アーサー・コナン・ドイル北極日記7月27日
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7月27日火曜日
南南西に向かって帆走して間切る。正午、北緯73度29分に到達。大きなナガスクジラを久しぶりに発見。ナガスクジラは後甲板のボートの下に姿を現した。それが良い兆候なのか悪い兆候なのか論争の的になった。大多数は後者の見解を述べたが、デイヴィッド・グレイ船長は少数派の意見に対して強い支持を示した。私自身の経験からすれば、ナガスクジラの存在は絶対に悪い兆候ではないと言える。
夜、爽やかな風が吹いた。氷がすさまじい勢いで動いている。半甲板でしばらく過ごした。デイヴィス海峡にエリク号は物資の貯蓄所を作った。ある時、漁期になってそこに戻ってみると、ホッキョクグマがベッドに毛布を積み重ねて寝ていたという。モーリー[訳注1]の『海洋自然地理学[訳注2]』を読んでいる。彼は(カーボ・ヴェルデとアゾレス諸島とカナリア諸島で構成される三角形の間にある)サルガッソー海の海藻について説明して、たらいで水を掻き回した時にコルクが中心に浮かぶように、[海藻があることで]そこがメキシコ湾流の旋回の中心だとわかると言っている。また彼は、列車は北に向けて走っても南に向けて走っても常に右手に飛び出そうとすると言っている。
訳注
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