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翻訳『恋するオルランド』3巻第6歌

※『恋するオルランド』の中でマンドリカルドが登場する部分を抜粋してイタリア語原文から翻訳。

あらすじ

 相思相愛になったルッジェーロとブラダマンテは、奇襲してきたサラセン人たちと戦う。ブラダマンテは逃げる敵を単騎で追うが、激しい追跡に耐えきれなくなった馬が倒れて負傷する。残るサラセン人たちを討ち果たしたルッジェーロは恋人の捜索に向かう。その途中、ルッジェーロはマンドリカルドとグラダッソに出会う。2人はルッジェーロに協力を申し出る。しかし、ルッジェーロの盾にトロイの紋章があしらわれていることに気づいたマンドリカルドは激怒する。ヘクトールの武具を手に入れた自分以外の者が紋章を帯びるべきではないと思ったからである。マンドリカルドの挑戦を受けたルッジェーロであったが、剣を帯びていないのにどうやって戦うのかと聞いた。そこでマンドリカルドは不帯剣の誓いについて説明する。それを横で聞いていたブラダッソは、前からドゥーリンダナを手に入れたいと望んでいたので腹を立てる。マンドリカルドとグラダッソの間で戦いが始まる。そこへブラディマルテとその恋人のフィオルデリサがやって来る。ブラディマルテはルッジェーロとともにマンドリカルドとグラダッソを引き分けると、まず笑いの川のナイアスの虜になっているオルランドを救い出さなければドゥーリンダナを入手できないと諭した。

34節~57節

 海岸や山裾を通り抜けたルッジェーロは小山の上にいる2人の騎士を見つけた。馬の蹄の音を聞くと若者は少し希望を取り戻した。2人の騎士が話しかけてきて完璧な礼儀に則って挨拶したが、ルッジェーロはあまりに強く心に悲痛を感じていたせいであいまいにしか答えられなかった[III-6-34]。

 「この男はきっと悪党に違いない。死者から武具を剥ぎ取っているのだろう」と2人は言った。それに若者は答えた。「そう思われても私の落ち度だ。愛が私の心の手綱を握っているのだ。そのせいで私は理解力を奪われているのだ。もはや私はいつもの私ではないのだ。だから私のあやまちを許していただきたい」[III-6-35]。

 2人の騎士のうちの1人が言った。「あなたが恋に落ちているなら謝る必要はない。あなたが高潔なことを証明することはたやすいことだ。愛の女神が悪しき男の胸に宿ることはめったにないからだ。もしあなたが我々の助けを必要とするなら我々はあなたに手を貸すのもやぶさかではない」。ルッジェーロは答えた。「今、私は困っている。わが大事な道連れを見失ってしまったからだ」[III-6-36]。

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