邦を罰することもできず、条約に従うように強制することもできません。連合規約は、ある邦が別の邦に危害を加えても何もできません。したがって、連合規約は戦争を防止できません。ある邦が近隣の外国の領土を侵略しても、連合規約はそれを制止できません。[中略]。連合規約の起草者は賢明で偉大な人々でしたが、独立戦争中、イギリスに対抗するために制定されたという背景から、その当時は人権が主要な関心事でした。連合会議が邦議会に人員と資金の拠出を強要することはできません。連合規約の欠陥は発覚するまで理解されませんでした。したがって、欠陥は起草者の浅慮の結果ではありません。欠陥を指摘することによって我々が直面している危機に恐れずにしっかりと目を向けましょう。ニュー・ハンプシャーからジョージアに至るまで人民の表情を観察しましょう。我々は戦争の瀬戸際にいるわけではありませんが、戦争はこの会議から生じる希望だけでかろうじて防止されています。我々が直面している危機は、各邦憲法の民主的な部分から生じています。人民によって権力が行使される政府は、その他の部門を飲み込んでしまうというのが私の確固たる金言です。どの邦憲法も民主主義に対する十分な抑制を欠いています。[中略]。あらゆる場所で政府の不注意のせいで無政府状態に陥る見通しがあり、現行の連邦政府とは別の政体が必要です」

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